2011年5月15日日曜日

本:ツァラトゥストラ 黄金の星はこう語った 





印象に残った部分の抜き書き:

序説:
 おまえたちに超人を教えてやる。人間は克服されねばならぬ何かである。おまえたちは人間を克服するために、何をしたというのか?

戦いと戦士:
 おまえたちの生命への愛が、おまえたちの最も気高い希望への愛であれ。また、おまえたちの最も気高い希望が、最も高貴な生命の思想であれ! そして、おまえたちの最も高貴な思想を、おまえたちはこのわたしから命令として授けてもらわなければならない。 その最も高貴な思想とは、人間は克服されねばならぬ何かである、というものだ。
 このように、生命の声に従い、そのために戦う人生をおまえたちは生きるのだ! 長いだけの人生が長いが何だ! 戦士は労ってもらいたいなどと望むものか! わたしはおまえたちを、大切にしすぎるようなことはしない。おまえたちを心の底から慈しんでいるからだ、わが戦友たちよ!

新しい偶像:
 大地は今なお、偉大な魂にとっては自由に開かれている。今なお穏やかな海の香ただよう多くの場所が、孤独な者たちや唯一の伴しかない者たちを待っている。束縛されずに生きる道が、偉大な魂にはなお残されている。まことに、僅かしか所有しない者は、それだけ何かに取り憑かれることも少ない。細やかな貧しさに称えあれ!

自己克服:
 絶えず自分自身を克服しなければならないもの、それがわたしなのよ。善と悪の創造者となる星を担う者は、絶対にまず破壊者となって、既存の価値を打ち砕かねばならぬ。最高の善意を実現するためには、最高の悪意が必要になる。この悪意があればこそ、最高の善意は創造的となるのだ。

詩人たち:
 詩人たちはあまりにも多くの嘘をつく。しかし、ツァラトゥストラもまた、(比喩を操る)一人の詩人である。

 あらゆる神々は詩人の紡いだ比喩であり、詩人が読み手の心を詐取しただけのことである。

 わたしは詩人たちにうんざりした。古い詩人にも新しい詩人にもうんざりした。わたしにとって、彼らはすべて、上辺だけを追い求める者たちであり、浅い海である。彼らは十分に深く考えなかった。それゆえ、彼らの情感は、ものごとの根底にまで下がっていくこともなかった。何がしかの歓楽と、何がしかの退屈、これがせいぜい彼らの最も上等な思索であった。

救済:
 過ぎ去っていったものを救い、すべての『しかたがなかった』を『わたしがそれを望んだのだ!』に創り変えることーこれこそ、わたしにとって、はじめて救済と呼ばれるにふさわしい!
 意志ーそれが自由を与えてくれ、喜びをもたらしてくれる者の名前である。

癒されつつある者:
 『今からわたしは死ぬ。そして消え去っていく』と、あなたは語ることでしょう。『忽ちのうちに、わたしは無に帰する。魂は肉体と同じように死すべきものである。しかし、わたしという生命を織り成していた糸の結び目は、再びやって来る。その結び目がわたしを再び創り上げることだろう!わたし自身が永遠回帰を織りなす糸なのだ。わたしは再びやって来る。この太陽と倶に、この大地と倶に、この鷲と倶に、この蛇と倶に。新たな別の生命、もしくはより良い生命、あるいは似たような生命のもとにやって来るのではない。
 わたしは永遠に繰り返し、細大洩らさず同一の生命のもとに還って来る。繰り返し万物の永遠回帰を教えるために。くり返し、偉大なる大地と人間の正午について語るために。繰り返し人間たちに超人を告知するために。わたしはわたしの言葉を語った。わたしは自分の言葉によって砕け散る。わたしの永遠の運命がそう望むのだ。わたしは告知者として、この身を捧げる!太陽のように下降する者が自分自身を祝福するときが今、やって来た。このようにしてツァラトゥストラの降臨は終わるのだ』

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