2010年11月30日火曜日

百韻『初しぐれ』の巻


       百韻『初しぐれ』の巻
                    2010.11.08〜11.30

1 発句 初しぐれ烏はつばさ蓑として    冬   不夜
2 脇   炭焼小屋の軒に隠れぬ      冬   彼郎女
3 第三 金銀にまさるものこそ子供なれ       私
4     日記の綴目指でなぞりつ         草栞
5    日めくりの格言よめる祖母のいる      百
6     スローフードの雄は漬物         私
7    つけにくい句で案じつゝながら喰ひ     私
8     頬杖ついてカフェのテーブル       不夜

9    もみづれる出金ばかり小使い帳   秋   百
10    天を仰げばあかあかの月     秋月  氷心
11   台風の過ぎたるあとに家を出て   秋   ふない
12    顔覗き合ふ向かう三軒          不夜
12    舫いを解くタオル鉢巻          氷心
13   交替で見張りせんとて寝ずの番       栞  (両句に)
14    意図を超えたり火と土の芸        私
15   終日を飽かずにさする楽茶碗        不夜
16    ふらちな孫は夜も帰らず         ふない
17   舞ひ散れる花にこころを酔はされて 春花  郎女
18    あらたな恋を誘ふ春風      春恋  私
19   スカートに浮気募れる半仙戯    春恋  栞
20    ちらちらひとを見あふ公園        私
21   朝曇イーゼル立てる場所探し    夏   不夜
22    猛暑見越して大樹の陰へ     夏   百
二オ
23   弱きものにはそれなりの対策を       郎女
24    腰丈ほどの雪吊の松       冬   ふない
25   わづかなる賀状を出してするあんど 冬   私
26    Eメールにはせぬがこだわり       郎女
27   物を売る前に売りたいあばた面       氷心
28    駱駝の背より月を眺めて     秋月  栞
29   地平線夜寒に遠きけふの宿     秋   不夜
30    刈田の中を一筋の川       秋   私
31   嫗逝き藜の杖を残しおり          百
32    賢者の遺志を守るハリーよ        栞
33   選ばれし者を動かす使命感         私
34    背すじ伸ばして身じろぎもせず      ふない
35   宮殿の門の左右に近衛兵          不夜
36    素知らぬ顔で文あずかりぬ    恋   郎女
二ウ
37   ベンチにて待てば異国の女あり   恋   ふない
38    見つめられては言葉はいらぬ   恋   百
39   長過ぎる路駐店主に咎められ        栞
40    ときに役立つへりくだる質        私
41   内定をすぐ知らさるる面接後        不夜
42    スーツのままでゼミに飛び込む      郎女
43   花盛り写メールしては送りつけ   春花  百
44    小腹の足しに桜餅で茶      春   私
45   朝寝して飯の時分は過ぎにけり   春   ふない
46    今夜も見るぞ流星群を      秋   百
47   山際を明らめぬうっと居待月    秋月  私
48    雁の音聞きてそぞろ侘しき    秋   栞
49   ずるずるとすする昼餉のカップ麺      不夜
50    忘年会の只酒うれし       冬   ふない
三オ
51   冬薔薇散りなば人の寡黙なる    冬   百
52    身悶えしのぶ倫ならぬ恋     恋   私
53   歳の差はあれど楽園ともにせん   恋   栞
54    胸の疼きに嘘はあらざり     恋   不夜
55   糊付けて箪笥にしまふユニホーム      ふない
56    年金生活いつまで続く          百
57   粗食でもうまく感じる空きっ腹       私
58    持ちつ持たれつ齢をかさね        百
58    養生訓で狙ふ大台            私
59   気がついて紙釜敷に熨斗を添え       栞  (両句に)
60    門で見送る正月の客       新年  氷心
61   初富士に胸がおのづと張りにけり  新年  私
62    こもよみこもち若菜摘みつつ   新年  不夜
63   をとめらのすそは濡れけんはだれ雪 春   私
64    雛の家にも戻る賑ひ       春   栞
三ウ
65   赴任地の土産は菓子と蕗の薹    春   ふない
66    嫁になる人ひとつ年上      恋   氷心
67   月照らす波は涼しきランデブー   夏月恋 不夜
68    熱き口づけ海霧の彼方へ     夏恋  栞  (じり)
69   長廊下彼の背中について行く    恋   百
70    木造校舎は暗く冷たし          ふない
71   日当たりに放られている雪だるま  冬   氷心
72    着膨れせずに着るが今流     冬   私
73   ファッション誌抜け出たやうな少女たち   不夜
74    お国訛りで笑いさざめく         ふない
75   ばっちゃにも打ち明けられぬ弱味あり    栞
76    身の上かさね余花を泣くらん   夏花  私
77   ふうわりと黒き日傘を撫でる風   夏   郎女
78    サマルカンドの白き街並         不夜
ナオ
79   玄奘と魑魅魍魎の足かるく         ふない
80    盃の猿酒ゴクと呑み干す     秋   栞
81   玉兎からまづ薀蓄をかたむけて   秋月  私
82    草屋閉めて自然薯ほりへ     秋   百
83   待ちかねの庭の梢に小鳥来る    秋   不夜
84    幼子どもの瞳うつくし          郎女
85   毀たれし大尖塔を見上げをり        ふない
86    高度成長今や伝説            私
87   ジパングで銀河鉄道乗車券         百
88    時空の旅はImagination    私
89   火の鳥も甦りては永遠に生き        栞
90    最終巻につかぬ決着           不夜
91   打ち切りの運命かなし冒険譚        ふない
92    ホームページに寄せる荒波        郎女
ナウ
93   いっぱしの批評家きどりカキコして     私
94    花の名所は屋台ひしめく     春花  私
95   春鹿を追えど聞こえぬ素振なり   春   ふない
96    若芝萌えてあをむ山肌      春   私
97   潮の香の道を遍路のあゆみゆく   春   不夜
98    悟りの境地何処に在りや         栞
99   物語など思はせる鐘の声          郎女
100   午後の古文の授業まどろむ        私

写真提供はウィキペディアさん

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