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2016年1月26日火曜日

碧巌録 第三十六則  仏果圜悟禅師


始随芳草去 又逐落花回 
  始めは芳草に随って去り、又落花を逐うて回える

風狂蛍堕草 雨驟鵲驚枝
  風、狂して蛍草に堕ち、雨、驟にして鵲枝に驚く

白鷺沙汀立 盧花相対開
  白鷺沙汀に立ち、蘆花相対して開く

夜静渓聲近 庭寒月色深
  夜静かにして溪声近く、庭寒うして月色深し

2011年4月2日土曜日

李下不正冠


  
   古楽府「君子行」

君子防未然  君子は未然に防ぎ、
不處嫌疑間  嫌疑の間に処せず。
瓜田不納履  瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず、
李下不正冠  李下に冠(かんむり)を正さず。

(以下略)

 李下【りか】すももの木の下


写真提供はフォト蔵さん

2010年10月14日木曜日

李白『宣城見杜鵑花』 

李白『宣城見杜鵑花』 せんじょうにてとけんかをみる
 蜀國曾聞子規鳥   しょくこくにかつてきくほととぎす
 宣城還見杜鵑花   せんじょうにまたみるとけんのはな
 一叫一廻腸一斷   いっきょういっかいはらわたいちだん
 三春三月憶三巴   さんしゅんさんがつさんぱをおもう

           杜鵑・子規:ほととぎす
           杜鵑花(とけんか、とけんのはな):つつじ
           三巴(さんぱ):蜀=四川省の東部の三郡、李白の故郷

2010年6月21日月曜日

李白『春夜宴桃李園序』


夫天地者萬物之逆旅 夫れ天地は萬物の逆旅にして
光陰者百代之過客  光陰は百代の過客なり
而浮生若夢     而して浮生は夢の若し
爲歡幾何      歡を爲すこと幾何ぞ
古人秉燭夜遊    古人燭を秉(と)り夜遊ぶ
良有以也      良(まこと)に以(ゆえ)有るなり
況陽春召我以煙景  況んや陽春我を召くに煙景を以てし
大塊假我以文章   大塊の我を假(か)すに文章を以てするをや
會桃李之芳園    桃李の芳園に會し
序天倫之樂事    天倫の樂事を序す
群季俊秀      群季の俊秀なるは
皆爲惠連      皆惠連たり
吾人詠歌      吾人の詠歌は
獨慚康樂      獨り康樂に慚づ
幽賞未已      幽賞未だ已まざるに
高談轉清      高談轉(うた)た清し
開瓊筵以坐花    瓊筵(けいえん)を開いて以て花に坐し
飛羽觴而醉月    羽觴(うしょう)を飛ばして月に醉ふ
不有佳作      佳作有らずんば
何伸雅懷      何ぞ雅懷を伸べん
如詩不成      如(も)し詩成らずんば
罰依金谷酒數    罰は金谷(きんこく)の酒の數に依らん

※ 芭蕉『おくの細みち』
   月日は百代の過客にして行かふ年も又旅人也 

李白『哭晁卿衡』


日本晁卿辭帝都  日本の晁卿は帝都を辭し
征帆一片遶蓬壺  征帆一片蓬壺を遶(めぐ)る
明月不歸沈碧海  明月歸らず碧海に沈み
白雲愁色滿蒼梧  白雲愁色蒼梧に滿つ

※晁卿衡 阿倍仲麻呂 天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも
 蓬壺  蓬莱 方壷

写真提供はウィキペディアさん

李白『遊洞庭』

洞庭西望楚江分  洞庭西に望めば楚江分かる
水盡南天不見雲  水盡きて南天雲を見ず
日落長沙秋色遠  日は長沙に落ちて秋色遠し
不知何處弔湘君  知らず何れの處にか湘君を弔らはん

李白『山中與幽人對酌』

山中與幽人對酌  山中幽人と對酌す

兩人對酌山花開  兩人對酌すれば山花開く
一杯一杯又一杯  一杯一杯又一杯
我醉欲眠君且去  我醉うて眠らんと欲す君且(しばらく) 去れ
明朝有意抱琴來  明朝意有らば琴を抱いて來たれ

李白『山中答俗人』

問余何意棲碧山  余に問ふ何の意ありてか碧山に棲むと
笑而不答心自閑  笑って答へず心自のづから閑なり 
桃花流水杳然去  桃花流水杳然と去る
別有天地非人間  別に天地の人間(じんかん)に非ざる有り

2010年6月18日金曜日

李白『春日醉起言志(はるひ酔ひより起きて志を言ふ)』

處世若大夢  世に處(を)るは大夢の若し
胡爲勞其生  胡爲(なんすれ)ぞ其の生を勞する
所以終日醉  所以(ゆゑ)に終日醉ひ
頽然臥前楹  頽然として前楹に臥す
覺來眄庭前  覺め來りて庭前を眄 (なが)むれば
一鳥花間鳴  一鳥花間に鳴く
借問此何時  借問す此(いま)は何の時ぞと
春風語流鶯  春風に流鶯語る
感之欲歎息  之に感じて歎息せんと欲し
對酒還自傾  酒に對して還(ま)た自ずから傾く
浩歌待明月  浩歌して明月を待つに
曲盡已忘情  曲盡きて已(すで)に情を忘る

※前楹(ぜんえい):前の柱

李白『送友人』

青山橫北郭  青山北郭に橫たわり
白水遶東城  白水東城を遶(めぐ)る
此地一爲別  此地一たび別れを爲し
孤蓬萬里征  孤蓬萬里に征く
浮雲遊子意  浮雲遊子の意
落日故人情  落日故人の情
揮手自茲去  手を揮って茲より去る
蕭蕭班馬鳴  蕭蕭として班馬鳴く

李白『夏日山中』

懶搖白羽扇  懶(ものう)く搖(うご)かす白羽の扇
裸袒青林中  裸袒す青林の中
脱巾掛石壁  巾を脱いで石壁に掛け
露頂灑松風  頂を露(あら)わして松風に灑(あら)わしむ

※裸袒(らたん):はだぬぎになる

李白『独座敬亭山』

衆鳥高飛尽  衆鳥高く飛び尽くし
孤雲独去閑  孤雲独り去って閑かなり
相看両不厭  相看みて両(ふたつ)ながら厭わざるは
只有敬亭山  只だ敬亭山有るのみ

李白『静夜思』

牀前看月光  牀前 月光を看る
疑是地上霜  疑ふらくはこれ地上の霜
挙頭望山月  頭を挙げて山月を望み
低頭思故郷  頭を低れて故郷を思ふ

李白『贈内(つまに贈る)』

三百六十日  三百六十日
日日醉如泥  日日醉うて泥の如し
雖爲李白婦  李白の婦(つま)と爲ると雖も
何異太常妻  何ぞ太常の妻と異ならん (太常:神主)

     をりをりの月に妙なる詩を吐いて朝寝朝酒咎められずに 

                   ( 連歌百韻『翁逝き』)

李白『自遣』

對酒不覚瞑  酒に対して瞑を覚えず
落花盈我衣  落花我が衣に盈つ
酔起歩溪月  酔より起きて溪月に歩めば
鳥還人亦稀  鳥還って人また稀なり

杜甫『初月』

光細弦欲上  光細くして弦上らんと欲す
影斜輪未安  影斜にして輪未だ安からず
微升古塞外  微に升る古塞の外
已隱暮雲端  已に隱る暮雲の端
河漢不改色  河漢色を改めず
關山空自寒  關山空しく自ら寒し
庭前有白露  庭前白露有り
暗滿菊花團  暗に菊花に滿ちて團なり

李白『月下独酌』

花間一壺酒  花間 一壺の酒
独酌無相親  独り酌みて相ひ親しむ無し
挙杯邀明月  杯を挙げて明月を邀へ
対影成三人  影に対して三人と成る
月既不解飲  月既に飲むを解せず
影徒随我身  影徒らに我が身に随ふ
暫伴月将影  暫らく月と影とを伴って
行樂須及春  行樂須らく春に及ぶべし
我歌月徘徊  我歌へば月徘徊し
我舞影零乱  我舞へば影零乱す
醒時同交歓  醒むる時同に交歓し
醉后各分散  醉ひて后は各おの分散す
永結無情遊  永く無情の遊を結び
相期邈雲漢  相ひ期せん 邈かなる雲漢に

李白『峨眉山月歌』

峨眉山月半輪秋  峨眉山月 半輪の秋
影入平羌江水流  影は平羌江水に入って流る
夜発清溪向三峡  夜 清溪を発して三峡に向かう
思君不見下渝州  君を思えども見えず 渝州に下る
 
君とは月のこと。
   

2010年2月27日土曜日

短歌で連歌(二)with 漢詩

2006年11月19日10:04

69  年ごとに紅葉は散れるあだし野の
70   無縁仏の大頭かな        遊
71  昨日今日雪ふりやまぬ嵯峨の里
72   青竹裂くることはなからん    蘭
73  ふる畑の岨のたつ木にゐる鳩の
74   友よぶ声のすごき夕暮れ    西行
75  ブラジルへ汽笛鳴くよな移民船
76   サングラスして遠くみる君    蘭
77  山嶺沸湯飲珈琲 
78   紅葉満麓蒼湖光         蘭


ネタがないので別トピから借用。
短歌と漢詩(聯)の競演は、和漢朗詠集が有名だが、これはその連句版。和漢連句や漢和連句とも違い、まとまりのある2句単位で連鎖していく。