
百韻『炎昼の』の巻
2014.7.9〜8.8
発句 炎昼の女体のふかさはかられず 楸邨 夏
脇 しぐさもゆかし路地の打ち水 春蘭 夏
第三 いつきても飽きることなき古都の旅 野茨
4 杉玉みれば試飲三昧 杜角
5 はいはいと医者の忠告聞き流し 蘭
6 徹夜の読書もはや有明 茨 秋月
7 虫時雨おのづとそなふハーモニー 角 秋
8 運動会の迷子呼び出す 里代 秋
裏
9 道ばたに鼻をくすぐる露店出て 蘭
10 かすみ立ち籠む梅林の里 茨 春
11 早々と雛をしまふも縁遠く 曙水 春
12 春眠さめて二度寝する日々 真葛 春
13 弁当を持たせキッスで送る主 角 恋
14 鬼の居ぬ間の個人レッスン 草栞 恋
15 サッカーのプロにするのが親の夢 茨
16 千手観音汗し眺むる 代 夏
17 帰省子を責めるが如く鳴く杜鵑 蘭 夏
18 水場にかかる細き夏月 葛 夏月
19 ゆふさればさわさわ風にさやぐ葦 角
20 散歩も犬で様になりたり 茨
21 まっ盛り心は花に浮き立ちて 蘭 春花
22 都踊にそぞろ繰り出し 栞 春
二表
23 恋はさが身は老いぬれどいまだ春 角 春恋
24 抱かれし日々波のごとくに 代 恋
25 戦争を知らぬ孫子は勇ましく 葛
26 行進曲はAKBで 水
27 人生は明日へ続く長い道 茨
28 苦があってこそ深きよろこび 蘭
29 頂きは視界さえぎるものもなし 角
30 自分撮りして呟くが趣味 水
31 一番の美女探し出す魔法にて 栞
32 林檎を齧る口も可愛く 代 秋
33 ござ敷いて秋の野遊びはしゃぐ子ら 茨 秋
34 千草の花を冠に編む 角 秋
35 ふるさとをふと思はする眉の月 蘭 秋月
36 嫂と云ふ気にかかる人 葛
二裏
37 道ならぬ恋の話に盛り上がる 代
38 懲りずうはきの虫のうごめく 茨
39 道具屋に蚊遣りの豚を値引かせて 水 夏
40 一服がてら茶屋で白玉 角 夏
41 かまくらや梅雨の合間の空を鳶 蘭 夏
42 あるかなきかの薄物の縞 代
43 黒髪のみだれつくろふ後朝に 茨 恋
44 金釘流の文の恥づかし 葛 恋
45 真贋の鑑定めぐり論争す 栞
46 遺産相続無いなりにもめ 角
47 銀行の窓あかあかと年の暮 代 冬
48 月に誘はれつっかけで出る 蘭 冬月
49 唐橋のたもとに揺れる花万朶 栞 春花
50 ふらここに乗り天に近寄る 水 春
三表
51 少女らのほつれ毛なでて風光る 茨 春
52 若さは特権今を悔ひなく 角
53 熱弁も正論もみな呑みしヤジ 葛
54 澄まし顔にて呉越同舟 栞
55 離婚すらできずに家庭内別居 蘭
56 そぞろ身に染む須磨の秋風 代 秋
57 遥かなる都や月は同じくも 角 秋月
58 隣街から秋祭りの音 水 秋
59 清貧の膳には贅か菊膾 茨 秋
60 つい過ごしがち旧友との酒 蘭
61 長ばなし相槌打つて聞き流し 角
62 手術中のランプ見守る 水
63 キューを出す頃合い計る助監督 栞
64 いつしか異名アメフラシとや 茨
三裏
65 デートには小雨はむしろ好ましき 蘭 恋
66 月さまと呼ぶ声も朧に 代 恋春
67 睡魔きてあことねころぶ花むしろ 角 花春
68 そつと近づく雀の子居て 栞 春
69 神ほとけ人をいざなふ慈悲の道 茨
70 標本箱に並ぶ斑猫 水 夏 はんみょう
71 夏休み自由研究親がやり 蘭 夏
72 新旧不問ゴジラ対決 葛
73 非日常こそ日常のカンフル剤 角
74 BGMはハリーポッター 代
75 コンピュータ相手のチェスで苦戦する 栞
76 地道に歩む出世街道 水
77 報・連・相休まず遅れず働かず 茨
78 民族移動盆の月見て 代 月秋
名表
79 幾山河つまとこえきし夏の果 蘭 秋
80 声をかぎりにひぐらしのなく 角 秋
81 子規庵の大鳥籠も露に濡れ 栞 秋
82 ぬしなき庭を飾る鶏頭 茨 秋
83 おもひ断ちタンスの肥やし捨てにけり 角
84 修道院になどかあくがる 代
85 ははこひしうきぐもひとつゆくみそら 蘭
86 残りめしにておかかおにぎり 角
87 勉強は自立のためと心得て 茨
88 窓の雪見て穴ごもりする 栞 冬
89 榾の火にじつとみいれば時忘れ 蘭 冬
90 今さらながら不倫小説 葛
91 十六夜の月やちまたのさんざめき 角 秋月
92 光悦垣に紅葉散り敷く 代 秋
名裏
93 露の身をあたら死闘に明け暮れて 茨 秋
94 岨の枯木に何を孤鴉なく 蘭 こあ
95 故郷の塒を後に三度笠 栞
96 どうやら嵐去りししののめ 角
97 太公望間隔たもち並びをり 茨
98 池の土手には土筆群ら立つ 蘭 春
99 城あとに花爛漫と咲き匂ひ 角 春花
挙句 見立てをかしき山の雪形 茨 春
※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8 (1〜8) 花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8 (93〜100)_________
作法式目
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん