2011年12月14日水曜日

第三千句 第四百韻『冬耕や』の巻



         百韻『冬耕や』の巻
                  2011.12.1~12.15
        
発句   冬耕や明日を信じる鍬の音      冬  禾
脇      天を仰げばかかる風花      冬  私
第三   寒稽古裸身のままに続きゐて     冬  風牙
4      奥の座敷に御膳整ふ          氷心
5    美しき裾捌きして割烹着          ね子
6      撫子残る里の夕暮        秋  草栞
7    ゆふがほの実にも月光とどくらん   秋月 私
8      鍵盤奔るリズムすさまじ     秋  莉由

9    洋館の出窓に見ゆるトウシューズ      牙
10     スリーサイズを思ふあれこれ   恋  由
11   横たはる着衣の美女を透視せん    恋  栞
12     予言の書などあるかも知れず      ね
13   大伯父の遺産分与にあづかつて       私
14     はたた神来て下ろす鉄槌     夏  由
15   山盛りのかき氷食ふ海の家      夏  心
16     過去の自分を子に見ては笑む      私
17   ぬばたまのダースベイダー広き背な     ね
18     月読男眼を剥いてゐる      秋月 由
19   残暑とて疲れしらずの仁王像     秋  牙
20     ちゃんこに入れる鰹椎茸     秋  心
21   アラフォーもアラ古希も居て花の笑  春花 由
22     陽はうららかに吟行の会     春  私
二オ
23   うぐひすも北鎌倉の寺めぐり     春  〃
23   声聞けど姿解らぬ百千鳥       春  栞
24     鞄の底で鳴りしケータイ        牙 両句に
25   マニュアルで誘ふアンタはA型か   恋  由
26     スカイツリーはデートスポット  恋  心
27   シルバーの物見高さは年季入り       私
28     野次馬ならぬ辻講釈師         栞
29   たまさかに心改め社会鍋       冬  由
30     卍固めを観る大晦日       冬  牙
31   鬼嫁にボーナス減がつひにバレ    冬  私
32     ウォール街のデモに加はる       ね
33   馬上には写真映えするユニフォーム     氷
34     無印といふブランドもあり       由
35   画用紙に余白残して筆置きぬ        栞
36     処世術にもぼかしあるらん       私
二ウ
37   やうやくに出てきた月のおぼろにて  春月 禾
38     いまだ区別のつかぬ毒芹     春  牙
39   弦楽を運ぶ優しさ桜南風       春  由
40     アンダンテよりなほゆつくりと     栞
41   いつまでも幼なじみでゐられずに   恋  牙
42     その気があるか使ふ当て馬    恋  私
43   合コンのメンバー揃へ出陣す     恋  ね
44     睥睨してる寒猿のボス      冬  由
45   湯煙に顔も赤らむ雪見酒       冬  栞
46     至福に忘る医者の警告         私
47   借金は泥酔しても纏ひつく         空秋
47   この頃は短いものに巻かれます       由
48     一家総出で入学式へ       春  私
49   眩しさが際立つてゐる花の顔     春花 心
50     カメラの前を黄蝶白蝶      春  由
三オ
51   夕方のニュースにチラリ自慢して      牙
52     鮮度が勝負旬の先取り         栞
53   トレーサビリティー舌を噛みつつ辞書編纂  禾
54     疑惑のにほふ彼のやさしさ    恋  私
55   野球部の寮の前にて抱き寄せる    恋  牙
56     青梅の実も熟す機を待つ     夏  ね
57   五月雨を托鉢に出る修行僧      夏  私
58     翁の泉もとくとくと湧き     夏  栞
59   連句して想像力が活性化          私
60     凍る嫦娥は頬を赤らめ      冬月 由
61   いちゃいちゃとダウンコートのバカップル 冬 私
62     いつ踏み外す時雨る畦道     冬  ね
62     無頼の日々は遥か遠くに        空
62     命みじかし燃えろよペチカ    冬  禾
63   漂泊の詩人駆けるやボヘミアン       栞 全句に
64     誘ふがごとく匂ふアブサン       牙
三ウ
65   魂を美神に抜かれぬやうにせよ    恋  私
66     今宵はありや殿のお渡り     恋  由
67   雨しづく花の蕾はふくらみぬ     春花 私
68     はじける肢体駆ける春の野    春  空
69   立ち漕ぎのふららこ競ひ飛び立たん  春  牙
70     盗み酒する留守番のババ        由
71   公平に親の面倒持ち回り          私
72     ここで三泊かしこで五泊        由
73   旅行記と何やら違ふ事ばかり        牙
74     脆くも滅ぶ天空の城          栞
75   松籟にいにしへしのぶ十三夜     秋月 私
76     言の葉くべん風炉も名残か    秋  禾
77   鯊日和父の威厳を取り戻す      秋  ね
78     何が何やら絡む配線          牙
名オ
79   絆とふ一字で〆てよいものか        禾
80     署名印鑑すべて御破算         空
81   解き放つ心のままにひとと逢ふ    恋  由
82     思はせぶりに帯をゆるめて    恋  栞
83   懺悔録伏せ字あれこれ妄想し        由
84     はつと気づけば電車乗越        私
85   遠き目の少年を見る神無月      冬  ね
86     エイトビートで降る冬の雨    冬  牙
87   ユーミンの歌詞あれこれと口ずさみ     栞
88     いくさの轍いまも続けり        由
89   武士やめて身を墨染めの草枕        私
90     智に働かず流されもせず        由
91   ようそろと池に漕ぎ出す月の舟    秋月 禾
92     管弦たまに和さずひやひや    秋  私
名ウ
93   文化祭わが子見直す溌剌さ      秋  私
94     血は争へぬ坊ちゃん気質        栞
95   骨の無い魚ばかりを食べてをり       牙
96     煮凝こそが究極の味       冬  禾
97   パスワード捨ててをみなは旅に出る     由
98     東風に誘はれそぞろなる日々   春  私
99   花の香を想ひ起せる葛干菓子     春花 栞
挙句     春星あかく幸せの降る      春  ね

                             定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1~8)   花一つ、月一~二つ
 初折裏 12345678901234 (9~22) __________
 二折表 12345678901234 (23~36) 花一つ、月一~二つ
 二折裏 12345678901234 (37~50)__________
 三折表 12345678901234 (51~64) 花一つ、月一~二つ
 三折裏 12345678901234 (65~78)__________
 名残表 12345678901234 (79~92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93~100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用 

写真提供はフォト蔵さん

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