
百韻『押しあひて』の巻
2013.6.3 〜 7.8
発句 押しあひて生つてゐるなる実梅かな 青邨 夏
脇 しとど青葉をつたふ五月雨 春蘭 夏
第三 家二軒由緒有りげに並びゐて 真葛
4 通学の子に仔犬離れず 曙水
5 お気に入り散歩コースは苑池まで 蘭
6 少し急がん秋の夕暮れ ね子 秋
7 月光に色濃くなりし蒼い影 草栞 秋月
8 仁王立ちする野良の藁塚 蘭 秋
ウ
9 西へ行く臨時列車の客となる ね
10 システム手帳チェックこまめに 葛
11 コーヒーで時間調整角のカフェ 蘭
12 思ひ乱れて「来る来ない来る」 ね 恋
13 夏薊思わず舐むる君の指 風牙 夏恋
14 高嶺を越えて雲の峰立つ 蘭 夏
15 ついすすりやはり噎せたり心太 野茨 夏
16 節介過ぎて煙たがられる 葛
17 鼻つまみ厄介者と扇がれて 蛉
18 所変はれば屑もアートに 栞
19 ひび割れも窪みもありて望の月 水 秋月
20 秋の夜空に花火儚し ね 秋花
21 一人とて淋しからずや獺祭忌 栞 秋
22 コンビニで買ふ珍味いろいろ 葛
二オ
23 嘘をつきコンパの誘ひ断つて 茨
24 首つたけなの年下の彼 栞 恋
25 アイドルが引退をせず卒業す 水
26 メディアに踊らされる民草 蘭
27 今でしょの株価は今日も乱高下 葛
28 明日への希望持つて生くべき 茨
29 健診で精密検査勧められ ね
30 凩吹けば疼く古傷 栞 冬
31 なにもなき庭に趣が添ふ枯尾花 蘭 冬
32 壁の蓑笠ゆかし落柿舎 茨
33 熟年の婚活サイト覗き見る ね
34 寝起きのまんまぬしテレビ漬け 蘭
35 朝ドラのヒロインともに泣き笑ひ 栞
36 喜怒哀楽が惚け防止なり 茨
二ウ
37 拾ひ来し子猫の世話に明け暮れて 蘭
38 野火の煙に季節知らさる ね 春
39 残る雪駒形描く山の膚 茨 春
40 水も温んでどぜう顔出し 栞 春
41 雲ひとつない大空を鳶の笛 蘭
42 寝転びをれば浮かぶ楽想 葛
43 東軍に馳せ参じたる将もあり 栞
44 クラブのジャック切り札にして 水
45 カジノにて美女の気を引く技披露 茨 恋
46 澄ましカクテル作るバーテン 蘭
47 何ごとも甘さよろこぶ世を嘆き 葛
48 月に吼えれば朧なる顔 茨 春月
49 花よりと口遊みつつ松の陰 葛 春花
50 遍路の度に事件解決 栞 春
三オ
51 フェミニスト過ぎて未だに独り者 蘭
52 鏡に向かひおかめひょっとこ 葛
53 やれ茶会なんやかんやと妻出掛け 茨
54 二時間かけて探す爪切り ね
55 徘徊の道に迷へば夜も更けて 栞
56 タクシー代はりに使ふパトカー 蘭
57 お隣の学歴偏重すさまじく 茨
58 名門塾に通ふ幼な児 蘭
59 投資とは資金を投げることなのか 茨
60 堂堂めぐり嫌気いや増す 葛
61 追うほどに葛きり逃げる箸の先 水 夏
62 お忍びデート涼しげな月 栞 夏月恋
63 パパの恋ママに内緒にしてあげる ね 恋
64 ただより高きものは無しとぞ 葛
三ウ
65 延命てふ清水はるばる汲みにゆく 蘭
66 定年待ってるキャンピングカー 水
67 憧れの風のガーデン眼の前に 栞
68 地に足着かぬ頼りなさあり 葛
69 襲名は興行を打つ名目よ 茨
70 慢心禁物日々の精進 蘭
71 後輩を育て仕事をぶん取られ 茨
72 単身赴任に惑ふ四十 蘭
73 音に聞く須磨の浦波月に映え 葛 秋月
74 芒の蔭に消ゆる落武者 栞 秋
75 大文字幾千万の魂鎮め 蘭 秋
76 冷酒効いて蓙に大の字 茨
77 ひさかたの天より受くる花万朶 栞 春花
78 みやこの跡はかすみ敷く野辺 蘭 春
ナオ
79 口あいて探せど見えぬ揚雲雀 茨 春
80 メール通話はすべて筒抜け ね
81 情弱にスマホ機能は持ち腐れ 蘭
82 第一志望書くだけは書き 水
83 狭き門タカラジェンヌの夢遠く 栞
84 思ひ切る都度進む人生 蘭
85 出会ひざま0.1秒で恋をして 茨 恋
86 一万ボルトに痺れ悩殺 栞 恋
87 ライブ後のカラオケやたらハイテンション 蘭
88 DJポリスお手柄となる 水
89 ユーモアと機知は話の潤滑油 茨
90 一発芸に寿限無暗唱 蘭
91 後光差す阿弥陀如来を拝みをり 栞
92 沈む日輪追ふや月の出 茨 秋月
ナウ
93 背なの児も静かになりぬ夕紅葉 蘭 秋
94 刈田もやがて水を湛へん ね 秋
95 秋霖をうらめし顔の捨て案山子 茨 秋
96 変身願望叶ふ日はいつ? 栞
97 みずみずと薄翠に染む蝉生るる 水 夏 あるる
98 風雅は四時を友としてこそ 蘭
99 黒髪にちらちらかゝる花の雪 茨 春花
挙句 毛氈延べる土手の若草 蘭 春
・・・経過は#jrenga
※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8 (1〜8) 花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8 (93〜100)_________
作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん