2011年2月18日金曜日

百韻『鴛鴦や』の巻


      百韻『鴛鴦や』の巻
                    2011.1.21〜2.18

1 発句 鴛鴦や川面を撫でる明けの色     冬  郎女
2 脇   陽あたり側に笑まふ早梅      冬  私
3 第三 とり出だす句帳はいまだ白紙にて      不夜
4     ポットで淹れる煎茶一服         草栞
5    あれこれとまんじゅう試食ほぼ手ぶら    私
6     ケチケチ・ツアーはせこさ慣らしむ    私
7    検索の労を厭はず月の宿       秋月 不夜
8     柞紅葉にかかる湯けむり      秋  私  (ははそ)

9    ボジョレーを楽しみにして風呂上がり 秋  郎女
10    髪かきあげる君はセクシー     恋  私
11   天才の描く女神に一目惚れ      恋  栞
12    こころ浮わつく彼に肘鉄      恋  郎女
13   大南風走り出したら止まらない    夏  不夜 (おおみなみ)
14    グランドに水を撒く一年坊     夏  ふない
15   信ずべしおのが無限の可能性        私
16    賞受けたるは通過点にて         栞
17   あへぎつつペダルを漕いで峠越え      私
18    雪消しずくに喉をうるほす     春  不夜
19   月の出もいつとは知れず花朧     春花月 栞
20    きーこきーことふらここが鳴る   春  私
21   メーデーの行列すぎて人まばら    春  不夜
22    独身寮に届く絵手紙           郎女
二オ
23   ざらざらと洗ふた箸の乾く頃        ふない
24    そば屋の夕の仕込み始まる        私
24    エコの参加はリサイクルから       私
25   天ぷらの揚げ油にもこだわりを       郎女 両句に
26    手抜きをしないプロとアマの差      私
27   入念にからだほぐしていざ本番       不夜
28    寒声高く洩れ聴こえたる      冬  栞
29   マフラーを忘れて戻る細き路地    冬  ふない
30    作家志望の彼は太宰似       恋  私
31   女生徒の淡き想ひに気がつかぬ    恋  郎女
32    実習期間済めば去る人       恋  不夜
33   ”農業の体験”実は嫁募集          私
34    休耕田で吠える柴犬            ふない
35   夕月に出で来る鹿の光る目見     秋月 私 (まみ)
36    獣舎の掃除終へてやや寒      秋  不夜
二ウ
37   揃ひ踏み時代祭のエキストラ     秋  栞
38    差し入れられた兵糧を食ふ        ふない
39   奉仕とは清々しきや道普請         私
40    大師の指図響く夏空        夏  不夜
41   水喧嘩いつのまにやら鎮まりて    夏  郎女
42    明けは撤回戻り梅雨とか      夏  私
43   メンバーもファンもやきもきカラ騒ぎ    栞
44    ツイッターには謎のつぶやき       不夜
45   どこまでをまこととするや万愚節   春  郎女
46    往く手遥かに蜃気楼立ち      春  栞
47   啄木忌海峡の町墓地の坂       春  ふない
48    たちまち髪をみだす春風      春  私
49   指名にてマイクを握る花の宴     春花 不夜
50    紙のコップに佳き酒を注ぐ        ふない
三オ
51   軒先に杉玉青し蔵開き           私
52    ネットショップへ増ゆるアクセス     不夜
53   大道の声懐かしや叩き売り         栞
54    ついふらふらと釣られさうなり      私
55   相席は苦み走った好い男          不夜
56    ニッカボッカの鳶職の群         ふない
57   外人の目にはクールと映るらし       私
58    屋根の間に覗く初富士       新年 栞
59   武蔵野の台地が河に果つところ       ふない
60    百万都市へと治水埋め立て        私
61   絶えんとす動植物の種のあはれ       不夜
62    さてもクニマス発見あっぱれ       私
63   仰天のセレンディピティなればこそ     栞
64    偶然はみな摂理なるらん         私
三ウ
65   逍遙のアリストテレス深き皺        不夜
66    アテネの庭に不穏なる風         郎女
67   かはらけを投げて厄除したくなり      栞
68    湖に舟出す黄昏の頃           不夜
69   寒鮒を漁る網の生臭さ        冬  ふない(すなどる)
70    粕汁をもて君を待ちをり      冬恋 郎女
71   誰がためにみがくや白き泥大根    冬恋 私
72    黒のタイツに悩殺されて      恋  栞
73   われを厭ふ娘に媚びて宝塚         私
74    冷めたる体で買ふ乙女餅         ふない
75   おぼろ月旅は帰りの虚しかり     春月 私
76    別れを告げる引鳥の群れ      春  栞
77   この花をユーラシアにて眺めむと   春花 ふない
78    桜の苗木を贈り交流        春  私
名オ
79   友情は文化の垣根越ゆるもの        不夜
80    ひらがな書きのメール行き交う      ふない
81   誤変換の指摘合戦疲れ出て         私
82    目頭押せば暑さくらくら      夏  不夜
83   クーラーに頼らぬ主義と強がりて   夏  郎女
84    頬ふくらませ瓜を食ひたり     夏  私
85   勧められ片腹痛し居候           栞
86    身分違ひでのれぬ縁談          私
87   三畳の応接室に栗羊羹        秋  ふない
88    色なき風の忍び込む窓       秋  不夜
89   有明に去りにしひとの残り香に    秋月恋 私
90    悲しき天使聴きて泣き濡れ     恋  栞
91   根拠なく自信と夢に満ちし日々       私
92    人を傷つけ人に傷つき          不夜
名ウ
93   荒野行けば夜毎けものの声を聞く      ふない
94    孤独はきつと成長の糧          私
95   ファイバーに光一筋通るまで        栞
96    暗中模索も無駄でなかりき        私
97   雪どけに一息つきて交わす笑み    春  郎女
98    浮かるるごとく蝶も舞ひ出づ    春  不夜
99   花咲けば人の賑はふ城跡に      春花 ふない
100   余韻はかなき弥生狂言       春  栞


写真提供はフォト蔵さん

0 件のコメント: