2012年4月2日月曜日

第三千句 第七百韻『なほ嶺は』の巻


百韻『なほ嶺は』の巻    
2012.4.2〜5.3

発句   なほ嶺は雪や老木の花ごろも     春花 春蘭
脇      宴たのしき菜飯おむすび     春  ね子
第三   春宵の一刻さへも惜しむらん     春  草栞
4      自信培ふピアノ練習           蘭
5    挨拶もいつの間にやらしっかりと      風牙
6      野には芒がお辞儀してをり    秋   ね
7    またや見ん旅の朝戸出なごり月    秋月  蘭
8      木の実団子を巾着に入れ     秋   栞

9    妖精と語りてみたき霧の中      秋   ね
10     プリマとなりてジゼル踊りぬ       牙
11   幼なじみ今やとどかぬ華のひと    恋   蘭
12     異国の王に嫁ぎ行きけり     恋   ね
13   かりそめの愛も歴史の闇に消え    恋   栞
14     集めし絵画観る冬の宮      冬   牙
15   腹ごなしついでに拝む初詣      新年  蘭
16     向う恵方は千鳥足にて      新年  栞
17   上善は水の如しと老子言ひ          ね
18     亭主関白させる女房           蘭
19   親の世話交代制の番がきて          〃
20     姨捨山の月をほの見る      秋月  ね
21   大輪の菊の鉢ある蕎麦屋出づ     秋   牙
22     不意に漂ふ秋刀魚の煙      秋   栞
二オ
23   気配消し河原でバード・ウォッチング     蘭
24     いつの間にやら噂広まる         牙
25   マンションの同居人には占師         ね
26     群れてすずめの並ぶ電線         蘭
27   出待ちするファンに美少女隠れをり      栞
28     謎多き人マリア・マグダラ        牙  
29   みかへりを求めぬ愛は神に添ふ        蘭
30     西日に射られじつと耐へたり   夏   ね
31   火傷さへ癒す四六の蝦蟇油      夏   栞
32     笑ひ話となりし思ひ出          牙
33   詰め腹を誰に切らすかなすり合ひ       ね
34     春の異動のそら恐ろしさ     春   蘭
35   此処其処と無礼講よと花筵      春花  牙
36     注ぎ足す酒を零す軟東風     春   栞
二ウ
37   休日の過ぐるは早し朝寝坊      春   蘭
38     古女房も時にかはゆし      恋   ね
39   狸顔メークアップで見違えて     恋   栞
40     髪型誉めるだけでセクハラ        牙
41   資格よりスカート丈で勝負する        ね
42     まづ人をみる目をば磨けよ        蘭
43   辻立ちの声の聞こえて青嵐      夏   牙
44     店に駆け込みどぜう鍋食ふ    夏   栞
45   ガイド本頼り切つての江戸散歩        蘭
46     翻訳機には笑ふしかなし         ね
47   出まかせの歌詞に沸き立つ宵の宴       栞
48     末はピカソよ吾子の絵を観る       牙
49   親バカの頭上等しく冬の月      冬月  ね
50     石焼き芋へパシリさせられ    冬   蘭   
三オ
51   レギュラーと言えど新人寒稽古    冬   牙
52     女子マネージャの熱き眼差し   恋   栞
53   建前は自社内ヘッド・ハンティング (恋)  蘭
54     パパとなることひた隠しにす       ね
55   為せば成る案ずるよりは生むが易し      栞
56     サイレン鳴れど昼寝決め込む   夏   牙
57   マンションに要らぬ蚊遣りをネット買ひ 夏 曙水
58     ベランダ越しに花火見物     夏花  蘭
59   儚さが美しいとは限るまい          ね
60     紙一重なるジキルとハイド        栞
61   贋作の噂絶えないゴッホの絵         牙
62     自然の模倣がアートとはいへ       蘭  
63   造園は作り過ぎずにシンプルに        〃
64     女の嘘も出任せが良し          ね
三ウ
65   だまされたふりすることも世のならひ     栞
66     勝ち気に勝る子とのトランプ       牙
67   列島に春一番が吹き荒れて      春   ね
68     うらやましく聞く恋猫の声    春   蘭
69   沈丁花の香溶けゆく夕の闇      春   曙
70     坂を上れば朧月出づ       春月  栞
71   迷宮とさせてならぬと名刑事         牙
72     二時間中に解決となる          ね
73   疲れては宗旨を問はず法話聴き        蘭
74     首に下げたるロザリオの意味       牙
75   数奇なる運命遂げし形見にて         栞
76     日記をまとめ自費出版す         蘭
77   知らぬ間に乗つてゐるのは口車        〃
78     粗忽者とて愛すべき友          牙
ナオ
79   冒険と遊び心で時忘る            栞
80     宇宙エレベーターの計画         ね
81   コンマ壱程度の誤差も見逃さず        牙
81   星月夜夢を語るに不足なし      秋   蘭
82     家計簿つけて暫しさはやか    秋   〃 両句に
83   庭に柚子たわわに実るマイホーム   秋   ね
84     黄昏時はそれぞれの秋      秋   栞
85   月代となれば賑わうガード下     秋月  牙
86     終電逃しマンガ喫茶へ          ね
87   彼の国の対戦相手もオンライン        栞
88     ヘボ碁を打つてしのぐ退屈        蘭
89   懐に入れた手紙は入れたまま     恋   ね
90     開けて赤面タイムカプセル   (恋)  栞
91   黒船にど肝ぬかれる神の国          蘭
92     永田町には龍馬溢れる          牙
ナウ
93   枯野道どこまで続くぬかるみぞ    冬   栞
94     古人にまなび時雨こそゆけ    冬   蘭
95   俗に居て風雅を得るは難しく         〃
96     観音様も片目瞑りぬ           栞
97   予約なき自分探しの旅に出て         ね
98     チルチルミチル青い鳥啼く        牙
99   故郷の花艶やかに蘇り        春花  栞
挙句     一斉に吹く木の芽草の芽     春   ね



※定座は守っても守らなくてもよい。
 初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
 初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
 二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
 二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
 三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
 三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
 名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
 名残裏 123456花8       (93〜100)_________


式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用 

写真提供はフォト蔵さん

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