
百韻『蕎麦はまだ』の巻
2013.9.7〜10.21
発句 蕎麦はまだ花でもてなす山路かな 芭蕉 秋
脇 峡の朝霧かすむ富士ヶ嶺 春蘭 秋
第3 ありあけに浅きゆめからふと覚めて 野茨 秋月
4 重陽の菊まずは一献 曙水 秋
5 五輪書を紐解き初心忘れまじ 草栞
6 還暦を機に飛び回る妻 蘭
7 追ひかける亭主の財布羽根生えて 真葛
8 ぴくりと動く梟の耳 栞 冬
ウ
9 浮世床うはさ話に花が咲く 茨
10 つけっぱなしのテレビちらちら 蘭
11 灰燼に帰せるタワーの残像か 栞
12 西に東に奔る大国 葛
13 二十一世紀もすでに十余年 蘭
14 みんなうつむきスマホいぢくる 茨
15 通学の憧れ王子やや寝癖 水
16 想ひを込めて落とすハンカチ 栞 夏恋
17 過去の恋また蘇るクラス会 茨 恋
18 茶々入れられて縒れしスピーチ 蘭
19 花見とて上司が居れば仕事にて 茨 春花
20 抜き打ち監査終へる朧夜 栞 春
21 山独活を芥子きかせた酢味噌和へ 蘭 春
22 長途の墓参も食の楽しみ 茨
二オ
23 海上の都に眠る作曲家 栞
24 四季をりをりに魅せる趣き 茨
25 遠距離の逢瀬を京で重ね来て 蘭 恋
26 失楽園の露と散りぬる 栞 秋恋
27 夢見じと酔はじと知りて濁り酒 葛 秋
28 小町も勝てぬ老いの秋風 茨 秋
29 幾千年かはらず光る望の月 蘭 秋月
30 孵化する命そつと育む 栞
31 歩数計数字かせぎに回る池 茨
32 画架立ち並ぶ定番の場所 蘭
33 手離せぬ懐炉たよりに待つ日の出 栞 冬
34 白らんだ息のかき消ゆる森 蛉 冬
35 緋袴にバイトの巫女もまざるらん 茨
36 鈴の音高く齢寿ぎ 栞
二ウ
37 おめかしの馬コ引く馬子晴れがまし 蘭 夏
38 古本で見るパリ・コレの記事 葛
39 チョコレート色した染みは新しき 栞
40 旦那ゐぬ間のひるのママ会 茨
41 円満は互いに干渉しないこと 蘭
42 かたりかけそな仏像の笑み 茨
43 行き着かば希み叶ふやガンダーラ 栞
44 苦心の歌は舌足らずにて 葛
45 うぐひすのぐぜりをかしき竹のやぶ 茨 春
46 師の温情で卒業となり 栞 春
47 雲を得て伏龍天に昇るとや 蘭 春
48 おぼろ月にも影の仄見ゆ 葛 春月
49 石割の花の命の長からん 栞 春花
50 老眼鏡をふたつ重ねて 葛
三オ
51 積読を一念発起でよみ崩し 茨
52 資金不如意の休暇いただき 蘭
53 任せ切る安楽を知るバスツアー 茨
54 稲穂色づく豊穣のとき 蘭 秋
55 待宵に団子供へて縁を拭く 栞 秋月
56 少し派手目の秋袷着て 葛 秋
57 審美眼鍛へに上野の森へゆく 茨
58 ザックひとつでカスバ界隈 葛
59 わすれえぬきみのおもかげみにそへて 蘭 恋
60 熱きくちづけ分つ風花 栞 冬恋
61 ひなびたる湯宿埋もれん雪あかり 茨 冬
62 トンネル長しリハビリの日々 葛
63 介護ロボせめて相槌打てたなら 栞
64 生を佛にあづけ老い楽 蘭
三ウ
65 とりあへずなんでもかじる趣味三昧 茨
66 小節きかせてアリア熱唱 葛
67 当落の線上辺りひしめきて 栞
68 総選挙とはオタク商法 蘭
69 しかしまぁなべて日本は平和かも 茨
70 もうボケたかと連れの突っ込み 栞
71 阿と吽の区別つかぬもご愛嬌 葛
72 七福めぐり祈る開運 茨 新年
73 今年こそこころ入れ替へ肉断つて 蘭
74 骨の密度はいかにとやせん 栞
75 鱧捌く修業も月の法善寺 葛 夏月
76 待つ身にすれば永き短夜 茨 夏恋
77 ふくらみし花の蕾の初々し 蘭 春花
78 稚児のうぶ毛もそよぐはるかぜ 茨 春
ナオ
79 若駒の眼差しいつか荒らかに 葛 春
80 所領安堵の報せ巡りて 栞
81 ころころとブレていくのも処世術 茨
82 深く潜行大同団結 蘭
83 伝はりし皿鉢料理に舌鼓 栞
84 洗濯するは全自動にて 葛
85 古き良き昭和の不便さなつかしく 茨
86 掻いた落葉で作る焼き芋 蘭 冬
86 秋刀魚のけむりのぼる七輪 蘭 秋
87 みちのくの海はや秋の色深み 葛 秋
88 島影縫つて寄する月光 栞 秋月
89 野分過ぐ空気澄みきり夕あかね 茨 秋
90 淹れたて珈琲ほっと一息 蘭
91 ジョコンダのほほゑみの謎誰も触れず 葛
92 学生気分でオープン・カレッジ 茨
ナウ
93 何となく見覚えのある迷い猫 栞
94 下町情緒もとめ谷根千 蘭
95 買ひ喰ひで腹きつくなり昼は抜き 茨
96 嗚呼ややこしや8パーセント 葛
97 たまるのは嵩張る小銭ばかりなり 茨
98 近場の花を愛でてほろ酔ひ 蘭 春花
99 郎女の佳き日を前に暮遅し 栞 春
挙句 夕風かすか揺れるぶらんこ 葛 春
・・・経過は#jrenga
※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
____________________________________
初折表 123456月8 (1〜8) 花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8 (93〜100)_________
作法式目
付け転じ方
写真借用は八ヶ岳山麓清里から~杏荘便りさん