2013年11月7日木曜日

【満尾】第四千句第十百韻『つくづくと』の巻


                      百韻『つくづくと』の巻   
                                                                                  2013.11.7〜12.12

発句  つくづくともののはじまる火燵かな   鬼貫 冬
脇     時雨るるさきに街へ買出し     春蘭 冬
第3  山茶花の垣を曲れば散歩犬       草栞 冬
4     馴染みとなりて掛けるひと声    真葛
5   行列が行列を呼ぶラーメン屋      野茨
6     つるべ落しに迫る夕闇        栞 秋
7   月と酒どつちと言へぬ友にして      蘭 秋月
8     霧の向かうに独り身の家      ね子 秋

9   こりもせず一人相撲の片おもひ      茨 恋
10    消えかかる炎に反故の恋文      葛 恋
11  受験より大切なもの今はなし       ね 
12    スマホ世代も占いが好き      曙水
13  LINEして親子関係良好に       茨
14    げにむつかしき以心伝心       栞
15  噂して七十五日里の村          葛
16    風吹きやんでのぼる炊煙       蘭
17  ちり鍋を囲む奉行の睨み合ひ       栞 冬
18    勝ちし力士の肌に湯気立ち      水 冬
19  満場は総立ち拍手なりやまず       茨
20    記憶は春の雨の場所取り       ね 春
21  川沿ひの花のトンネル往き戻り      蘭 春花
22    雲雀囀るホワイトハウス       栞 春
二オ
23  とりにくさのりこえ有休消化して     茨
24    南の島でゴーギャンの真似      葛
25  探すなよこころの中にユートピア     茨
26    吾児の寝顔にゆるむ口もと      蘭
27  朝は妻昼は上司にどやされて       ね
28    満月の夜の変身願望         栞 秋月
29  長き夜に中島みゆき独り聴き       水 秋
30    山のやうなるピーナツの殻      葛 秋
31  老いて食細いながらも秋渇        蘭 秋
32    はかりに乗つて一喜一憂       茨
33  釣り宿に更新記録の魚拓貼る       水
34    目を見張ること多き旅先       ね
35  レートなどお構ひなしに爆買ひす     葛
36    おもへば遠しバブル時代よ      茨
二ウ
37  行く川の流れは絶えず浮葉舟       栞 夏
38    決められぬままふたまたの恋     蘭 恋
39  涙ぐみ悲劇の女演じ切る         葛 恋
40    輝く星となりし魂          栞(恋)
41  なきひとをふと思ひ出すゆふの鐘     茨
42    親の苦労を親となり知る       蘭
43  放蕩の末の棲処の有難き         栞
44    ことこと煮立つ芋粥の鍋       葛 秋
45  すさまじき山家のそらに澄める月     茨 秋月
46    庭の浅茅にすだく蟋蟀        蘭 秋
47  来客のなき日曜はワイン風呂       ね
48    ヨガで瞑想うららかな午後      栞 春
49  ひらりひら花びらひらりひらひらり    茨 春花
50    池に残りし鴨の水尾曳く       蘭 春
三オ
51  そぞろなり都踊りの近づきて       葛 春
52    本番備へ着付け練習         茨
53  撮影の合間に食べるカツサンド      栞
54    NGだけでスペシャル作り      水
54    メイク早いも売れっ子の技      水
55  呼び物は伊達の十役早変はり       蘭
56    一期一会の一世一代         栞
57  わが庵で茶会はじめて主催して      茨
58    すわ引っ越しと騒ぐ店子ら      水
59  恬として噂のぬしは頬被り        葛
60    邪魔されやすき色恋の道       茨 恋
61  野茨を手折りて気づく愛の不義      栞 夏恋
62    ゲーテとギョーテ和解せしとや    葛
63  悩むとも外にいでよと春の月       水 春月
64    田は水たたへ蛙鳴き初む       蘭 春
三ウ
65  名にし負ふ高嶺は雪や里桜        茨 春
66    世界遺産に挑む人びと        ね
67  とりあへずゆるキャラつくる町おこし   蘭
68    大志抱かずめざすB級        水
69  ながらへば埴生の宿もまた楽し      栞
70    ハモニカの音すこし上達       葛
71  一列に並んで歩く七五三         ね 冬
72    カルガモ親子フラッシュに慣れ    水 夏
73  緑陰がオアシスつくるオフィス街     茨 夏
74    手つき見事にワープロを打つ     葛
75  自分史をものせん履歴書まづ書いて    蘭
76    夜明け前より霞立ちたる       栞 春
77  三輪山の裾野をたどり花遍路       水 春花
78    八十のちまたに萌える若草      茨 春  やそ
ナオ
79  ロリータと名付く娘の稚けなさ      葛
80    あひあひ傘に描かれ赤らむ      蘭 恋
81  濡れ事を隠す暇なく広まりて       栞 恋
82    秘密保護法ねがふ面面        葛
83  せいじかのきょうみ利権と保身のみ    茨
84    庶民はいつも質素倹約        蘭
85  新聞は折込チラシがあんこにて      茨
86    食傷気味の父の説教         ね
87  なんやかや実家に帰り愚痴を言ひ     蘭
88    ふらりと出れば肌寒き野良      茨 秋
89  さやけくも木の間にのぞく十三夜     蘭 秋月
90    ひとり筆持ち染みる虫の音      水 秋
91  夢に見た文学賞は夢のまま        葛
92    遥けき希み神のまにまに       栞 
ナウ
93  堕ちてみて知ることもあり恋の淵     水 恋
94    またぞろもたぐ浮気ごころよ     茨 恋
95  会社ってそとみなかみは違ふもの     蘭
96    偽りのある是は早く朽ち       蛉
97  誤表示の白状をさまる気配なし      茨
98    やけに羽音の耳につく虻       蘭 春
99  喧噪をよそに天園花盛り         栞 春花
挙句    水平線の霞むわだつみ        茨 春

・・・経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん