猿蓑 歌仙「灰汁桶の」の巻 もどき「カラオケの」の巻
2008.1.22〜2.20
灰汁桶の雫やみけりきりぎりす 凡兆 カラオケのマイクやみけりきりぎりす狸
あぶらかすりて宵寝する秋 芭蕉 秋の夜長をごろり手枕 智
新疊敷ならしたる月かげに 野水 月明かり古女房は留守にして 寅
ならべて嬉し十のさかづき 去来 へそくり並べ盃上げる 兔
千代経べき物を様々子日して 蕉 千年の古都の若菜野からし和へ 蘭
鶯の音にたびら雪降る 兆 うぐひすもなけ合格の報 奴
ウ
乗出して肱に餘る春の駒 來 今年こそ夢の馬券を弥生賞 光
摩耶が高根に雲のかゝれる 水 モナコの空に雲のかかれる 修
ゆふめしにかますご喰へば風薫 兆 風薫るモンテカルロの夜は更けて 不
蛭の口處をかきて氣味よき 蕉 カフェーで氷かきて気味よき 狸
ものおもひけふは忘れて休む日に 水 やり直しハンドボールは連敗で 智
迎せはしき殿よりのふみ 來 せめて今宵は君に文書く 寅
金鍔と人によばるゝ身のやすさ 蕉 赤福の若様今日はデートです 兔
あつ風呂ずきの宵々の月 兆 三笠の月にいつはりぞなき 蘭
町内の秋も更行明やしき 來 仲麻呂が算盤使う唐の秋 奴
何を見るにも露ばかり也 水 露の世なれば何を語らん 光
花とちる身は西念が衣着て 蕉 雑念が衣着ている花の宴 修
木曽の酢茎に春もくれつゝ 兆 酢茎歯に歯に春や春・春 不
ナオ
かへるやら山陰傅ふ四十から 水 トラワヨー釜山の海はのたりのたり 狸
柴さす家のむねをからげる 來 防風林の補強始める 智
冬空のあれに成たる北颪 兆 毒入りの餃子の怪と寒さ来て 寅
旅の馳走に有明しをく 蕉 馳走諦め早寝きめこむ 兔
すさまじき女の智慧もはかなくて 來 借る宿の娘のなさけ露ならず 蘭
何おもひ草狼のなく 水 憂き世の中を何おもひ草 奴
夕月夜岡の萱ねの御廟守る 蕉 姫路城五重六階夕月夜 光
人もわすれしあかそぶの水 兆 人もわすれし庶民の涙 修
うそつきに自慢いはせて遊ぶらん 水 ジュセリーノに地震いはせて防ぐらん狸
又も大事の鮓を取出す 來 保存食にと馴鮨用意 智
堤より田の青やぎていさぎよき 兆 父置いて娘去り行く青田道 寅
加茂のやしろは能き社なり 蕉 ドンドンヒャララ能き社より 兔
ナウ
物うりの尻聲高く名乗すて 來 物見する尻だこ赤き猿のむれ 蘭
雨のやどりの無常迅速 水 山のやどりに座禅常住 奴
昼ねぶる青鷺の身のたふとさよ 蕉 嘶ける勝馬の身の尊さよ 光
しょろしょろ水に藺のそよぐらん兆 その鬣に風そよぐらん 修
糸櫻腹いつぱいに咲にけり 來 川の辺の花放課後に咲きにけり 狸
春は三月曙のそら 水 入学式の準備完了 智
2008年2月21日木曜日
歌仙『雪ふわり』の巻
class:
連歌俳諧



歌仙『雪ふわり』の巻
2008.2.7〜20
発句 雪ふわり吸い込まれ行く豆礫 草栞 冬
脇 梅はつぼむも春は来ぬらし 春蘭 春
第三 きさらぎの合唱祭も近づいて 亮 春
四 鶯餅にほっと一息 みかん 春
五 月光の中を子猫の影走る 青波 春月
六 どこか病気の人はいないか こやん
ウ
一 災ひを転ずるものはこころにて 蘭
二 ふられ同士が通電し合い 栞 恋
三 道ならぬ恋と知りつつ迷い道 み 恋
四 髪などカット軽い足どり 亮
五 とろ早い波にしばらく一休み こ
六 トライアスロンゴール目指して 波
七 標石の峠過ぎれば秋涼し 栞 秋
八 底なし沼に月浮かび居る み 秋月
九 代々の藩主が眠る萩の寺 波 秋
十 着付け手間どりもはや人波 蘭
十一 丹精の由来話しつ花の帯 亮 春花
十二 ひばりの声を空に聞くのみ こ 春
ナオ
一 放たれた七色風船風と消え み 春
二 目減りしてゆく貯金通帳 亮
三 日の本の冬の時代はいつまでと こ 冬
四 ブートキャンプで嘆く間もなし 波
五 うるはしき女教師に険みえて 蘭
六 差し棒かざせば香水仄か 栞 夏
七 携帯もチリチリルルと震えだし 亮
八 あなたのせいとなすりつけあい み
九 代議士の先生秘書をかばわない 波
十 ススキのこうべ垂れるあわれさ こ 秋
十一 夜も更けていつか臥待ち薄明り 栞 秋月
十二 嫁の実家で過ごす盂蘭盆 蘭 秋
ナウ
一 稼業継ぎ家長面する三男坊 み
二 飾り棚にはグリコのおまけ 亮
三 手びねりの楽で侘び茶のまねをして 蘭
四 裏のとまやの在りし日想う 栞
五 古びたるコンビナートに花は咲き こ 春花
挙句 春の色した大気きらめく 波 春
(捌き 草栞)
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