旅楽し前も隣も女です 方大
肩ふれて喧嘩はじめる指定席
飛ぶ前に家へ電話のおびんたれ
出張は赤になるのが普通なり
2008年6月27日金曜日
歌仙「きらめきを」
class:
連歌俳諧
歌仙「きらめきを」
( 本句取り )
きらめきを青葉に映す水面かな 蘭 あらたうと青葉若葉の日の光 芭蕉
梅雨の合間のすずろなる風 奴
地図帳に野ざらしの旅箋付けて 奴
ゆるり数へる壺のへそくり 蘭
歌を詠む妻いそいそと月見会 蘭 芋あらふ女西行ならば歌よまん 芭蕉
朝顔の飯乱れ髪見ゆ 奴 朝顔に我は飯食う男哉 芭蕉
幕待たず日々稽古する秋進む 狸 日々新たなる舞台とや秋進む 汀女
おとこ名で書く貴方への文 寅
これきりの約束で逢う山の宿 寅 子を産まぬ約束で逢う雪しきり 森中
足湯に遊ふ戯れもせず 狸
冷酒にまぶしきまでの白浴衣 狸 山冷にまぶしきまでの白浴衣 汀女
昼寝する児の息は健やか 寅 寝ていても団扇の動く親心 古川柳
貧しさも慣れてしまえば苦にならず 寅 貧しさもあまりの果ては笑ひ合ひ吉川
樅の木蔭に飲みし山羊乳 狸
なほ上がるタスポ持たぬぞ夏の月 狸 なほ北に行く汽車とまり夏の月 汀女
妻に指示され今朝もゴミ出し 寅
酒がわりなどと番茶で花見して 寅 お茶がわりなどと嬉しい泡が出る大木
蜃気楼見ゆ波の彼方に 狸
浅間山おぼろに見ゆる帰省かな 修 ナ 浅間山けぶりの中の若葉かな 蕪村
煙突高し風呂屋一軒 光
湯冷めして嚔を発し乳房揺れ 光 さうぶ湯やさうぶ寄りくる乳のあたり
鼻水を啜り井戸水を汲む 修 白雄
此冬はババシャツ着ようとおもひけり修 此冬や紙子着ようとおもひけり 蕪村
上田の人は今は快調 光
傘さして誰を待つのか田舎駅 光 傘さしてふかれ出し青田かな 白雄
胸キュンとなる通学列車 修
なつかしき手紙机の中にあり 修 学びする机のうへの蚊遣かな 蕪村
竹馬の友は杖が頼りで 光
天心の月に問ひたし今むかし 光 今むかし月はしらずも澄夜かな 白雄
狐と狸にこの世任せ 修
廃校舎ぼた絡まりて咲き乱れ 智 哀いかに宮城野のぼた吹凋るらん芭蕉
陸中の民知らぬ間の土砂 正 陸奥の夷知らぬ石臼 其角
消防士堰止め湖より導水す 智 武士の鎧の丸寝枕貸す 芭蕉
号笛鳴りて湯治場に雪 正 八声の駒の雪を告げつつ 其角
避難人花貪りて心債哉 正 詩商人花を貪る酒債哉 其角
夢七色にしゃぼん玉舞う 智 春湖日暮て駕興吟 芭蕉
2008.6.8〜6.27
2008年6月23日月曜日
猿蓑『梅若菜』もどき
class:
連歌俳諧

猿蓑「梅若菜」もどき 猿蓑「梅若菜」
餞乙州東武行
梅若葉とろろを啜る老二人 修 梅若菜まりこの宿のとろゝ汁 芭蕉
傘要らぬらし春の曙 狸 かさあたらしき春の曙 乙州
揚げ雲雀棚田三枚借り受けて 智 雲雀なく小田に土持比なれや 珍碩
太巻たんと下されにけり 奴 しとき祝ふて下されにけり 素男
隣家から団欒漏れて暮の月 寅 片隅に虫歯かゝえて暮の月 州
茶腹で厠近くなるあき 蘭 二階の客はたゝれたるあき 蕉
メタボなる鶉の姿見えもせず 光 ウ 放やるうづらの跡は見えもせず 男
ドクターストップ力なき風 兔 稲の葉延の力なきかぜ 碩
煩悩を捨てずにこゆる古稀の坂 修 ほつしんの初にこゆる鈴鹿山 蕉
内蔵助殿おおお蕎麦屋か 狸 内蔵頭かと呼声はたれ 州
卯の刻の湖岸に並ぶ釣りの馬鹿 奴 卯の刻の箕手に並ぶ小西方 碩
松の根元で欠伸こらえて 寅 すみきる松のしづかなりけり 男
吟行の御隠居萩に苦吟され 蘭 萩の札すゝきの札によみなして 州
百舌鳥の贄見てやおら矢立を 光 雀かたよる百舌鳥の一声 智月
平成の文武両道月読み男 兔 懐に手をあたゝむる秋の月 凡兆
ニートになりて行方わからず 修 汐さだまらぬ外の海づら 州
吊革やステンにすがり花の朝 狸 鑓の柄に立すがりたる花のくれ 去来
痰まきちらす蓬生の駅 奴 灰まきちらすからしなの跡 兆
競輪ですってんてんの春の日に 寅 ナ 春の日に仕舞てかへる経机 正秀
種物乗らぬ饂飩立ち喰ひ 蘭 店屋物くふ供の手がはり 来
茶髪の子汗ぬぐいつつ走り来る 光 汗ぬぐひ端のしるしの紺の糸 半残
間夫が逃げたぞ鶏小屋探せ 兔 わかれせはしき鶏の下 土芳
すきものが年甲斐もなき恋をして 修 大胆におもひくづれぬ恋をして 残
腹筋すれば取所あり 狸 身はぬれ紙の取所なき 芳
押入れの月賦払いの健康具 奴 小刀の蛤刃なる細工ばこ 残
猫と対話の大年の夜 寅 棚に火ともす大年の夜 園風
しのびつつ須磨ば都と明石けり 蘭 こゝもとはおもふ便も須磨の浦 猿雖
手打ちしゃんしゃん良きに計らえ 光 むね打合せ着たるかたぎぬ 残
此夏も気にかかること温暖化 修 此夏もかなめをくゝる破扇 風
車ねさせて月と歩いて 狸 醤油ねさせてしばし月見る 雖
第三の男と見ゆる隣かな 奴 ウ 咳声の隣はちかき縁づたひ 芳
聞けば聞くほど謎の生立ち 寅 添へばそふほどこくめんな顔 風
身を隠し妻の織りける千羽織 蘭 形なき絵を習ひたる会津盆 嵐蘭
明かりほのかに雪の降りける 光 うす雪かゝる竹の割下駄 史邦
花筏流れ行く先定まらず 修 花に又ことしのつれも定らず 野水
ギター春風マイトガイ来る 狸 雛の袂を染るはるかぜ 羽紅
2008.5.11〜6.22
写真:鞠子宿とろろ汁の丁子屋
2008年6月21日土曜日
2008年6月18日水曜日
「不如帰」歌仙
class:
連歌俳諧


「不如帰」歌仙
不如帰どよむ全山雨あがる 春蘭
色増すあやめビロードの艶 みかん
口元に笑みをかすかに浮かべいて 青波
異邦人めくこのクラス会 亮
二日月はるばる来しがはや復路 み
非情な梁にかかる落鮎 蘭
ウ 体育の日のざわめきのきれぎれに 亮
うちの坊主はどこへ行ったか 波
○なのは当てずつぽうのまぐれだけ 蘭
エンターキーで心機一転 み
もう駄目だここまできたら後が無い 波
月も嗤うよホットウィスキー 亮
漬いたかな千枚漬をひとつまみ み
ぐうたら男改造計画 蘭
パソコンの家計簿開きレクチャーす 亮
裏の畑でポチが鳴いてる 波
手をとられ導かれ行く花の闇 み
うぶなふたりの萌える若草 蘭
ナ 我が妻の指差す方に春の虹 波
大切なもの消えないように 亮
宝前に額ずく猫の大欠伸 み
余所見することなきや狛犬 蘭
節穴の向こうに蒼い涙壺 亮
うれしいときも哀しい時も 波
灯台のあかりにこたふ霧笛かな 蘭
裕次郎ものまとめ放映 み
ヨットマン湘南の海帆走す 波
興奮醒めず浜木綿の道 亮
プロボーズされてたづねるお月様 蘭
おわら祭りのおぬしはヒーロー み
ウ 山間のふたりの学舎秋深く 亮
同い年だが姉の気分で 波
別々の旅路の果ての再会に 蘭
飽かず眺める東京タワー み
花開く日本列島桜色 波
鐘は寿歌舞うは佐保姫 亮
みかん 九
青波 九
亮 九
春蘭 九
2008.6.4〜6.18
写真提供:あやめはフォト蔵さん
2008年6月17日火曜日
2008年6月16日月曜日
2008年6月11日水曜日
2008年6月9日月曜日
2008年6月7日土曜日
2008年6月1日日曜日
自由連句『花みづき』の巻
class:
連歌俳諧

自由連句「花みづき」の巻
2008.5.15〜6.1
発句 花みづき画廊は扉あけ放ち 春蘭
2 ふりかへり見る夏帯のひと 蘭
3 葦切の声に静寂の破られて 面白
4 夢の覚むれば捨舟の中 蘭
5 テレビでは棄てた故郷大写し 亮
6 のろまな月でも月は月です 白
7 日は釣瓶落とせどいまだ主見えぬ 蘭
8 お乳欲しがるこの子が可愛 青波
9 ガガイモの茎を手折れば白き汁 白
10 わたる列車に響よむ鉄橋 蘭
11 青空の下で愚かさ身を責める 亮
12 あわてふためく竹取翁 白
13 かもしかをてつきり熊と見違えて 蘭
14 稜線を行く黒影二つ 波
15 山男お先にどうぞと譲り合ひ 蘭
16 風呂の順番年長者から 波
17 流すもの流して明日はノーテンキ 亮
18 この世の未練その場限りに 波
19 ひつそりと浜辺にひらく花のごと 白
20 ぼくを見てゐる母のパラソル 蘭
21 降りてくるおばさん実は魔女だった 波
22 火を噴く煙突ものともしない 白
23 鳥でさえやすらぐ家はあるものを 蘭
24 乞食坊主は故里を出る 波
25 泣いたりはしないで蟹とたはむれて 亮
26 不要品ばかり実人生は 白
27 本来ハ裸一貫無一物 蘭
28 スピード水着が勝ち負け決める 白
29 連盟よ国内企業の癒着断て 蘭
30 広告塔の滑る氷上 蘭
31 さういへばパンダの約束どうなつた 白
32 風に吹かるる風船蔓 亮
33 三十を過ぎても噂ひとつなく 白
34 親を悩ませ本人平気 波
35 選択肢あればあるほど迷つちやう 白
36 けふはベージュのグロスルージュで 蘭
37 鱚、小鰭、鮨屋の湯呑み拭ふ女 白
38 ながら読みするミステリ原書 蘭
39 バッグには一日分の薬あり 亮
40 生き残る奴たぶん俺かも 白
41 飼い殺しむしろ上等マイウェイ 蘭
42 ネットサーフで時を忘れる 蘭
43 茶の間にてどこでもドアー開けてみる 波
44 知らなきゃよかった妻のお遊び 亮
45 「恋句」とは何のことやら五・七・五 白
46 みのらぬうちが恋といふらん 蘭
47 山吹の面影橋で待ち合わせ 波
48 立ち添ふだけであかくなるきみ 蘭
49 携帯にキティちゃんやらベティちゃん 亮
50 殺し文句は「みんな持つてる」 白
51 収集はいはゆる一つの病気なり 蘭
52 居合いが好きで名刀が好き 波
53 海坂藩とある屋敷の床飾り 白
54 家が大事か自分が大事か 波
55 黒船に国論にはかに沸騰す 蘭
56 正直者はひっそりと住み 亮
57 借金をどうやら返し茶漬け喰う 波
58 なければないでおこるいさかひ 蘭
59 黄金の薔薇のトロフィー欧州に 白
60 日の丸鉢巻ニッポンチャチャチャ 亮
61 ジャワ更紗まとふ天使もやつてくる 白
62 市の屋台で済ます朝めし 蘭
63 エベレスト76(歳)に先越され 白
64 ひそかに狙ふ喜寿の栄光 蘭
65 数値目標生きるよすがとするあはれ 白
66 然りわれらの十百韻も 白
67 もったりとありのままなる朝鏡 亮
68 星の王子よ砂漠より還れ 白
69 旅すれば大事なものが見えてくる 蘭
70 未開の子らの輝く笑顔 波
71 「自由」より踵の鎖恋しかり 白
72 生まれ変はつてもまたあなたと 蘭
73 そういえば子供沢山つくったね 波
74 大鍋滾る激辛カレー 亮
75 インド人我が家で食べて驚いた 波
76 親はへつらひ児等はため口 蘭
77 新聞は世相を映す水鏡 波
78 古き箪笥に裸婦の切り抜き 蘭
79 肌寒い季節になりて毛糸編む 波
80 こんな夜更けは寺山修司 亮
81 寝てる間に一生涯の夢をみた 波
82 痛棒食らひ門を追はるる 蘭
83 歩いてる私こそが禅である 波
84 みな振り返るフレグランスに 白
85 霧雨の銀座銀巴里鼻濁音 亮
86 メケメケ男いまは三輪山 白
87 おとろへは隠さずままよと受け入れて 蘭
88 手児奈もその身ながらへたなら 白
89 ここはどこわたしはだれと言うだろう 波
90 アッカンベーがとってもお上手 亮
91 フェイスヨガ美人なれども鳥渡ひき 蘭
92 ガン保険など一考再考 亮
93 日光・月光ながき行列薬降る 白
94 飛沫を散らし走るタクシー 蘭
95 正月の餅代稼ぐ為ならば 波
96 玉兎は幼き日の物語 白
97 きちきちが右へ左へとぶ野道 波
98 やがてタクトは静かに擱かる 亮
99 CDが一枚付いた花便り 波
挙句 いつせいに咲く北国の春 白
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