2011年12月14日水曜日

百韻『葉を脱いで』の巻


at 杭全神社インターネット連歌

        百韻『葉を脱いで』の巻
                  2011.11.5~12.15

発句・冬   葉を脱いで冬日よびこむ林かな     佐為 景
脇・冬      鵠が掛けし霜の帷子        浜菅 景
第三・冬   水烟る湖に捨舟うらみせて       涅阿 景
4        をちこち糸を垂らす釣人      佐為 景人
5・秋月   月あかり昼かとまがふ影法師      涅阿 景人
6・秋      よすがら庭にすだく虫の音     佐為 景
7・秋    野にやどる過客は露に濡れるらん    涅阿 旅
8        山をしるべのみちのはるけさ    佐為 旅

1      悠久の時をたゆまず大河ゆく      涅阿 景
2・春      雪間の草に春のおとづれ      佐為 景
3・春    来てみれば霞みの奥に不二見えて    涅阿 景人
4・春      城の甍に風光りけり        佐為 景
5      ふるさとは変はらぬままがありがたき  涅阿 懐旧
6・恋      初恋の人今もわが胸        正純 恋懐旧
7・恋    儚くもをさなきどちの契りにて     佐為 恋懐旧
8・秋      おもひで溢れ出づる秋風      涅阿 懐旧 
9・秋月   くもりなき月はこころを映すらん    佐為 景人
10・秋     寝るさへ惜しき夜の菊の香     涅阿 人
11     神仏の幽かな波動身に感じ       佐為 神祇釈教
12       わびすむ庵も御殿とぞなる     涅阿 無常
13・春花  もゝちどり深山に花の咲き初めて    佐為 景
14・春     帰へさ小川に根芹摘みをり     涅阿 景人
二オ
1・春恋   片もひの君すむ方は遠がすみ      佐為 恋
2・恋      なしのつぶてのふみのむなしき   涅阿 恋
3      夢やぶれ帰国と友のうわさ聞く     佐為 無常
4        むしろ憂きものひとのなぐさめ   涅阿 無常
5      詮ずれば苦労ばなしも自慢なり     佐為 懐旧
6・冬      更けて音なく積もる初雪      涅阿 景
7・冬    つぎつぎとなき人浮かぶ小夜時雨    佐為 景人
8        濡るる蓑笠縋るひとすぢ      稔  旅         
9      庵住に飽きては出づる旅ごろも     涅阿 旅
10・春花    花追ひ人の性もかなしや      佐為 人
11・春月  玉盈(たまもひ)に映る月かげ朧なる  稔  景
12・春     たどればあやし春の夜の夢     涅阿 人
13     極楽も地獄もおのが心にて       佐為 無常
14       ありのすさびの糸竹のみち     稔  人
二ウ  
1      流されし身に情け染む須磨明石     涅阿 無常
2・恋      藻塩のけぶりなびく浦風      佐為 恋
3・恋    わりなくも縁を断つや迎船       稔  恋
4        日々孝行はすべきものかな     涅阿 懐旧
5・秋    雁さへもひととせ一度かへる里     佐為 景
6・秋      さらぬだにしむ秋の夕風      稔  景人
7・秋月   弓張のいづれ満つらん酒の酔ひ     涅阿 景人
8・秋      虫のこゑにもあるや序破急     佐為 景
9      ここと知る御代つかの間の都跡     稔  無常
10       四方の田面を吹きわたる風     涅阿 景 
11     ゆるぎなき山の姿に気が晴れて     佐為 景人
12・春     空はのどかに春あさぼらけ     稔  景
13・春   桜こそ造化の神の佳作なれ       涅阿 景神祇
14・春     無心に蜜をあつめ飛ぶ蜂      佐為 景
三オ
1・恋    一刺しに相対死にとすがる恋      稔  恋
2・恋      よよと涙に濡るるきぬぎぬ     涅阿 恋
3      なきつまのおもかげ追へば夢うつつ   佐為 無常懐旧 
4・夏      なにを名告るややまほととぎす   稔  景
5・夏    ゆくりなく門を出づれば青時雨     涅阿 景人
6        霑(しほ)れし野仏の笑みはかはらず 佐為 景釈教
7      あらましのいまはつきぬる老いの身に  稔  無常
8・冬      なほつれなくも止まぬ木枯らし   涅阿 景
9・冬    あかあかとともる家の灯冴ゆる夕    佐為 景
10・冬月    繊月寒く出づる山の端       稔  景
11     世に古るもまなこ冷まじ阿吽像     涅阿 釈教  
12       托鉢終へし僧あどけなき      佐為 釈教
13・恋   手習子寺小屋帰りふと見染め      稔  恋
14・恋     おもひたくさんひらがなのふみ   涅阿 恋
三ウ
1      英雄になれど息子は異国にて      佐為 人
2        母の「いしよのたのみ」胸うつ   稔  人
3      たはれをを悔いて四十路で身を固め   涅阿 人
4・春      かすみの晴れて見えし道筋     佐為 景人
5・春花   吹く東風もそふるめでたき花の宴    稔  景人
6・春      ひと差し舞へば和すや鴬      涅阿 景人
7      こゝろみに引いた神籤に吉が出て    佐為 神祇    
8        舫ひ綱解き漕ぎ出す岸辺      稔  景人
9      旅に死す覚悟はとうに隅田川      涅阿 旅無常
10       おもへば遠き空よ陸奥       佐為 旅無常
11・秋月  のがれたる一本松を月照らす      稔  無常景
12・秋     末枯れし野をつつむ夕闇      涅阿 景
13・秋恋  来ぬ人を待つはむなしき虫の声     佐為 恋
14・恋     かずにあまれる身のおもひ憂し   稔  恋
名オ
1・恋    妻の座を奪ひ盗らんやみだれ髪     涅阿 恋
2        すずしき顔で道を説くきみ     佐為 人
3      さればいざさなむかくなむ分けてみよ  稔  人    
4        十中八九もめるさうぞく      涅阿 人
5      ひとはみな修羅にもなれば仏にも    佐為 釈教
6・冬      塔の上なる冴ゆる寒星       稔  景
7・冬    あやぶみし年越できるありがたさ    涅阿 人    
8・冬      ふうとため息浸かる柚子の湯    佐為 景人
9      刺青もともに老いたり鯔背肌      稔  人
10・夏     軒端をかりてしのぐ夕立      涅阿 景人        
11・夏   つばめの子みなそつくりの口あけて   佐為 景 
12・夏     夕べ門田をわたる涼風       稔  景
13・秋月  ひんがしの山際あかり月出づる     涅阿 景
14・秋     祈りおのづと五山送り火      佐為 景人釈教
名ウ
1・秋    鉦叩一院の闇深きより         稔  景釈教
2        そろりと歩む雨後の延段      涅阿 景人
3      能の舞急にわからぬ面白さ       佐為 景人
4        眉白妙の翁出でまし        稔  景人
5      神さぶる千代の松が枝苔むして     涅阿 景
6・春      清き社に満つる春光        佐為 景
7・春花   花の下ほどはとはれぬ連歌の座     涅阿 景人
挙句・春     善男善女を撫づる軟東風      佐為 景人

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