2011年12月18日日曜日

【歳暮三つ物】

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    聖樹の満ちて光る街筋    私
3  忘年会ビンゴで1等ゲットして  私

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    傘はいらないほどの初雪   私
3  旧市街羽子板市で賑はひて    ね子

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    煤払の手止むる着メロ    ね子
3  冬休みお駄賃で子は動くらん   私

1  君のこと幾つ記すや日記 買ふ   風牙
2     煤払の手止むる着メロ    ね子
3  レコード屋エアーで指揮す第九にて 風牙

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    傘はいらないほどの初雪   私
3  クリスマス予約で埋まり席もなし 風牙

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    傘はいらないほどの初雪   私
3  晦日そば手繰りてくぐる藍のれん 私

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    聖樹の満ちて光る街筋    私
3  所得税年末となり戻るらん    風牙

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    煤払の手止むる着メロ    ね子
3  ボロ市で会おうと話がまとまつて 私

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    もしもに備へ貯めるボーナス 私
3  忘れたき上司の隣り年忘れ    ね子

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    冬至南瓜の炊くるキッチン   ね子
3  思はざる試練の年も暮れゆきて  私

1  君のこと幾つ記すや日記買ふ   風牙
2    冬至南瓜の炊くるキッチン  ね子 
3  年の内にいざ断ち切らん負の連鎖 私

2011年12月14日水曜日

百韻『葉を脱いで』の巻


at 杭全神社インターネット連歌

        百韻『葉を脱いで』の巻
                  2011.11.5~12.15

発句・冬   葉を脱いで冬日よびこむ林かな     佐為 景
脇・冬      鵠が掛けし霜の帷子        浜菅 景
第三・冬   水烟る湖に捨舟うらみせて       涅阿 景
4        をちこち糸を垂らす釣人      佐為 景人
5・秋月   月あかり昼かとまがふ影法師      涅阿 景人
6・秋      よすがら庭にすだく虫の音     佐為 景
7・秋    野にやどる過客は露に濡れるらん    涅阿 旅
8        山をしるべのみちのはるけさ    佐為 旅

1      悠久の時をたゆまず大河ゆく      涅阿 景
2・春      雪間の草に春のおとづれ      佐為 景
3・春    来てみれば霞みの奥に不二見えて    涅阿 景人
4・春      城の甍に風光りけり        佐為 景
5      ふるさとは変はらぬままがありがたき  涅阿 懐旧
6・恋      初恋の人今もわが胸        正純 恋懐旧
7・恋    儚くもをさなきどちの契りにて     佐為 恋懐旧
8・秋      おもひで溢れ出づる秋風      涅阿 懐旧 
9・秋月   くもりなき月はこころを映すらん    佐為 景人
10・秋     寝るさへ惜しき夜の菊の香     涅阿 人
11     神仏の幽かな波動身に感じ       佐為 神祇釈教
12       わびすむ庵も御殿とぞなる     涅阿 無常
13・春花  もゝちどり深山に花の咲き初めて    佐為 景
14・春     帰へさ小川に根芹摘みをり     涅阿 景人
二オ
1・春恋   片もひの君すむ方は遠がすみ      佐為 恋
2・恋      なしのつぶてのふみのむなしき   涅阿 恋
3      夢やぶれ帰国と友のうわさ聞く     佐為 無常
4        むしろ憂きものひとのなぐさめ   涅阿 無常
5      詮ずれば苦労ばなしも自慢なり     佐為 懐旧
6・冬      更けて音なく積もる初雪      涅阿 景
7・冬    つぎつぎとなき人浮かぶ小夜時雨    佐為 景人
8        濡るる蓑笠縋るひとすぢ      稔  旅         
9      庵住に飽きては出づる旅ごろも     涅阿 旅
10・春花    花追ひ人の性もかなしや      佐為 人
11・春月  玉盈(たまもひ)に映る月かげ朧なる  稔  景
12・春     たどればあやし春の夜の夢     涅阿 人
13     極楽も地獄もおのが心にて       佐為 無常
14       ありのすさびの糸竹のみち     稔  人
二ウ  
1      流されし身に情け染む須磨明石     涅阿 無常
2・恋      藻塩のけぶりなびく浦風      佐為 恋
3・恋    わりなくも縁を断つや迎船       稔  恋
4        日々孝行はすべきものかな     涅阿 懐旧
5・秋    雁さへもひととせ一度かへる里     佐為 景
6・秋      さらぬだにしむ秋の夕風      稔  景人
7・秋月   弓張のいづれ満つらん酒の酔ひ     涅阿 景人
8・秋      虫のこゑにもあるや序破急     佐為 景
9      ここと知る御代つかの間の都跡     稔  無常
10       四方の田面を吹きわたる風     涅阿 景 
11     ゆるぎなき山の姿に気が晴れて     佐為 景人
12・春     空はのどかに春あさぼらけ     稔  景
13・春   桜こそ造化の神の佳作なれ       涅阿 景神祇
14・春     無心に蜜をあつめ飛ぶ蜂      佐為 景
三オ
1・恋    一刺しに相対死にとすがる恋      稔  恋
2・恋      よよと涙に濡るるきぬぎぬ     涅阿 恋
3      なきつまのおもかげ追へば夢うつつ   佐為 無常懐旧 
4・夏      なにを名告るややまほととぎす   稔  景
5・夏    ゆくりなく門を出づれば青時雨     涅阿 景人
6        霑(しほ)れし野仏の笑みはかはらず 佐為 景釈教
7      あらましのいまはつきぬる老いの身に  稔  無常
8・冬      なほつれなくも止まぬ木枯らし   涅阿 景
9・冬    あかあかとともる家の灯冴ゆる夕    佐為 景
10・冬月    繊月寒く出づる山の端       稔  景
11     世に古るもまなこ冷まじ阿吽像     涅阿 釈教  
12       托鉢終へし僧あどけなき      佐為 釈教
13・恋   手習子寺小屋帰りふと見染め      稔  恋
14・恋     おもひたくさんひらがなのふみ   涅阿 恋
三ウ
1      英雄になれど息子は異国にて      佐為 人
2        母の「いしよのたのみ」胸うつ   稔  人
3      たはれをを悔いて四十路で身を固め   涅阿 人
4・春      かすみの晴れて見えし道筋     佐為 景人
5・春花   吹く東風もそふるめでたき花の宴    稔  景人
6・春      ひと差し舞へば和すや鴬      涅阿 景人
7      こゝろみに引いた神籤に吉が出て    佐為 神祇    
8        舫ひ綱解き漕ぎ出す岸辺      稔  景人
9      旅に死す覚悟はとうに隅田川      涅阿 旅無常
10       おもへば遠き空よ陸奥       佐為 旅無常
11・秋月  のがれたる一本松を月照らす      稔  無常景
12・秋     末枯れし野をつつむ夕闇      涅阿 景
13・秋恋  来ぬ人を待つはむなしき虫の声     佐為 恋
14・恋     かずにあまれる身のおもひ憂し   稔  恋
名オ
1・恋    妻の座を奪ひ盗らんやみだれ髪     涅阿 恋
2        すずしき顔で道を説くきみ     佐為 人
3      さればいざさなむかくなむ分けてみよ  稔  人    
4        十中八九もめるさうぞく      涅阿 人
5      ひとはみな修羅にもなれば仏にも    佐為 釈教
6・冬      塔の上なる冴ゆる寒星       稔  景
7・冬    あやぶみし年越できるありがたさ    涅阿 人    
8・冬      ふうとため息浸かる柚子の湯    佐為 景人
9      刺青もともに老いたり鯔背肌      稔  人
10・夏     軒端をかりてしのぐ夕立      涅阿 景人        
11・夏   つばめの子みなそつくりの口あけて   佐為 景 
12・夏     夕べ門田をわたる涼風       稔  景
13・秋月  ひんがしの山際あかり月出づる     涅阿 景
14・秋     祈りおのづと五山送り火      佐為 景人釈教
名ウ
1・秋    鉦叩一院の闇深きより         稔  景釈教
2        そろりと歩む雨後の延段      涅阿 景人
3      能の舞急にわからぬ面白さ       佐為 景人
4        眉白妙の翁出でまし        稔  景人
5      神さぶる千代の松が枝苔むして     涅阿 景
6・春      清き社に満つる春光        佐為 景
7・春花   花の下ほどはとはれぬ連歌の座     涅阿 景人
挙句・春     善男善女を撫づる軟東風      佐為 景人

第三千句 第四百韻『冬耕や』の巻



         百韻『冬耕や』の巻
                  2011.12.1~12.15
        
発句   冬耕や明日を信じる鍬の音      冬  禾
脇      天を仰げばかかる風花      冬  私
第三   寒稽古裸身のままに続きゐて     冬  風牙
4      奥の座敷に御膳整ふ          氷心
5    美しき裾捌きして割烹着          ね子
6      撫子残る里の夕暮        秋  草栞
7    ゆふがほの実にも月光とどくらん   秋月 私
8      鍵盤奔るリズムすさまじ     秋  莉由

9    洋館の出窓に見ゆるトウシューズ      牙
10     スリーサイズを思ふあれこれ   恋  由
11   横たはる着衣の美女を透視せん    恋  栞
12     予言の書などあるかも知れず      ね
13   大伯父の遺産分与にあづかつて       私
14     はたた神来て下ろす鉄槌     夏  由
15   山盛りのかき氷食ふ海の家      夏  心
16     過去の自分を子に見ては笑む      私
17   ぬばたまのダースベイダー広き背な     ね
18     月読男眼を剥いてゐる      秋月 由
19   残暑とて疲れしらずの仁王像     秋  牙
20     ちゃんこに入れる鰹椎茸     秋  心
21   アラフォーもアラ古希も居て花の笑  春花 由
22     陽はうららかに吟行の会     春  私
二オ
23   うぐひすも北鎌倉の寺めぐり     春  〃
23   声聞けど姿解らぬ百千鳥       春  栞
24     鞄の底で鳴りしケータイ        牙 両句に
25   マニュアルで誘ふアンタはA型か   恋  由
26     スカイツリーはデートスポット  恋  心
27   シルバーの物見高さは年季入り       私
28     野次馬ならぬ辻講釈師         栞
29   たまさかに心改め社会鍋       冬  由
30     卍固めを観る大晦日       冬  牙
31   鬼嫁にボーナス減がつひにバレ    冬  私
32     ウォール街のデモに加はる       ね
33   馬上には写真映えするユニフォーム     氷
34     無印といふブランドもあり       由
35   画用紙に余白残して筆置きぬ        栞
36     処世術にもぼかしあるらん       私
二ウ
37   やうやくに出てきた月のおぼろにて  春月 禾
38     いまだ区別のつかぬ毒芹     春  牙
39   弦楽を運ぶ優しさ桜南風       春  由
40     アンダンテよりなほゆつくりと     栞
41   いつまでも幼なじみでゐられずに   恋  牙
42     その気があるか使ふ当て馬    恋  私
43   合コンのメンバー揃へ出陣す     恋  ね
44     睥睨してる寒猿のボス      冬  由
45   湯煙に顔も赤らむ雪見酒       冬  栞
46     至福に忘る医者の警告         私
47   借金は泥酔しても纏ひつく         空秋
47   この頃は短いものに巻かれます       由
48     一家総出で入学式へ       春  私
49   眩しさが際立つてゐる花の顔     春花 心
50     カメラの前を黄蝶白蝶      春  由
三オ
51   夕方のニュースにチラリ自慢して      牙
52     鮮度が勝負旬の先取り         栞
53   トレーサビリティー舌を噛みつつ辞書編纂  禾
54     疑惑のにほふ彼のやさしさ    恋  私
55   野球部の寮の前にて抱き寄せる    恋  牙
56     青梅の実も熟す機を待つ     夏  ね
57   五月雨を托鉢に出る修行僧      夏  私
58     翁の泉もとくとくと湧き     夏  栞
59   連句して想像力が活性化          私
60     凍る嫦娥は頬を赤らめ      冬月 由
61   いちゃいちゃとダウンコートのバカップル 冬 私
62     いつ踏み外す時雨る畦道     冬  ね
62     無頼の日々は遥か遠くに        空
62     命みじかし燃えろよペチカ    冬  禾
63   漂泊の詩人駆けるやボヘミアン       栞 全句に
64     誘ふがごとく匂ふアブサン       牙
三ウ
65   魂を美神に抜かれぬやうにせよ    恋  私
66     今宵はありや殿のお渡り     恋  由
67   雨しづく花の蕾はふくらみぬ     春花 私
68     はじける肢体駆ける春の野    春  空
69   立ち漕ぎのふららこ競ひ飛び立たん  春  牙
70     盗み酒する留守番のババ        由
71   公平に親の面倒持ち回り          私
72     ここで三泊かしこで五泊        由
73   旅行記と何やら違ふ事ばかり        牙
74     脆くも滅ぶ天空の城          栞
75   松籟にいにしへしのぶ十三夜     秋月 私
76     言の葉くべん風炉も名残か    秋  禾
77   鯊日和父の威厳を取り戻す      秋  ね
78     何が何やら絡む配線          牙
名オ
79   絆とふ一字で〆てよいものか        禾
80     署名印鑑すべて御破算         空
81   解き放つ心のままにひとと逢ふ    恋  由
82     思はせぶりに帯をゆるめて    恋  栞
83   懺悔録伏せ字あれこれ妄想し        由
84     はつと気づけば電車乗越        私
85   遠き目の少年を見る神無月      冬  ね
86     エイトビートで降る冬の雨    冬  牙
87   ユーミンの歌詞あれこれと口ずさみ     栞
88     いくさの轍いまも続けり        由
89   武士やめて身を墨染めの草枕        私
90     智に働かず流されもせず        由
91   ようそろと池に漕ぎ出す月の舟    秋月 禾
92     管弦たまに和さずひやひや    秋  私
名ウ
93   文化祭わが子見直す溌剌さ      秋  私
94     血は争へぬ坊ちゃん気質        栞
95   骨の無い魚ばかりを食べてをり       牙
96     煮凝こそが究極の味       冬  禾
97   パスワード捨ててをみなは旅に出る     由
98     東風に誘はれそぞろなる日々   春  私
99   花の香を想ひ起せる葛干菓子     春花 栞
挙句     春星あかく幸せの降る      春  ね

                             定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1~8)   花一つ、月一~二つ
 初折裏 12345678901234 (9~22) __________
 二折表 12345678901234 (23~36) 花一つ、月一~二つ
 二折裏 12345678901234 (37~50)__________
 三折表 12345678901234 (51~64) 花一つ、月一~二つ
 三折裏 12345678901234 (65~78)__________
 名残表 12345678901234 (79~92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93~100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用 

写真提供はフォト蔵さん

2011年12月2日金曜日

本歌(本句)取りの連鎖

本歌 世にふるは苦しきものを槙の屋にやすくも過ぐる初時雨かな 二条院讃岐
  
   世々ふるもさらに時雨のやどり哉  後村上院
   世にふるもさらに時雨のやどりかな 宗祇
   世にふるもさらに宗祇のやどり哉  芭蕉

   世にふるもさらに時雨の山路かな  春蘭

付合

at 連句KUSARI

   70億人絆問われる       
 黙々と引っ越してゆく蟻の道
  
 年金と常に相談忘れずに   
   大向こうにて歌舞伎通ぶる 

   未読メールの数は三桁
 山籠りして変わりしは無精髭 
 
   泥鰌の顔をしみじみと見る  
 店構え客あしらいも味の内
   
   桜島まで駆け抜ける恋
 青春は無知が特権トライアル
  
 連れの者弘法大師と笠に書き
   無理はいかんと医者に止めらる
 
 青空のピーヒョロロとは鳶のはず
   這いつくばって庭の草取り
  
   私を拒む細い指先     
 触れもみで道説くきみは君子にて 没
    
 国宝と言われる程の技を持ち  
   にらみが効かぬ息の夜遊び
 
 美しい青翳りゆくエーゲ海
   再会約す船上の恋
 
 約束は薄紅色の花の下
   あふるゝごとく流る大川

   鏡の中のおのれ見つめる
 てて親に姿ばかりか似た仕草
 
 孫バカの入学祝奮発し
   わが幸福度中ぐらいなり

   觀音菩薩描く御念珠   
 身軽にと旅の持ち物絞り込み
  
 これまでに泣かせた男数知れず  
   まことしやかにかたる身の上
  
 歓迎のフラは心の揺れのごと  
   格安ツアーで新婚の旅
  
 ☓4でとても幸せ子沢山     
   もらう手当はみな貯金する 没
 
 寝待月母美しく年重ね       
   聴き分けめでる庭の虫の音

   あれもこれもと僕は食べたい
 お酉さま熊手を買ったことはなし

 うす紅の芙蓉咲き初め夏さりぬ 
   やゝ静けさのもどる鎌倉
 
 巡回の省エネ奉行の靴が鳴る
   蒲団にもぐりながら勉強

 屋根で待つ臼の役割とどめさし
   ねんがら年中買える切り餅 没
 
 屋根で待つ臼の役割とどめさし 
   飛び石替えて茶事の演出

 クリスマスプロポーズありの予感して
   揺らぐこころよ彼は年下

   大漁歌うこぶし回して
 ありがたや山の恵みの茸汁

 フォトコンの締め切りまでの日を数え
   気を入れ直すコーヒーブレイク
 
   あれやこれやと選ぶ駅弁
 研修と視察は遊山と同義なり
 
 すぐ傍にある幸せと言う宝   
   黙ってお茶を淹れて出す妻
 
   あっという間に過ぎて行く春  
 千年の花のしずくに立ち濡れて
    
 紅葉寺書院のテープ声に張り     
   ライトアップに白む月影

   ライトアップに白む月影  
 めづらしや古妻寄り添ふミレナリオ 没
  
   山茶花通りにできた帽子屋   
 木枯らしにけふは任せん落ち葉掃き
 
   修行の辛さ報われる時    
 蕎麦通のやまい嵩じて鄙に店
    
 イケメンの笑顔につられ買い込んで 
   無理は承知の若作りする
    
   静かに流れる美しい歌       
 難ルート登頂果たしにぎり飯
    
 はらはらと黒髪に散る六つの花   
   まにまに萌える若菜摘む野べ 没
  
 空海が密教求め唐へ行く       
   帆は風はらみ離(さか)る島影 没
   
 朝になり熱い味噌汁頂いた   
   作り笑顔の友の新妻
    
   オンリーワンの教育の是非  
 幼児画がピカソに見える審美眼
 
 意外にもお祭り騒ぎの好きな彼   
   酒でチャックがゆるみ饒舌
     
   広すぎる部屋猫とくつろぐ 
 廃校を借りて工房兼ギャラリー

   断捨離された思い出の品     
 ゴミ漁りほくほく顔で父帰る
    
 国賭けて咸臨丸は洋上に     
   野にある臥龍今ぞ世に出よ
    
   ツケマぱちぱちネイルばっちり
 値踏みする視線はきつし場末バー 没

 一言に心をこめる年賀状     
   自虐気味なる俳句川柳
 
   自虐気味なる俳句川柳    
 ”無職”とは定年者には酷な名よ
  
   不況円高放射線量       
 賽銭は小銭のくせに多い願 
  
   突っ張り棒はパワー全開    
 押入れをクローゼットにプチ改修

   どっしりと立つ大黒柱
 落人の郷はしろがね雪見の湯

   カンマピリオド眼鏡光らせ     
 なにかしら天賦の才を誰も持つ  没 サンドイッチ付け
   ゴーストライター回顧録書く

   硯の海に浮かぶ花びら    
 一文字に念をいれつつ写経する

   紅いお盆にうさぎ饅頭       
 自己流で自作茶碗に茶を立てる   
   聞きもせぬのに語る蘊蓄    

   無い袖を振る巨大なカジノ
 香港のパックツアーはあわただし
   土産詰め込み鞄パンパン

   漂流の果て見えた島影
 仏道を求める国ははるかなり

   連句に興じ何も決まらず
 年用意口だけは出す亭主にて 没

 iPhoneジョブズに送るこの写真
   永遠に君を忘れないから

   なにもいらないが妻の口癖
 うつりゆく自然に合わせ生き暮らす 没

   なにもいらないが妻の口癖
 四十から齢を忘れたふりをする

   走るアンカー長い鉢巻き
 マドンナに何をやっても叶わない

   ジャンケンポンのゴミ出し係り
 何の日かまず確かめるカレンダー 

 冬籠家族の団欒なつかしく
   火鉢の網に餅のふくるる

 耳に残る異国の丘の歌遥か   
   およそ平和な御代を言祝ぐ

 ペンギンがうろうろ歩く動物園
   さっとカメラが砲列を敷く

 グルーミング邪魔なんだよと引っかかれ
   みなで取り合うママの懐

   目眩がしそうきみの曲線
 今夜こそプロポーズせんクリスマス
   後ろ手に持つ薔薇の花束    没

   雪は静かに駅に舞い降り
 おいそれと寄れぬ不義理のふるさとよ

   年賀状みなパソコンで打つ
 情報の伝達いまやメールが主

 情報の伝達いまやメールが主
   通勤電車だれもうつむく

   千差万別花の色さへ
 観ず嫌い次第にはまる宝塚

 観ず嫌い次第にはまる宝塚
   ダフ屋と間違えられてがっくり 没

   福寿草二輪にこやかに咲く
 負の連鎖いざ断ち切らん去年今年

 思っても思い届かぬもどかしさ
   義理チョコ装い付ける短文 没

 思っても思い届かぬもどかしさ
   女度胸でメール送信
 目安箱どぼん承知のご提案 没

   瞬いている数え日の星
 クリスマス別に普段と変わりなし

   リバーシブルの流行る政界
 団結は共通の敵倒すまで
   夫婦喧嘩を止めるゴキブリ 没

 一年の締めのレースに舞うお札
   背を丸くして駅までの道
 ほほえましパパを見送る乳母車

   浴衣姿は僕だけのもの
 アマゾネス団体の旅温泉場
   カラオケ半ば合唱となる

 懐かしの歌声喫茶店じまい
   壁に絡まりもみぢする蔦

   両手に受ける青き滴り
 頂きを仰げば遠し雲の峰

 いそいそと打ち掛けのままお床入り
   白黒つかぬ囲碁の熱戦

 あの人は何年たっても恋敵
   夫に色目を遣うめぎつね

 飛行機が轟音の中ランディング
   逢えぬからこそつのる遠恋

 百人の友だちできて大世界
   日々のブログにし合うコメント

   明日への糧は悲しみと笑み 
 上積みは最後と会社見限って

 初夢が見たくて二度寝してしまい
   駅伝すでにレース終盤

   今年はなんとかメタボ克服
 神仏は己が決意を伝える場

   油断されるな軽い春風邪 
 あわゆきの野辺に草つむ乙女らよ

   今日はツイてるまたも確変
 アンカーはおかま走りで区間2位 没

   疲れるばかり父の連休
 モールにて待てど戻らぬ女ども

2011年11月18日金曜日

第三千句 第三百韻『この道や』の巻



       百韻『この道や』の巻 
                   2011.10.31~11.18
        
発句   この道やゆく人なしに秋の暮     秋  芭蕉
脇      熟柿一つの残る老木       秋  風牙
第三   茅屋に二夜の月は冷まじき      秋月 私  ふたよ
4      砕け散れとて砧打ちけり     秋  ね子
5    目くばせはジャムセッションの合図にて   草栞
6      億万の民に新た産声          禾
7    漠とした不安を煽るマス・メディア     私
8      砂金人夫の額汗ばむ       夏  牙

9    河童忌に河童の木乃伊掘り出され   夏  ね
10     極楽行きの切符得難し         栞
11   うぐひすの声ぞ身にしむ朝ぼらけ   春  私
12     開き初めた花が見送る      春花 ね
13   春嶺の向こうに馳せる想いあり    春  牙
14     俤人を慕ふ姫君         恋  栞
15   曼荼羅の絵解きに双耳かたむけん      禾
16     鐘の音にて覚る空腹          私
17   紙屑となるかならぬか正念場        牙
18     鞭が入った東京優駿       夏  氷心
19   定年ののちの昼寝が待ち通し     夏  ね
20     ようやく名前呼ばる職安        牙
21   うずくまる数十の目の冷たさよ    冬  心
22     凍てつく空に星の揺らめき    冬  栞
二オ
23   つなぐ手をたもとに隠し初詣    新年恋 私
24     思ひ寄するは親友のカレ     恋  ね
25   萌え出でし隣りの芝の煌めきて    春  心
26     物干しに吹く風も梅が香     春  私
27   新茶にてさらりと茶漬け酒の締め   春  牙
28     客人帰す技の数々           ね
29   魔法ならいとも簡単暗示かけ        栞
30     貴女なしでは夜も日も明けぬ   恋  心
31   義理チョコを本命と過大評価して   恋  私
32     自慢話の咲くガード下         牙
33   靴磨きしながら学ぶ処世術         禾
34     洟水拭う制服の袖        冬  心
35   夜鷹蕎麦メット忘れし月の客     冬月 牙
36     おやじ、一本付けてくんねえ   冬  私
二ウ
37   転勤に独りで行けばと妻子いい       私
38     駅に迎えの愛おしいひと     恋  心
38     部屋に戻れば文鳥が待つ        ね
39   七夕の逢ふ日に止まぬ電話あり    秋恋 ね 両句に
40     月見ればなほ千々に乱れぬ   秋月恋 栞
41   秋の蝶一対だけの舞踏会       秋  牙
42     錦あやなす山の粧ひ       秋  私
43   注文の多さに惑ふレストラン        栞
44     先にシャワーを浴びてきてねと     牙
45   怪しげな温泉街の看板に          ね
46     絶ゆることなき凩の音      冬  心
47   塗り立てのペンキに枯葉貼りついて  冬  禾
48     妻の指図で動く永き日      春  私
49   愉しみは花よりほかに知りもせず   春花 栞
50     欠伸をすれば山笑ひをり     春  心
三オ
51   授業中猫のパラパラ漫画描く        牙
52     いよいよ司法試験あやふし       ね
53   金せびる嘘にみがきがかゝる息       私
54     神運尽きて尻も拭へず         栞
55   外つ国のトイレ事情に戸惑ふて       牙
56     川を覗けば美味そうな魚        心
57   世の中は儘ならぬもの酔ひつぶれ      ね
58     天動説を僕は支持する         牙
59   振り仰ぎ月の光に濡れる夜      秋月 禾
60     をわら踊りの女艷めく      秋  私 なまめく
61   寂しげに見送る母に曼珠沙華     秋  牙
62     旅はいつでも帰途の物憂し       私
63   車窓には更に太ったソクラテス       心
64     アクロポリスで選挙演説        ね
三ウ
65   高みより天下睥睨王気分          私
66     行く手阻むは雲の峰にて     夏  栞
67   波乗りの立てずに終わる日暮れなり  夏  牙
68     ジョニーとマリーさよならのキス 恋  心
69   遠からぬ破局の予感高まつて     恋  私
70     吸殻ばかり溜まる灰皿         牙
71   重税を納め寿命を縮めたり         ね
72     子等のためにと建てたアパート     牙
73   無いなりに遺産分割難しき         私
74     寒靄こめる限界集落       冬  禾
75   気がつけば圏外孤独の冬景色     冬  栞
76     凍土の中で眠り続ける      冬  牙
77   花嫁の姿のままで永遠に       花  ね
78     ベスト・ショットを油絵にする     私
ナオ
79   一つだけ何か違和感インテリア       牙
80     当節ネットで稼ぐへそくり       禾
81   定年後時間ばかりがありあまり       私
82     日曜大工の腕はあがらず        ね
83   そのはずよ月月火水木金金         禾
84     波止場波止場に待つ女のいて   恋  栞 ひと
85   聞こゆるは須磨の嵐か筝の音か    恋  禾
86     こゝろの波の騷ぐゆふぐれ       私
87   先着で生ビール直ぐ無くなりて    夏  牙
87   母を呼ぶようにも聞こえ鴉の子    夏  牙
88     少しずらせば空いているバス      心 両句に
89   ひとり行き独りで帰る墓参り     秋  ね
90     踏み越えるなと咲く鶏頭花    秋  牙
91   昼の月わが移り気を見透かして   秋月恋 私
92     誘ふ水ならどぶろくがよし    秋恋 ね
ナウ
93   軽やかに舞ふ紅顔の美少年         心
94     迦陵頻伽は等伯の筆          禾
95   松林の上に祥雲たなびきて         栞
96     背筋ただして望む初富士     新年 私
97   無粋なる我も知りたる人に会い       牙
98     弊衣破帽で寮歌高吟          心
99   花びらをナイスキャッチと青い春   春花 禾
挙句     囀り繁き旅立ちの朝       春  ね

      芭蕉   一
      風牙 二十三 
      ね子  十八
      草栞  十三
      禾   十一
      氷心  十四
      私  二十二

                             定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1~8)   花一つ、月一~二つ
 初折裏 12345678901234 (9~22) __________
 二折表 12345678901234 (23~36) 花一つ、月一~二つ
 二折裏 12345678901234 (37~50)__________
 三折表 12345678901234 (51~64) 花一つ、月一~二つ
 三折裏 12345678901234 (65~78)__________
 名残表 12345678901234 (79~92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93~100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用 

写真提供はフォト蔵さん

2011年11月4日金曜日

没句


 島の灯や明石の浦に鳴く千鳥╲俤人を慕ふ姫君

  源氏物語 明石の姫君の俤付のつもり
  
  写真提供はフォト蔵さん

2011年10月20日木曜日

第三千句 第二百韻『宿直の』の巻


       百韻『宿直の』の巻 
                   2011.10.1~10.20
        
発句   宿直の明くるや窓を律の風      秋  氷心 りち
脇      鳥の食ふまゝ鈴なりの柿     秋  私
第三   名残月池の面に漂ひて        秋月 草栞
4      竹伐る音を夢に聞きけり     秋  ね子
5    早起きは運動会のお弁当       秋  風牙
6      子が乗るはずの馬を気に掛く      心
7    雲の峰山はにはかに列できて     夏  私
8      汗を捧げん世界遺産に      夏  禾

9    監督をノリオと呼んでいざ五輪       ね
10     流れの早き川澄めるごと        栞
11   遠い日の淡い約束胸を絞め         牙
12     色の褪せたる病葉われは     夏恋 禾
13   流し目に流し目かへすショットバー  恋  私
14     お持ち帰りの首尾は上々     恋  ね
15   初雪が盛り上げているクリスマス   冬  心
16     ペチカ燃えろよお話しましょ   冬  白秋(栞)
17   紙芝居正義の味方にあこがれて       ね
18     レトロ気分で結ぶスカーフ       牙
19   蝶々の翅も重たげ昼の月       春月 禾
20     特命おびて花の席取り      春花 私
21   久方に長閑な春を惜しみける     春  栞
22     詞まじへず湖のさざなみ        心
二オ
23   よちよちと紙飛行機を追う児をり      牙
24     空から見れば国境はなし        ね
25   井の中の蛙よ世界に飛び出さう       私 かはづ
26     痩せた詩嚢を肥やすためなら      禾
27   酒煙草博打女と秋時雨        秋恋 心
28     心変りをさせぬ玉の緒      秋恋 栞
29   月の夜は別れた人を思ひ出で    秋月恋 ね
30     ロザリオ祭の聖歌聴こえる    秋  牙
31   慈母よりも厳父恋しやちちろ虫    秋  禾
32     われも同じく器用貧乏         私
33   風まかせ旅の一座は何処へ行く       栞
34     松の木の向く方は南          心 みんなみ
35   軍靴の響きやをらに近付きて        牙
36     絶ゆることなきヒトラーの末      ね
二ウ
37   時を経てどんな歴史も美化される      私
38     それはあなたの忘却のせい       禾
39   部屋中の什器備品に紙貼られ        心
40     年を越せるか瀬戸際の身で    冬  栞
41   ギリシャ危機他人事のやうな顔をする    ね ひとごと
42     見出しにつられ買う夕刊紙       牙
43   春きざすパステルカラーのコンコース 春  禾
44     卒業記念にめぐる大和路     春  私
45   宿坊を後にくぐりし花の門      春花 栞
46     千葉道場のさなは鬼なり        心
47   人づてに消息を知る風雲児         牙
48     ブロックすれど覗くつぶやき      ね
49   サマーハウス境は自然の繁りにて   夏  私
50     木のぼり男爵デートも樹上    恋  禾
三オ
51   抱かれれば肩越しにある天の川    秋恋 心
52     月の光に和せる小夜曲     秋月恋 栞
53   茸飯葡萄も添えてお見舞いに     秋  リュウ
54     病室からの海は遠くて         ね
55   息抜きはぬし寝てる間の散歩なり      私
56     濡れた落葉を避けてゆくべし   冬  仝
57   熟年の離婚届は更に増え          心  
58     控除受くなら1月1日      新年 禾
59   手引き書を読めど変わらぬ「ヲタク」をり  牙
60     御託が技にまさる蕎麦打ち       私
60     家電芸人売り上げも良く        ね
60     野に置きてこそ草はうるはし      心
61   微に細に遍く神の在れぞかし        栞 三句に
62     おカミに勝るウチのカミさん      リ
63   白州なら両成敗と裁くらん         私
64     ストレートにて飲むウヰスキー     牙
三ウ
65   お好きでしょ一杯一杯復一杯        禾
66     浴衣の肩をツイとぶつけて    夏恋 ね
67   二人して何処か遠くへ夏休み     夏恋 牙
68     知らない街で出会ふ元カレ    恋  栞
69   KYも地図読めないもそのまんま      禾
70     いまを是として楽しくをあらな     私
71   少年は傷つき光る硝子玉          牙
72     学んだのちに型を破れよ        私
73   お袋の味は総菜店の味           ね
74     残雪分けて蕗の薹の芽      春  私
75   春まだき花の便りに胸躍る      春花 ね
76     俊寛忌にと記す黒楽       春  栞
77   照りゆたか配所の月もかくあらん   春月 禾
78     ほてりし肌に東風ここちよき   春  私
ナオ
79   苛々の募る午後なりサガン読む       ね
80     ハーブの香る庭はお好きと       牙
80     ブラームスなど聴きに行こうか     牙
81   憧れの想ひ隠せる未亡人       恋  栞 両句に
82     額の汗がとても眩しい      夏恋 心
83   こんにちは!微笑み返す山ガール   夏  私
84     十年前はヤマンバなりき        ね
85   能面を是非にと父の形見分け        心
86     ガッツポーズが少し派手だと      牙
87   外来の横綱腹を切らされる         私
88     朱雀門から羅生門へと         栞
89   天平の跡は曠野の空つ風       冬  私 こうや
90     たゞ月ばかり冴えざえとして   冬月 郎女
91   言の葉の伝はらぬ世になりぬべし      ね
92     ゆく人なきや古の道          私
ナウ
93   いつの日か売れると信じ書き続け      牙
94     サインの癖は右肩上がり        心
95   不景気の底を見切つて株を買ふ       私
96     五右衛門風呂は注意要する       牙
97   E難度着地決めれば大喝采         栞
98     ふらここ揺れてゐるばかりなり  春  ね
99   花の下老若貴賎のへだてなく     春花 禾
挙句     甘茶かけたり甘茶飲んだり    春  私

                             定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1~8)   花一つ、月一~二つ
 初折裏 12345678901234 (9~22) __________
 二折表 12345678901234 (23~36) 花一つ、月一~二つ
 二折裏 12345678901234 (37~50)__________
 三折表 12345678901234 (51~64) 花一つ、月一~二つ
 三折裏 12345678901234 (65~78)__________
 名残表 12345678901234 (79~92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93~100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用 
転記用  

写真提供はフォト蔵さん

2011年9月25日日曜日

第三千句 第一百韻『野分雲』の巻


       百韻『野分雲』の巻 
                   2011.9.5~9.24        
発句   野分雲湧きて急かるる家路かな    秋  草栞
脇     すゝきが原のさわぐゆふぐれ    秋  私
第三   いつの世も名月はただ待たれゐて   秋月 ね子
4     鄙人さへもときに句を吐く        私
5    遠方の朋集まりて楽となす         栞
6     箸から滑り落つる湯豆腐      冬  ね
7    ねぇあなた毛皮のコート買っていい? 冬  私
7    省エネで家の中でも着るダウン    冬  私
8     包み隠せぬオーラ立ち出で        栞 両句に

9    ワルツ舞ふ仮面の二人刹那とて    恋  風牙
10    前世来世も夫婦なるべし      恋  ね めをと
11   出任せとおもへどうれし占ひ出       私
12    残り物には福の待つらん         栞
13   行列は流行りの店のAランチ        牙
14    学生気分にかへる古書街         私
15   紙魚の跡辿りてみても一人きり    夏  ね
16    匂ひ袋に仕舞ふ遺言        夏  栞
17   父母逝きしままの家なり草いきれ   夏  牙
17   深淵に波紋残して岩魚消ゆ      夏  牙
18    少年の日を偲ぶふるさと         私
19   ポケットに珈琲飴が溶けてゐた       ね
20    なごり雪さへ何時しか止みて    春  栞
21   青空を暫し隠せよ花の雲       春花 牙
22    子が吹くシャボン玉の煌めき    春  ね
二オ
23   何股もかけるところはママ譲り    恋  私
24    初デートには椿姫観る       恋  牙
25   南仏の海へ私も連れてつて      恋  栞
26    未知を知ることこそ生きる糧       私
27   萌え萌えと会話を交はすメイドカフェ    ね
28    持たす土産はえんま帳なり        栞
29   閉ざされし学舎の窓青嵐       夏  牙
30    夕立のなか跳ぶランドセル     夏  ね
31   夏休み始まるときはえびす顔     夏  私
32    料理自慢の嫁を貰ひぬ          牙
33   けふもまたブログに写真アップして     栞
34    やゝ中毒の紅茶ブレイク         私
35   不知火の揺らめく夜を楽しまむ    秋  ね
36    くノ一潜む朔日の月        秋月 栞
二ウ
37   菱摘みし池遠くなり家並ぶ      秋  牙
38    中古建て売り表札を見る         ね
39   転勤は娘の転校を強ひにけり        私 こ
40    ポストにそっと返す合鍵      恋  牙
41   旧姓の年賀状見てショック受け   新年恋 栞
42    きみ住むかたに澄める初富士    新年 私
43   手に掬ひ雪解の水を味はへり     春  ね
44    仄かに花の匂ふ気がして      春花 栞
45   蝋燭のただ揺らめく夜受難節     春  牙
46    為して成せるか日本再生         ね
47   巌壁に怒涛の砕け散る飛沫         私
48    不良少女は髪を黒くし          牙
49   誘惑の逢魔時に身悶える       恋  栞
50    寄る辺さだめずまよふ浮舟     恋  私
三オ
51   記憶なき人を羨むひともゐて        ね
52    忘年会の幹事頼まれ        冬  栞
53   カラオケの十八番重なり寒に入る   冬  牙
53   星付きの店人疎ら寒きびし      冬  牙
54    懐ぐあひ株価次第に           ね 両句に
55   団塊の加齢でかはる世のしくみ       私
56    引き取る人の無いハムスター       牙
57   役立たぬ縁もゆかりも断捨離で       栞
58    もとは武士とや旅の墨染         私
59   いかやうな人目しのぶの乱れにて   恋  ね
60    一途な想ひ色に出にけり      恋  栞
61   即興の曲は何処かで聴いたよな       牙
62    夢の国なるシンデレラ城         ね
63   こはもても覚えずゑまふ花に月   春花月 私
64    辿々しくも踏む春舞台       春  牙
三ウ
65   蜃楼へ飛んで行きたし念力で     春  栞
66    玄奘の苦労たどるキャラバン       私
67   妖かしの跋扈するらし青き星        ね
68    道理通らぬ政界の闇           栞
69   表情を変えずに待つは絵札なり       牙
70    逆転なるか王手飛車取り         ね
71   ぶつぶつと聞こえよがしに妻の声      私
72    たかべの焼けるまでに一杯     夏  牙
73   目に留るノースリーブの白き腕    夏恋 栞
74    避暑地の恋と思ひたくなし     夏恋 私
75   愛人の五人六人まで数へ       恋  ね
76    博士に返る手帳の記録          栞
77   決め玉を打たれるときの多くなり      牙
78    あれよあれよと神無月入り     冬  ね
ナウ                               
79   散り残る木の葉すがるや初しぐれ   冬  私
80    駆け出し記者は狙うスクープ       牙
81   リツイートされる噂は真ならず       栞
82    避難袋をもどす押入れ          私
83   缶詰の賞味期限を確かめて         ね
84    誰に食はすか秋茄子の山      秋  栞
85   意地悪な雲の邪魔する月今宵     秋月 牙
86    水澄むときに死んでゆきたし    秋  ね
87   芋の露連山影を正しうす       秋  蛇笏(私)
88    最後の授業終へて一礼          牙
89   極上のアルザスワインどうですか?     栞
90    上司にゴマをするも身の為        私
91   セサミンとセシウムときに言ひ違へ     ね
92    毒も薬も隣り合はせに          栞
ナウ
93   やつがれに冬薔薇とは勿体なし    冬  氷心
94    イブの夜なれば奇跡一つも     冬恋 牙
95   気のせいかモテ期に入り紅を差す   恋  ね
96    楽屋入りするあなた浮かべて    恋  栞
97   薄氷の下に蠢くもののあり      春  牙
98    花を訪ねて巡る諸国よ       春花 ね
99   忘れ得ぬ同行二人旅遍路       春  栞
挙句    肩を揉みあふ温き縁側       春  心
  
                             定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1~8)   花一つ、月一~二つ
 初折裏 12345678901234 (9~22) __________
 二折表 12345678901234 (23~36) 花一つ、月一~二つ
 二折裏 12345678901234 (37~50)__________
 三折表 12345678901234 (51~64) 花一つ、月一~二つ
 三折裏 12345678901234 (65~78)__________
 名残表 12345678901234 (79~92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93~100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条    
投稿用 
転記用

写真提供はフォト蔵さん

2011年9月13日火曜日

能楽入門 葵上

観世流 観世善正。
 
三つの映像から成る。八ヶ岳の山里に能舞台を作られたようでこの前探し当てた。

能楽 翁・三番叟

和泉流狂言師 野村萬斎

能楽 道成寺

シテは二十六世観世流宗家 観世清和。分家筋の銕之丞は地謡。
 
十の映像から成る。今年の八ヶ岳薪能(身曾岐神社)の演目は紅葉狩、狂言方は野村萬斎だったそうで、惜しいことをした。

2011年9月8日木曜日

序破急

●序破急
序破急の言い出しっぺはわかりませんが、論として最初に書いたのは、連歌の二条良基(『筑波問答』1372年)で、観阿弥と世阿弥(『風姿花伝』1400年~)はそれを参考に能に適用したようです。連歌では序破急の区分にゆれがみられます。

 1(序)、2(破)、3-4(急)
 1(序)、2-3(破)、4(急)

能でも区分が時代で変容があるようです。雅楽とか音楽関係では、急とはスピードと解釈している向きもみられますね。能のある区分けでは、以下のようになっていて急ではシテが狂女と鬼で、内容ともかかわっているようです。破の中にまた序破急が入れ子になっているとは恐れ入りました(^^;)

 脇能  序   神   
 二番目 破ノ序  武人  
 三番目 破ノ破  女   
 四番目 破ノ急  狂女  
 五番目 急   鬼

だれもが疑わない序破急と思っていたら、支考は『俳諧十論発蒙』の中で、「昔しの俳諧は、始中終(序破急)の法の三つをもて、鼎の如く(三鼎の喩え)尻をすえたると也。始終の二は不會底の人もあらん。」と述べ、いつもいつも始め静かに中ぱっぱ終わりは急か静か?にかのやり方は鼎のようで面白くないと疑問を呈しているようです。

芭蕉出座の作品を見てもいきなり始めからすったもんだや最後まですったもんだしているのも見受けられ、流石すべてから自由自在の芭蕉さんだと思います。


●序破急 2 連歌 筑波問答
筑波問答、二条良基

「たゞの連歌にも、一の懐紙の面(おもて:表)の程は、しとやかの連歌をすべし。てにはも浮きたる様なる事をばせぬ也。

二の懐紙よりさめき句(浮き浮きとした賑やかな句)をして、三・四の懐紙をことに逸興ある様にし侍る事なり。

楽(雅楽など)にも序・破・急のあるにや。連歌も一の懐紙は序、二の懐紙は破、三・四の懐紙は急にてあるべし。鞠にもかやうに侍るとぞ其の道の先達は申されし。

連歌の面に、名所・めづらしき言葉、また常になき異物・浮かれたるやうなてには、ゆめゆめし給うふべからず。これ先達の口伝なり。」 


●序破急 3 能 花伝書
『花伝書(風姿花伝)』観阿弥口述、世阿弥編著

第三 問答条々(二)

問ふ。能に序・破・急をば、なにとか定むべきや。

答ふ。これやすき定めなり。一切のことに、序・破・急あれば、申楽もこれに同じ。能の風情をもて定むべし。

まづ、わきの申楽には ... 音曲・はたらきも、おほかたの風情にて、するするとやすくすべし。第一祝言なるべし。 ... たとひ、能はすこし次なりとも、祝言ならば苦しかるまじ。これ序なるがゆゑなり。

二番・三番になりては、得たる風体のよき能をすべし。

ことさら、挙句急なれば。もみよせて、手数をいれて、すべし。 ...

 脇能  序   神
 二番目 破ノ序 武人
 三番目 破ノ破 女
 四番目 破ノ急 狂女
 五番目 急   鬼


●序破急 4 能
岩波写真文庫『能』

能の序破急と演奏順位

 初番目脇能(神能) 神  序
 二番目修羅能    男  破の前段
 三番目鬘能(女能) 女  破の中段
 四番目雑能(物狂能)狂  破の後段
 五番目尾能(切能) 鬼  急

「要約すると一日の能は正しく厳かな神能から始め、次第に優雅典麗な演技をもって幽玄の情趣を現す鬘能に移り、見物を堪能させてから変化の激しい賑やかな尾能(きりのう)を演じ、見物の眼を驚かしてサッと手際よく切上げるというのである。」

やはり、急はスピードだけを言っているのではなく、ワーッと激しく盛り上げてストンと終わる側面を持っているのだ。ただスピードを上げて無難に終わるということではない。切能を観たい。YouTubeにないか。


●序破急 5 能 花鏡
『花鏡』世阿弥、能楽論集、小学館

序破急之事

ー 略 ー

「急と申すは、挙句の義なり。その日の名残なれば、限りの風(最終の風体)なり。

破と申すは、序を破りて、細やけて(細やかに)、色々を尽くす姿なり。

急と申すは、またその破を尽くす所の、名残の一体なり。

さるほどに、急は揉み寄せて(体を激しく動かし集中する)、乱舞(格をはずれた自由な舞、速度の早い手の多い舞)・はたらき、目を驚かす気色(けしき)なり。揉むと申すは、この時分(急)の体なり。

およそ、昔は能数、四・五番には過ぎず。さるほどに、五番目はかならず急なりしかども、当時は、けしからず(むやみに)能数多ければ、早く急になりては、急が久しくて急ならず。

能は破にて久しかるべし。破にて色々を尽くして、急は、いかにも(なにがどうあろうとも)ただ一切り(一曲)なるべし。」

没句

 見切るべき放蕩息子の朝帰り\匂ひ袋に仕舞ふ遺言

没句

 紙魚の跡辿りてみても一人きり/猫をはべらせ月に酒酌む 

没句


 定年後”無職”と呼ぶはうたてやな\学生気分にかへる古書街

  \:下句(短句)が前句であることを表す。

写真提供はフォト蔵さん

2011年9月6日火曜日

表十句(表六句)と発句の禁則について

 表十句(表六句)と発句の禁則について

●二条良基『連理秘抄』1345~1349年        なし

●二条良基『筑波問答』1357~1372年?
「懐紙の面(表)の程はしとやかの連歌をすべし。。。一の懐紙は序、
二の懐紙は破、三・四の懐紙は急にてあるべし。。。連歌の面(表)
に、名所、めづらしき言葉、また常になき異物、浮かれたるやうなて
には、ゆめゆめし給ふべからず。これは先達の口伝なり。」

●二条良基『連歌新式』(応安新式)1372年       なし
http://www.h6.dion.ne.jp/~yukineko/oansinsiki.html
(こやんさんのサイト)

●一条兼良『連歌新式追加並新式今案』1452年
『連歌新式』に追加された新式今案の連歌初学抄の中(一番後ろ)に
記述されている。(群書類従 第十七輯 連歌部版)
「近代一之懐紙、引返之第二句迄、恋、述懐、名所等、猶如面不付之。」

●心敬『ささめごと』1463年              なし

●宗祇『吾妻問答』 1467年              なし

●肖柏『連歌新式追加並新式今案等』1501年
一条兼良『連歌新式追加並新式今案』と同じ記述が連歌新式の本文の最
後の事柄として移動されている。(寛政十年写、近思文庫蔵版)
「近代一之懐紙、引返之第二句迄、恋、述懐、名所等、猶如面不付之。」
   
●松永貞徳『式目歌十種』1628年
「名所、国、神祇、釈教、恋、無常、述懐、懐旧おもてにぞせぬ。」

●去来『去来抄』1702~1704年成立 1775年刊
「発句も四季のみならず、恋、旅、名所、離別等無季の句ありた
きもの也。されど如何なる故ありて四季のみとは定め置かれけん。
其事をしらざれば暫く黙止侍る」(芭蕉)

●土芳『三冊子』1702~1704年成立 1776年刊
 弟子が芭蕉にこの件で質問するくだりがある。ここで芭蕉は古来禁則
とされるものに柔軟な解釈をしようとしている。特に発句については
主客が何を詠んでもとがめるなとし、事実上、発句は何を詠んでもよ
く脇もそれに従うようにと述べている。(大部のため詳細省略)

●日本文学報会俳句部会連句委員会『昭和俳諧式目』1943年
 日本文学報会会長:徳富蘇峰 俳句部会(連句委員会):会長高浜虚子
「表六句は、成るべく穏やかに運ぶべし。」

●東明雅『連句入門』1978年
「連歌百韻は。。。序はなるべく穏かに、恋、述懐、無常、神祇、釈
教はださないことになっており、これがそのまま俳諧に引き継がれ(略)」
『三冊子』の記述の都合のいい部分だけを引用し説明している。(P40-)
 
●東明雅・丹下博之・佛渕健悟『十七季』2001年
「松永貞徳が示した、「名所、国、神祇、釈教、恋、無常、述懐、懐旧
おもてにぞせぬ。」のきまりが、そのまま現代連句でも受け継がれてお
り、そのほか地名、人名、殺伐なこと、病態、妖怪なども嫌われている。」
「ただし、表六句のうちの発句だけは題材の制限は一切なく、自由に何を
詠んでもいい。」(P502-503)
    
「発句の題材には制限がなく、表六句に嫌う神祇、釈教、恋、無常、地名、
人名などを詠んでもよいが、その場の時宜にふさわしくない、例えば新築
の祝いの席で、燃える・焼けるとか、追悼の会に暗き道・迷う・罪・科な
どの語を使うことは禁物である」(p507)

『連句入門』での記述の反省を踏まえ、『三冊子』の芭蕉の意図を正しく
解釈して修正したようである。

●東明雅氏の結社『猫蓑』の式目
「表に神祇、釈教、恋、無常、述懐、懐旧、妖怪、病体、人名、地名を嫌う。  
但し発句はこの限りではない。」 氏は自分を伊勢派と称しているようだ。

■参考文献
(1)『連歌新式の研究』木藤才蔵著、三弥井書店、平成11年4月 
(2)群書類従 第十七輯 連歌部物語部 巻第三百六『連歌新式追加并新式今案等』
(3)水無瀬三吟百韻 湯山三吟百韻 本文と索引 付 連歌新式追加并新式今案等、
   笠間書院

2011年9月5日月曜日

山籠り記 



2011年7月21日〜9月4日

7月25日 月曜日
小淵沢駅近くの老舗井筒屋でうなぎをいただく。私は白焼丼。行列のできる人気店があるとはしらなかった。渋い佇まいがいい。

 ◯落款の読めぬ茶掛けや鰻丼





杓底一残水と読めたが、名前が達筆か癖字か読めない、本大臣外?


7月26日 火曜日

毎日郭公が鳴いてくれるのはうれしい。

 ◯郭公の教える森の深さかな


 ◯いたづらに伸びる木止めん子規

木のてっぺんを伐っていた時、ほととぎすがてっぺんかけたかと鳴いたので失笑。

7月27日 水曜日
雨のち曇り。まだ暗い暁の雨にひぐらしが鳴いている。夕には波状攻撃のように来鳴いては去りまた来る。

 ◯ひぐらしの声に明け暮れ山籠り

窓から近くの草叢に鹿四頭を目撃。猫に見せようとしたら気付かれた。

 ◯眼が合つて逃げ出す鹿や草の庵


7月28日 木曜日
曇りときどき小雨、肌寒い。

 ◯すずしさを過ぎて肌さむ山籠り

8月2日 火曜日
雨読。『西行花伝』歌は宿命によって雁字搦めに縛られ浮世の上を飛ぶ自在な翼だ。浮世を包み浮世を真空妙有の場に変成し、森羅万象の法爾自然の微笑を与える。それは悟りにとどまって自足するのでもなく迷いの中で彷徨するのでもない。ただ浮かれゆく抑えがたい心なのだ。花に酔う物狂いなのだ。生命が生命であることに酔い痴れる根源の躍動といってもいい。歌はそこから生れる。

8月4日 木曜日
晴れ。新府の共撰場ではね桃をゲット。オオムラサキセンターで、ちょうど羽化したてのオオムラサキの飛翔を見た。一本の木に群れているありさまには感動。メーラレンで昼食。


8月6日 土曜日
遠征。御射鹿池、渋の湯、蓼科でイタ飯、白樺湖、霧ヶ峰、諏訪、諏訪神社秋宮、岡谷IC。


8月8日 月曜日
立秋。晴れ。清里の森を散策。ほととぎすの声を十一回聴いた。磯善で昼食。獅子岩。南牧村農業文化情報交流館でフライトシミュレータシステムに乗る。

 ◯清里の森は響めくほととぎす

8月14日 日曜日
晴れ。

 ◯朝霧とみれば草焚くけむりなり

畑。リゾナーレ、七賢。臺眠で麦とろ。金精軒。

8月15日 月曜日
晴れ。久しぶりに静かな朝。

 ◯蜩や生ごみ捨てに出る夫人

お隣さんとブルベアでギネス。WiFi OK

 ◯夕涼みがてらが長居やまのパブ




8月21日 日曜日
8時起き、霧、幽玄だ。雨読。『これならわかる能の面白さ』林望 淡交社

 ◯両の眼に焼きつけ置かん霧の森
 ◯しらぬ間に膝に猫くる雨読かな

虚実皮膜の間。よき能と申すは本説正しく珍しき風体にて詰め所ありて懸り幽玄ならんを第一とすべし。『風姿花伝』

8月24日 水曜日
喉が痛く熱があり眠れなかった。痛み止めを飲み身延山へ向かう。

 ◯痛み止め飲んで向かふや身延山

増穂まで中部横断自動車。富士川に沿ってひたすら南下。汗をかいたら調子が戻った。久遠寺に到着。若い修行僧の一団が太鼓をたたきながら行進中。こっちにも元気が伝わってくる。追いかけられるように日蓮の御廟・草庵跡に向かう。ロープウェイで奥の院・思親閣へ。



 ◯親思ひ植ゑし巨杉や雲の峰

身延山久遠寺本堂、五重の塔を見学し斜行エレベータで駐車場へ。思ったよりずっと奥の深いいいお寺だった。参道のうなぎ屋玉川楼で昼食。

 ◯志ん朝と読める色紙やうなぎ重

帰りがけに下部温泉の見学。下部ホテルでおみやげを買う。石原裕次郎の写真展をやっていた。彼のお気に入りの温泉だったようだ。

 ◯裕次郎好みし湯とや蝉しぐれ

川沿いに奥まで小さな旅館がたち並んでいる。

8月29日 月曜日
晴れときどき曇り。忍野八海へ。長坂大泉高根ICー甲府南ICー精進湖ー富士吉田うどん ムサシ 本物の味がした。ー北口富士浅間神社ー忍野八海 八海ソフト 草餅ー山中湖に向かうが途中でUターン、河口湖ミューズ館 与勇輝人形館ー西湖ー精進湖ー本栖湖ー下部道の駅 みそアイスー市川三郷町ー52号増穂ICー長坂大泉高根IC。


8月30日 火曜日
快晴。また遠征。11:00安曇野翁の蕎麦で昼食。

碌山美術館は増築されていた。日本のロダン荻原守衛が思慕した国光(相馬良)がモデルと言われる『女』を観た。これを造って守衛は灯火が消えるように亡くなったという、合掌、臼井吉見の大作『安曇野』が蘇ってきた。穂高神社。大王わさび、結構奥が深い。国宝松本城、登り降りが大変だった。旧開智学校。諏訪湖PAで薄暮の湖を眺めながらモスバーガーの夕食。

 ◯碌山の『女』悶える残暑かな
 ◯安曇野は色づき初める稲田かな
 ◯よろずいの水たぷたぷと稲田ゆく

2011年7月19日火曜日

杭全神社の連歌(二)

2009/3頃の自分の付句を抜き出してみた。


今年またこの花の下小編笠
  こころに染むや杜のうぐひす  佐為

明けぬれば所の夷訪ね来て
  鳥渡おほめに投げる賽銭    佐為

世の中は酸いも甘いも裏表
  うららに老の楽しくあらな   佐為

  霞がくれの恋の行く末
背き出づるわがふる里は遠のいて  佐為

祭笛ひときは高く響きをり
  床のあかりをゆらす鴨川    佐為

  山法師らの為業ゆゆしき
堪忍をひとには道と説きながら   佐為

いずくにぞ鹿の隠れて忍び居る
  もみぢかつ散る峡のゆふぐれ  佐為

  木枯らしも見よすぐなる心
ひたぶるに生くるはよそ目狂ふごと 佐為

行く雲にいざなはれつつ膝栗毛
  そらをさだめて立たん有明   佐為

  雁のこゑ閨にほの聞く
花のころたどる夢路のおぼろにて  佐為

  近くばよって雛をめでなむ
子をなしてだんだんわかる親ごころ 佐為

  朋と語りしひとときありて
倖せはひとそれぞれに違ふらし   佐為

  隈なき空に月を眺めむ
ひたひたと寄せてうねるや望の潮  佐為

人しげくあきなふ傍の難波橋
  みをつくさねばくいのこるべき 佐為

  ほととぎすの声まづぞ待たるる
山がつの庵のけぶりもほそるらん  佐為


杭全神社の連歌作法・式目

杭全神社の連歌

名残裏
 五  広き河色もかえずにとうとうと  
 六    ひねもす春の海をめざしぬ  
 七  うかれ出づるこころは花もとめられず  佐為

   うかれ出づるこころは花もとめられずひねもす春の海をめざしぬ

杭全神社(くまたじんじゃ)はリアルにも連歌を続けている稀有な所だが、インターネット連歌もやっている。久しぶりにのぞいて見た。百韻、発句が2009/10/22 〜 名残裏六2011/2/14でとまっていた。挙句前を付けた。西行 and/or 芭蕉の俤付け。法楽連歌にはふさわしくないかも。

   行く春にわかの浦にて追付たり 芭蕉

行く春とは西行のこと。わかの浦とは和歌のこと。西行を追慕するする芭蕉の心境。

杭全神社の連歌作法・式目

2011年7月18日月曜日

初心には随分許すべし。去嫌より変化の実を優先せよ!

去嫌総論 in『貞享式海印録』曲斎著

本書(芭蕉伝書『二十五箇条』支考著を指す。)
   【俳諧に指合の事は、凡そ嚔草の類に随ふべし。少しづゝの
    新古の事あり。されど一座の了簡を以て、初心には随分許すべし。】
   
    注:指合(さしあい) 連歌・俳諧で、同字語や同義語などが規定以上
      に近くに出るのを禁じること。また、そのきまり。

    注:嚔草(はなひくさ) 野々口立圃が寛永十二年に著した最古の俳諧
      作法書。
 
 ▲(曲斎の解釈を示す。):
   我家は禅俳の宗なれば、古法の去嫌を固(もと)とせずといふ心なれども、
   従容してかくいへり。

   此の故に古式に或ひは五去といふも、其の句其の句の出るに任せて五去
   にも二去にも、其の理ある物は越をも許されけり。

   初心には随分許せとあるをもて、古式に拘らざる故明らか也。素(もと)
   より去嫌を必とせざれば、是と定まりたる掟なけれど、門人は其の席々
   の證を鏡(かがみ)とせし故に、人々各々の訯き(さばき)も同意の訯きも
   あり。今則(のり)とせば、句去近き物をとるべき事也。

本書:【一句の好悪を先づ論じて、指合は後の僉義なるべし。指合とは辞の事
    也。去嫌とは象物の類也。指合、去嫌の用は、変化の為め也と。先づ
    其の故をしるべし。】

 ▲:一句の好悪とは作の事ならず。前句を、見かへしか見かへざるかと骨髄
   の変を論ずる事也。よく前情を変ずる時は、猫の越に鼠と付けても意の
   運び雲泥にて輪廻しせざれば、生類の論は時に臨みて許し、又前句を其
   の間々に付くる時は、趣向は唐天竺に異なるとも、その情通へば許すま
   じとぞ。
 
   指合とは字類の事、去嫌とは神、釋、恋、無常、名所、山川、衣食、生
   植等の模様を配る皮毛(ひもう)の変なり。この故に「後の僉義」と云へ
   り。されば恋は二より五なれども、百句続きたるも長句花短句鳥と並べ
   たる変格もあり。

   如此は前句を見かふる骨髄の変ならで、模様の皮毛に何の変かあらむ。
   抑も宗匠の能といふは、翁の金言を述ぶるのみなるを、句々出づる毎に
   掟たる付肌の論には及ばず、己が涅覔(ねちみゃく)の工夫より、なの花
   に行燈も、打越の浮名を立て、徒に句を返す宗匠もあるよし、祖師の冥
   見恥づべき事になむ。

本書:【変化の不自在より、世に指合、去嫌の掟あり。万物の法式は、此のさ
    かひにて知るべし。】
    
 ▲:連俳に去嫌を立てしは変化の為まなれど。当門には前句を転ずる妙法あ
   る故に、強ひて古式に預らずと其の理を堪破せよと也。

   つらつら惟(おもん)みるに当門専用の式と云ふは、「春秋五去にて三よ
   り五に及び夏冬二去にて一より三に至る。花は折に一つ。月は面に一つ
   にて、五去と云ふ類の外は、凡て臨機応変のさた也。」

撫子ジャパンW杯優勝

2011年7月15日金曜日

出張連歌:歌仙『雷の』の巻



      歌仙『雷の』の巻
                  起首:2011.7.5
                  満尾:2011.7.15
初折表
発句  雷の音は恐ろし梅雨あがり     夏  蛙紀羅  
脇     田の草取りに出づる合鴨    夏  涅阿(春蘭)
第三  蓮の花水上の園抜きん出て     夏  浮舟
四     賑ひゆかし城の松蔭         スナフッキン
五   名月の光り輝く独り舟       秋月 蛙
六     秋太郎殿でませや出ませ    秋  蛙
初折裏
一   はなたれて花野にはしゃぐ犬と主  秋  阿 
二     かけろやかけろ皆振り返る      蛙
三   高砂や九尾の狐着飾つて      恋  ス
四     色に出にけり秘めしときめき  恋  阿
五   大翁一息つくは語る時          蛙
六     そゝと奥よりお茶と菓子盆      阿
七   寒椿手折て床に挿し着せば     冬  ス
八     風花ながら冴ゆるゆふ月    冬月 阿
九   山茸や衣重ねて箸を持す         りゅんじょび
十     酒啜るとや煙る伏屋に        ス
十一  花の降る里にやどりぬ旅がらす   春花 ス
十二    ゆくすゑみればかすむくさはら 春  阿
名残折表
一   また増えし休耕田に雉子なく    春  阿 (きぎす)
二     ハートのジャックの懐事情      ス
二     懐さむく蔵も荒れ果て        蛙
三   何処へゆく国の舵取りふらふらと     蛙
四     それにつけても憂しやみちのく    阿
五   何時の世も水無月灯す人の群れ   夏  蛙
五   30°以下は冷房我慢して      夏  阿
六     たかが17文字に汗する    夏  阿
六     見た目だけでも浴衣すずしき  夏  阿 両句に
六     祈りの中に夏越過ごせり    夏  阿 両句に(なごし)
七   原子の子役にたてれど大暴れ       蛙
八     因の成すまま歴然として       り
九   君の背をいとし母屋に袖をふる   恋  り
十     わかれせつなき露の後朝    恋  阿 (きぬぎぬ)
十一  有明やあけぬうちから鳴くからす  秋月 阿
十二    紅葉敷く庭ながめ坐しけり   秋  り
名残折裏
一   美術展絵より自然が美しく     秋  阿
二     言葉無くして見いる万葉       り
三   千歳ふる歌の息吹がよみがへる      阿
四     いさ大和のちめぐる旅立ち      り
五   見上げれば花は空にてとおせんぼ  春花 り
挙句    ぬきつぬかれつ泳ぐ若鮎    春  阿

         蛙紀羅  九
         涅阿  十五
         浮舟   一
         スナフ  五
         りゅん  七

出張先:Gree
写真提供はフォト蔵さん

2011年7月3日日曜日

百韻『五月雨の』の巻



第二千句第十百韻

       百韻『五月雨の』の巻
                   2011.6.1~7.3

発句   五月雨の降りてとゝのふ山田かな   夏  私
脇      一軒家にて祝ふ早苗饗      夏  草栞  さなぶり
第三   遠方に幼言葉の聞こえゐて         ね子  をちかた
4      孫より猫を可愛がる祖父        私   じじ
5    一日を無為に過ぐして夜長し     秋  ね
6      更待月の侘しさに堪え      秋月 栞
7    あはれ蚊を障子の外にみちびいて   秋  私
8      手塩に掛けし弟子の旅立ち       ね

9    マジックのBGMを一新し          栞
10     夢の舞台に乙女らが舞ふ        郎女
11   タカラヅカデートとしては高くつき  恋  私
12     口説いてみればニューハーフなり 恋  ね
13   水仙の甘きかほりの似合ふひと    冬  郎
14     石焼薯をやり過ごせずに     冬  栞
15   江戸情緒たづね歩いて路地や辻       私
16     行き止まりにぞ好機潜める       ね
17   からくりを張り巡らせて古屋敷       郎
18     人目隠れて棲む小人たち        栞
19   家事すればただと人情大家さん       私
20     新入生は同郷訛り        春  ね
21   花むしろ守りを頼む知らぬ顔     春花 郎
22     巣立ち鳥来て餌をついばむ    春  栞
二オ
23   事もなく油揚げなど掻つ攫ひ        ね
24     金がもの言ふ企業買収         私
25   失敗といふオプションは考慮せず      栞
26     ただ白球を追ひ駆けるのみ       郎
27   松ばやし木下闇は涼しかり      夏  私
28     物の怪の気に満ち満ちてゐる      ね
29   丑三つの刻に煌めく五芒星         郎
30     美神を前に僕となりて         栞  しもべ
31   新婚の課長定時に帰宅する      恋  ね
32     月もよしとて急遽合コン    秋月恋 私
33   飲み比べ薦め酔はせる濁酒      秋  栞
34     からりからりと瓢かわきぬ    秋  郎  ひさご
35   ガラス戸に陽射しやはらぐ六畳間      私
36     ご飯ですよの声懐かしく        ね
二ウ
37   子らの手を引いて訪ねる独身寮       郎
38     白旗掲げ一時休戦           栞
39   与党対野党にあらず枯野原      冬  ね
40     うらは無心にゆりかもめ舞ふ   冬  私
41   空の木にいざ言問はん天の声        栞
42     少女の熱き想ひをのせて     恋  郎
43   あへぬまゝ月日流るゝ花筏     春花恋 私
44     八十八夜を駆けてゆきたし    春  ね
45   ゴールデンウィークこそが稼ぎどき  春  郎
46     句集作りのSOHO倶楽部        栞
47   育メンは仕事半ばに席を立つ        ね
48     チャイムとゝもに帰るコールか     私
49   教室に携帯電話置き忘れ          栞
50     夜が明けるまでwebでツイート    郎
三オ
51   essayを作家気取りで書きためて    私
52     つれづれ過ぎてものぐるほしけれ    ね
53   原文で読めと言はれてみたものゝ      郎
54     野外シネマで恋のレッスン    恋  栞
55   満月は狼男を誑かし        秋月恋 ね
56     遠き雲居を走る稲妻      秋恋  私
57   わびぬれて浅茅が宿に辿り着き    秋  栞
58     昔語りに涙雨ふる           郎
59   同期会かほでわからず名乗り合ひ      私
60     ガキ大将は文部大臣          ね
61   まあ俺についてこいよと胸を張る      郎
62     なさねばならぬメダル獲得       栞
63   一日ですつからかんのラスベガス      ね
64     あだな燭蛾に悔いはあるまじ   夏  私  しょくが
三ウ
65   井戸水で冷した西瓜いさぎよく    夏  栞
66     叩きて割れば色あざやかに       郎
67   あらうれし明石の塩がま桜鯛     春  私
68     眼にちらり浮かぶ春愁      春  ね  まなこ
69   いもうとも卒業の日を迎へをり    春  郎
70     謝恩の席に集ふ花の輪      春花 栞
71   幾年の思ひを胸に秘めたまま        ね
72     打てば血がわく祇園太鼓よ    恋  私
73   待ちきれず小路の茶屋に誘ひ入れ   恋  栞
74     団子喰う間に入る横槍         郎
75   すいとんが美味でひもじさ伝はらず     私
76     思ひやらるる夏の節電      夏  ね
77   それなりの制約がありクールビズ   夏  郎
78     掟破りのヒーロー出でよ        栞
ナオ
79   変身を試みれども我はわれ         ね
80     ちまたの小町に返す流し目    恋  私
81   短くも美しく燃え露と散る      秋恋 栞
82     月見の酒に酔はされるまゝ    秋月 郎
82     残る蛍は君がたましひ      秋恋 郎
83   ほのゆれてうつろひ初むる秋の草   秋  私  両句に
84     浦の苫屋は人影もなし         ね
85   今むかし藻塩の身をや焦がすとふ      郎
86     夕餉のけむり立ちのぼりつつ      栞
87   買ひだめもいいものですと冬籠り   冬  ね
88     積読本を炉辺に読まばや     冬  私  つんどくぼん ろべ
89   寝ては覚め謎解き推理繰り返し       栞
90     パズルの付いた日めくりめくる     郎
91   仏壇に快気お礼の香焚いて         私
92     昨夜の夢はラベンダー色     夏  ね  ゆふべ
ナウ
93   久方のすがしき寝覚め避暑のやど   夏  郎
94     窓の向こうはマグリットの絵      栞
95   現世とは何かと問はれ目を逸らす      ね
96     むゝゝと唸りどつと冷や汗       私
97   奪衣婆の座る番台後にして         栞
98     川面見やれば風きらめけり       郎
99   晴れ晴れと春を感じて花盛り     春花 ね
挙句     ひらりひらりと初蝶の舞ふ    春  郎

       私  二十五    
       草栞 二十五
       ね子 二十六
       郎女 二十五

縦書きPDF版 by ふないさん


式目  
正風芭蕉流準拠十カ条 

写真1借用は北杜市観光協会大泉支部さん 写真2借用はLivedoorPICSさん

2011年6月12日日曜日

『醒睡笑』連歌に関係する話


『醒睡笑』安楽庵策伝著  鈴木棠三訳、東洋文庫

1 宗祇と宗長

    めともいうなりもともいうなり 宗祇
   引連れて野飼の牛の帰るさに   宗長

    めともいうなりもともいうなり 宗祇
   よむいろは教ゆるゆびの下を見よ 宗祇

    ヒント:ゆめみしえひもせす

2 連歌月並会
  宗匠が朝ぼらけを褒めた。 それで初心者が夕ぼらけ、
  昼ぼらけを乱発。

   我はしてひとのぼらけや嫌うらん  初心者

3 宗長は近江の進藤という武士の養子になったが生まれは
  駿河島田の鍛治の子

   ひん抜きは進藤ごには似たれどもよくよく見れば島田鍛治なり

4 堂守 新しく造り立てたる地蔵堂哉 ー 字余り(かな)
  宗祇  物までもあきらめにけり  ー 字足らず

5 月次の連歌の会

   かま鶯は山の途中に飛びおりて

   本歌  うつり行く雲に嵐の声すなり散るか/まさきのかつらぎの山

6 連歌の会で執筆が舟が近いと注意

      舟でなし中くりあけた木にのりて

7 謎かけ
      ちゃんきのもんき なに? ある人
      富士の雪         宗祇

8 宗長ある家に下帯を忘れる

   思いきやおとすたづなの浜風に浪より高き名の立たんとは 宗長
 
9   子をはごくむは親のあわれみ  ある人
   狭莚のぬれたる方に身を寄せて   雄長老

10 貧乏な坊主が半分の餅を児ちごに与えた。

    十五夜の片われ月はいまだ見ぬ   児
        雲にかくれてこればかりなり  師の坊主

11 尾張の笠寺

    さるち児と見るより早く木にのぼる 宗長
      犬のようなる法師きたれば   ち児

12 連歌月次の会
    弟子が句を詠んで師の宗長の方に向かって、聞こえまい
    らせたか(よい句)かときいた。宗長は聞こえた聞こえた
    そこからここまでは聞こえたと返事。

13 村の庄屋が堤の祈祷連歌興行
    宗養に点を付けてもらったら99句にぺけマーク。発句に
    はマークがなかった、良い句だからかと聞いたら、切れ
    字がない、本当はぺけだが、堤は切れない方がいいとの
    返事。

14 連歌に身をやつした人、夜住まいの軒下に小便の音。
    夜分に居所へ来たって水辺を下すは人倫か生類か。植物
    をもって打擲せよ。

15 連歌師に奉公していた人が町人に住替え。友達が早起きし
   ないでもいいし宵から寝られ気楽だろうと言ったら、今の
   主人もぼんやり空を眺める癖があり、連歌師になるつもり
   じゃないか案じられるよ、と。

16 連歌会初心者、ふるえながらやっている。あんちょこを暦
   の裏に書いてやったら、暦の方を読み、かのとのひつじ、
   かまぬるによし、とやらかした。

17 宗長が紫野にいた頃延暦寺の坊から発句を所望された。

    猿の尻木枯知らぬ紅葉かな

   ちごも同席と知って、猿の面と変更した。

18 宗長の連歌の席に初心らしい座頭、一句申しましょうかと
   いうので、宗長は、連歌がすぎてからにせられよと言った。

19 三井寺を宗祇と宗長が見物。

    宗長   掃除もたらぬ三井の古寺
    宗祇  坂くだりくしゃぼうぼうと生え茂り

20 周桂は入江殿尼寺に馴染みあり。朝帰りを宗牧が見つけ、

    かつぎ出る青苔色の頭巾こそ入江のあまのしわざなるらめ

2011年6月6日月曜日

百番連歌合(三十三)




97     此浦よりやあかし成らん
     灯のとをきひかりの明て後       侍
     月出て嶋がくれなき浪の上       周
     くらき夜の舟にしるしの火をみせて   心

98     夢もあだなる手枕の露
     うき人のきかねば風も身にしみて    侍
     月かげの入野の旅ねあくる夜に     周
     うたゝねをいさめがほなるさ夜時雨   心


(跋文)

此前句にて救済周阿句を
合(あわせ)侍りて二條太閤御墨
など申給へる頗金玉也 一見感
情に堪かねて瓦礫を付侍り
且はかたはらいたき事に侍れども
田舎の冷然の心をやしなひ又
聊(いささか)の稽古にもと思ひ侍るば
かりなり 殊(ことに)両賢既(すでに)前句の心
詞の髄脳をば毎句とり尽し
給侍れば一塵も残べきにあら
ず候 上古風躰までに大様大
どかにしてありがたくこそ見え
侍給 しかあれど時代遥かに過去
侍れば此頃古人の風雅のまゝ
にてあそび侍らばいまの世の耳
には事ふりたる成べし 唐の

文も世々に替るとなれば時代
うつりかはり侍る 風躰の用捨
簡要たるべく候哉 此前句しな(品)ゝく
えん(艶)にをくれことごとく心つた
なく難句どもに候哉

 応仁貳年六月廿五日
   桑門釋 心敬


参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(三十二)


94     ほそきも道の末は有けり
     里ちかき山のこなたの雪消て      侍
     さと見ゆる麓の雪のうす煙       周
     里つゞくかた山かげの一ばし      心

95     聞しにかはる松風の声
     川浪はしほひのうらにながれきて    侍
     よひは雨あかつきは又雪ふりて     周
     山里にこよひの雪やつもるらん     心

96     たつ杣山のしげきめぐみに         
     さき草に花もかげをやならふらん    侍
     朽木まで君がみかけやたのむらん    周
     木をきざむ世には心もすなをにて    心

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(三十一)


91     思ひなぐさむ末のはかなさ
     我老をしばし忘るゝあらましに     侍
     山ざくら嵐の隙にしばしみて      周 
     一花を身のうつほ木に猶まちて     心

92     夢より後に夜こそ明ぬれ
     鳥もなき鐘も聲して又もねず      周
     きのふぞと思ふ別もむかしにて     侍
     送り捨帰る野もせに鐘なりて      心

93     さびしくなるね山かけの庵
     わが捨し世にはたれ又のこるらん    周
     そむく身のかくてあらんと思きや    侍
     うたて身に捨し心やよはるらん     心

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(三十)


88     かげうつるこそかゞみなりけれ     
     花の咲木ずえしらるゝ月出て      侍
     山鳥のをのへに出る月みえて      周
     まことには神やかたちもなかるらん   心

89     かりにおもふやいのちなるらむ
     うづら鳴野原の草に露をみて      侍
     夏草の露よりよはき身をもちて     周
     捨る身はとらふす山もうとからで    心

90     はかなくみゆるうらの釣舟
     後の世にしづみはつべき身をしらで   侍
     海士人は後の世ありとよもしらじ    周
     風浪の此世にしばし身をかけて     心

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十九)


85     一木にのこる松風のこゑ
     こほる夜は志賀の浦浪長閑にて     周
     遠き野の末みゆるまで草枯て      侍
     きりつくす杣山道は野原にて      心

86     我住山ぞしる人もなき
     雲かゝる峯の庵はかつ絶て       周
     朝夕は雲のかゝれる峯たかし      侍
     かゝる身を見るも岩木は物いはで    心

87     よする浪まにひろふ貝あり
     みつ汐に磯山桜ちりかけて       周
     みがゝずば玉も光はよもあらじ     侍
     袖ひぢてしほせにおるゝ海士小舟    心

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十八)


82     馴て聞つるすまのうら浪
     海士人のしほ波衣ひるまなし      周
     鳴千鳥我物思ふ友なれや        侍
     かたるにや人も袂をぬらすらん     心

83     雲のかゝるはおきつしら浪
     遠嶋や舟のとまりと暮ぬらん      周
     ながめやる千里の外に雪降て      侍
     野を遠み尾花が末や時雨らん      心

84     しほひの河や流(れ)出らん   
     あま人の水汲舟をさしよせて      周
     曙はところどころに山みえて      侍
     朝ぼらけ霞に雪の江は晴て       心

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十七)


79     なみだわするゝすみぞめの袖
     人ごとの別のあるになぐさびて     侍
     柴の戸はうき世の外の月をみて     周
     うらみある人をも世をも捨はてゝ    心

80     ちかく見えたる杉のむら立
     雪に吹関の嵐に夜は明て        侍
     霧はるゝ山田の原に月出て       周
     あさまだき山本あをき雨晴て      心

81     ほどにしたがふ世々のおもひ出
     あはれみの数にもらさぬ仏たち     侍
     春は花秋は月とて見しばかり      周
     かしこしなさだむる百の司めし     心 

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十六)


76     わがねざめなるすまのうら波
     月の夜に関吹こゆる風聞て       周
     夜舟こぐあかしのいその遠からで    侍
     むねをやくもしほの枕明やらで     心

77     をくれ先だちうきは別路
     世中にのこる我身もたのまれず     周
     そふ人に同じ命のきはもがな      侍
     後の世のせめてつれぬる旅ならで    心

78     馴ても山のおくぞさびしき
     柴の戸をたゝく夕の松の風       周
     すつる身になりて住ばや柴の庵     侍
     松風に心ゆるせば袖ぬれて       心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十五)


73     朽てあやうきそばのかけはし      (岨)
     この山はえにかきてだにみる物を    侍
     杣人のかよふ山路にこけふみて     周
     旅人も駒引かへすみ山路に       心

74     生れあひてもともに老ぬる
     鴬の此頃なくに花落て         侍
     鳥の子の尾羽とゝのへば巣を出て    周 (おば)
     とりの子もすだつばかりの春の草    心

75     松一村や野中なるらん
     夢さむる嵐の吹に草かれて       侍
     冬がれの荻の上にも風聞て       周
     薄ちるむかしの跡の秋の風       心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十四)


70     水を尋て里に来にけり
     此うらに始てと奥津舟         周
     鳥のすむ山をうづみてふる雪に     侍
     山川の末よりうつる夜はの月      心

71     昨日ややがてむかしなるらん
     老ぬればことのほかなる物わすれ    周
     忘れてはうき世の外に成にけり     侍
     一夜とも思はぬ雨のあけやらで     心

72     むかしの友のなにととふらん
     捨しよりあらぬ我身と思ふ世に     周
     思ふべき我身をだにも捨ぬるに     侍
     名をかへて憂身をかくす山里に     心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十三)


67     今夜あらしの何と吹らむ        (こよひ)
     近くなり遠く聞ゆる鐘の声       侍
     月みるに又ふりかはる村時雨      周
     くれぬとて帰(り)し花の山里に     心

68     かゝらんとてぞ身はのがれたる
     はごくみしその独子を留置て      侍 (育みし) 
     あかむすぶ雫の苔の袖ぬれて      周 (閼伽:仏に手向ける水)
     みだれたる世にものどけき墨の袖    心

69     をしえとなるは十声一こゑ
     あまたみる鳥は親子の囀りて      侍
     法の師を起ふしおがむ旅ごとに     周
     末の世の御法はしたのうえにして    心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十二)


64     道もかはりて旅にゆくなり
     山は雪野は霜さむき暮ごとに      周
     関守も舟をばとめず須磨の浦      侍
     かずかずにこの舟つきを立わかれ    心

65     道絶てこそ山もふかけれ
     いつの間に雪の梢に成ぬらん      周
     此まゝにうき世隔よ峯の雲       侍
     この世より身はうづもるゝ苔の戸に   心

66     又帰るつき世ともおもはず
     法の師のことはりをとく寺にきて    周
     たが跡の苔のしたには残るらん     侍
     いま一目おさめぬ先に見まくほし    心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十一)


61     旅のあはれをかたりてぞ行
     うら松の風と浪とのこゑごゑに     侍
     故郷の秋もわすれぬくれごとに     周
     此世にてあふはわかれぬ道もなし    心

62     深山の道をひとりこそゆけ
     くもる日は我かげだにも身にそはで   侍
     花もなきその梢だに夕にて       周
     見しはなき蓬が杣の露分て       心

63     都の遠き程ぞしらるゝ
     山かくす雲をば跡にかへりみて     侍
     秋風をあづまの関にけふ聞て      周
     露にこそぬれし袂を雪にみて      心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(二十)


58     都わかれていつかきへらん
     此人はひなの長路の旅やつれ      周
     あけにけり月にしぐるゝ峯の雲     侍
     月日をも忘るゝほどの山里に      心

59     旅のたむけにはらひよくせよ
     吹風もあらしその山聲とをく      周
     道しらぬ関を始てこえん日に      侍
     帰べき門出をいはふ此あした      心

60     こえぬる山やはてと成らん
     野を過て此里にふる夕時雨       周
     夕かげのなきむさし野を末にみて    侍
     人のわざすぐれば出る峯の寺      心

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十九)


55     思ひもよらぬたより成けり
     舟いだす時しも友に行あひて      侍
     とを里の梅がゝをくる風吹て      周
     かけ水にみ山の月のつたひきて     心

56     旅にてきけば秋風ぞ吹
     わが見るや故郷人の袖の月       周
     衣をもわがためにとてよもうたじ    侍
     春の夜も宿から月は身にしみて     心

57     みなとも浦も船はゆくなる
     松に吹き浪に聲ある風聞て       侍
     あま人のむらむらにすむ里有て     周
     をくれしと旅人さはぐ夜は明て     心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十八)


52     故郷なりし人も忘ず
     我なくてひとりや花を惜らん      周
     暮ごとにいづくの宿の霞らん      侍
     ながむらんとおもふ月を形見にて    心

53     山よりいづる道ぞ見えたる
     初雪に跡を思はぬ木こりにて      周
     のがれなば世に帰らじと思しに     侍
     ひと筋の水は雪にも顕て        心

54     われはこえつる嶺の白雪
     ゆくゆくも心はとまる花を見て     周
     つれてこし人は山よりとゞまりて    侍
     をくれぬる旅の初雁いつかこん     心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十七)


49     朝夕待は旅の音信           (おとづれ)
     山川をいくかの道にへだつらん     侍
     遠くゆく人も月日や隔らん       周
     子をおもふはゝその一木朽やらで    心 (ははそ:柞)

50     つなぐと見えて舟ぞとゞまる
     我はたびすまの関守こゝろせよ     侍
     旅人の馬よりわたす川のせに      周
     しほせにはゆるくばかりの浪もなし   心

51     これを過ても猶旅の宿
     いづくにて都の事を忘れまし      侍
     故郷にいつの夕かかへらまし      周
     たがかたに又世をさらば生(れ)まし   心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十六)


46     人待我も涙おちけり
     桐の葉に秋の風吹門古て        周
     文もなき使ばかりのをとづれて     侍
     雁が鳴夕の萩の露をみて        心

47     ちぎらずばよも待はならはじ
     有明の月をみる夜のかさなりて     周
     秋の風そなたのかぜはいかが吹     侍
     人ぞうきふけ行(く)かねはとがもなし  心

48     けふは旅にぞをそく出ぬる
     花のある宿なりけりと朝みて      周
     雲まよふ雨の名残の朝日かげ      侍
     足いたむ駒かふ宿に休らひて      心

参考文献
(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十五)


43     身にはしらるゝ人のおもかげ
     別にしその日はいまも遠からで     侍
     夢にゆく我はそなたによもみえじ    周
     たらちねに心のにぬを恨にて      心

44     しられずぬるゝ夜の衣手
     故郷に馴にし友を夢にみて       侍
     夢にただこなた斗の別にて       周 (ばかり)
     過けるかまどろむ閨の初時雨      心

45     涙のしらぬ夕ぐれもなし
     待そめし心こそ猶悔しけれ       侍
     月まつと人には見えていふ物を     周
     忍ぶるをもらす心よたれならん     心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十四)


40     心ゆるさぬわがなみだかな
     名にたゝばうかるべき身の思にて    周
     しらせねばそなたにとがはなき物を   侍
     忍ぶるは身のしるだにもかなしきに   心

41     此夕ぐれも人ぞまたるゝ
     独きく荻の上風身にしみて       周
     わかれうきけさの涙のそのまゝに    侍
     偽にうたて命のこりもせで       心

42     わかれし人の遠き面かげ
     故郷は花をまちてやとはれまし     周
     夕煙空なる雲に立そひて        侍
     角田川舟まつ暮に袖ぬれて       心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

2011年6月5日日曜日

百番連歌合(十三)


37     杉の木間の雪ぞみえける
     二もとの花はいづれかのこるらん   侍
     月のもる関のし水はこほりにて    周
     明そむるよ川の遠の比良の山     心 (をち)

38     うき夕をばしらで過めや
     荻にふけ涙のよそに秋の風      侍
     契しを忘ねばこそこぬをとへ     周
     さてもわがをはりよねむるごとくなれ 心

39     思ふ心ぞ空にうかるゝ
     故郷の山の名残を雲にみて      侍
     雲を吹み山おろしに花をみて     周
     からす鳴霜夜の月に独ねて      心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十二)


34     月さむしとや千どり鳴らむ
     霜の夜もこほらぬ浪の声々に    侍
     舟にねて夢のおどろくさ夜中に   周
     雪こほる袖の河原をかへる夜に   心

35     雪にわけ入をのゝかよひぢ
     炭がまの煙を山の中にみて     周
     冬ぎくの枯し頃より里ふりて    侍
     鹿のねも色なる月に夜は深て    心

36     やすく過るは時雨なりけり
     月を見てふりぬと思ふ身の盛    周
     我の身と世にふる事をなげく身に  侍
     雲はまづ瀬戸こす舟に先立て    心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵

百番連歌合(十一)


31     木のはのふかばくもらざりけり
     秋さむき嵐に松はあらはれて    侍
     山風の月に過つる一時雨      周
     月を吹あらしもしろき山里に    心

32     つらゝとけてぞ月もながるゝ
     舟つなぐねりそのつなやくだくらん 侍
     浦に行舟かすかにやかすむらん   周
     山水の更て聲そふ春のよるに    心

33     ふらぬかたあるけさの初雪
     はま川の氷のきはゝ塩干にて    侍
     山風の末は里にもふく物を     周
     すみかまのあたりは冬の山ならで  心

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(1)百番合連歌、救済・周阿・心敬 早稲田大学図書館所蔵