
百韻『よく見れば』の巻
2015.3.18〜4.28
2015.3.18〜4.28
発句 よく見ればなづな花咲く垣ねかな 芭蕉 春
脇 郷のしゞまに響むうぐひす 春蘭 春
第3 山高み雲居はいまだ残る雪 野茨 春
4 年々増すは日々の速さよ 杜角
5 燃えるごみ燃えぬごみ分け煩はし 真葛
6 「お持ち帰り」がゴシップとなり 曙水
7 いつになく顔曇らせるお月さん 草栞 秋月
8 夜食を買ひに馳せるコンビニ 茨 秋
ウ
9 気の所為で終はりたくなし秋の声 ね子 秋
10 ちぎりは夢か憎き戯れ男 蘭 恋
11 偶然も運命になる片想ひ 水 恋
12 旅の余韻に身をまかしつつ 角
13 しばらくは無為に籠らん草の庵 茨
14 圏外なれば邪魔も入らず 栞
15 アマチュアがゴルフツアーに優勝し 蘭
16 大きなつづらを背負ふ冬晴 ね 冬
17 人絶えし関所跡なり冴ゆる月 葛 冬月
18 来るなと言えばついてくる部下 水
19 缶ビール乾き物にて花の宴 角 春花
20 風やはらかく心うららか 茨 春
21 君の嘘看破れなかつた万愚節 栞 春
22 「好きだつたの」と匂ふ沈丁 ね 春
二オ
23 上京のいとこの婚儀伝へ聞く 蘭 恋
24 彼に伝へぬメアド変更 水 恋
25 白玉のつるりと喉をおちてゆき 里代 夏
26 岩うちしぶく滝のとどろく 角 夏
27 ぬぐふ汗苦労にほうびある登山 茨 夏
28 露天湯つかり心気充実 蘭
29 祝定年友と卒業旅行して 角
30 想ひ起せる異動発令 栞
31 世界中紛争地帯となりにけり ね
32 えさに群れ寄り競ふ水鳥 茨 冬
33 枯れてなほ形おもしろき蓮の骨 蘭 冬 なり
34 祖父が好みの志野の七化け 水
35 山の音聞きしと思ふ谷戸の朝 代
36 四葩にほそる雨後の参道 角 夏 よひら
二ウ
37 短夜を惜しむ逢瀬の狂ほしき 栞 夏恋
38 乱筆をどる衣衣の文 葛 恋
39 上司より逆玉縁談舞ひ込んで 茨
40 ひとカラ通ひロック絶叫 水
41 右肩のタトゥーの名前見え難し ね
42 妻の顰蹙耐へてプロレス 蘭
43 会話なき息と一献古酒開けて 角 秋
44 もつてのほかの蘊蓄を添へ 栞 秋
45 突き抜けて拝領の槍嫦娥刺す 葛 秋月
46 逢魔が時に辻を行く馬 水
47 白無垢に覚悟秘めるや綿帽子 茨
48 枝ふつくらと揺れる花房 蘭 春花
49 風ぐるま地蔵の前に置き去られ ね 春
50 わらんべ群れて遊ぶ紫雲英田 角 春 げんげだ
三オ
51 モーニングサービスにつく茹で卵 代
52 剥れかかつたレトロ広告 栞
53 つまらない授業はサボり映画館 茨
54 定まる夢の欠けし青春 蘭
55 アルバムを整理仕出して時忘れ 角
56 どこに隠すか妻お見通し 水
57 シュレッダー嵩なしてゐる年の内 代 冬
58 物色やめて嫁ぐ二十九 茨
59 味噌汁の茗荷の味もほろ苦く 栞
60 帰省久しく老いし父はは 角 夏
61 休耕田むぐら隠れに鹿の角 蘭 夏
62 げに難しき異種の共存 茨
63 満月の迎へ拒めぬかぐや姫 ね 秋月
64 今ひとたびの竹伐りもがな 栞 秋
三ウ
65 新藁を束ね修練居合術 角 秋
66 決まつてひとが覗く節穴 蘭
67 いつまでも鬼が目隠しかくれんぼ 代
68 ゆふべの鐘に合はせ鳴る腹 茨
69 向日葵は禅僧のごと立ち尽くし 水 夏
70 ふらりふらふら誘ふ蛍火 ね 夏
71 忍ぶれど思ひ焦がれて後を追ひ 栞 恋
72 振袖綾に恋は盲目 葛 恋
73 幼ななじみ成人式に見違へて 角 新年
74 東京さ出るとやつぱ違ふね 蘭
75 めくるめく洗練度増すオフィス街 茨
76 蜃気楼にも現れるとや 栞 春
77 蓬莱山富士の裾野は花ごろも 角 春花
78 てふてふ追ひて転ぶをさな子 水 春 まろぶ
ナオ
79 天才を育てる塾のあるといふ ね
80 自撮りばっちり独り見蕩れて 代
81 辻占で今がモテ期と煽てられ 蘭
82 着た切り雀がスーツ新調 茨
83 副賞は世界一周社長賞 角
84 耳慣らしにとAFN聴く 蘭
85 たいていのことはネットで用が足り 栞
86 アイフォン見つつ漬ける沢庵 ね 冬
87 エコライフ求め田舎に移住して 茨
88 街のネオンがまれに恋しき 角
89 下弦月小遣ひ更に減らされる 蘭 秋月
90 唇寒く手折る残菊 栞 秋
91 坂の家柿はたわわに人なくて 水 秋
92 そつと触れれど零余子こぼるる 茨 秋
ナウ
93 泣き止まぬ児を背負ひ出る昼の丘 角
94 悠々自適の老後遠のく ね
95 埋み火を掻けばまた燃ゆふるき恋 蘭 恋
96 異国の空からおくる絵葉書 茨
97 オリオンの星を仰げば冴返り 栞 春
98 田螺蠢く小田の水底 角 春
99 大将は一本立ちの花の巨樹 茨 春花
挙句 木々は萌黄に芽吹き初めたる 蘭 春

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8 (1〜8) 花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8 (93〜100)_________
作法式目
貞享式海印録
付け転じ方
写真借用はフォト蔵さん
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初折表 123456月8 (1〜8) 花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8 (93〜100)_________
作法式目
貞享式海印録
付け転じ方