2012年9月8日土曜日

第三千句第十百韻『によつぽりと』の巻

 

      百韻『によつぽりと』の巻
                     2012.9.8〜10.4

発句   によつぽりと秋の空なる富士の山   秋  鬼貫
脇      瑞穂たわわに光る里の田     秋  私
第三   寂しさの望のころには慰みて     秋月 ね子
4      秘伝のレシピハーブティー飲む     風牙
5    おもむろに古い日記の塵払ひ        草栞
6      思い馳せるは雪の箱根路     冬  玄碩
7    春支度痩せる努力ぞ河川敷      冬  坦庵
8      そろそろ本気を出さん婚活       私

9    出世より老後気になる四十代        ね
10     地下に降りればジャズの聞こゆる    牙
11   ビレッジにコスモポリタン集ひ来て     栞
12     ねずみ花火に猫も怯える     夏  碩
13   線香が尽き果て庭の萩見れば     秋  坦
14     蓑虫だつて恋をしたいよ     秋恋 ね
15   さを鹿の妻どふ声の身に入みて    秋恋 私
16     傾くまでの月の彷徨       秋月 栞
17   まだ耳に残りしままの胡弓の音       牙
18     四隣携へことを起こさず        坦
19   霜柱踏まぬようにとごみを出し    冬  碩
20     脱いでさわやか厚着一枚     冬  私
21   村里に笑ひ溢るる花の宴       春花 ね
22     たなびく旗に木の芽田楽     春  牙
二オ
23   夕霞ドライブインも灯を点し     春  栞
24     耳をすませば遠く波音         碩
25   尻敷かれ一国一城主つきて         坦
26     今や天下はおねねばかりぞ       ね
27   図書館は用無し爺のたまり場か       私
28     黄昏時に蝦蟇の声して      夏  栞
29   バリトンの父と輪唱夏の星      夏  牙
30     失せし単簧あしで探さん        坦
31   初嵐ブルーシートも巻き上げて    秋  碩
32     流れに乗れず流灯の骸      秋  私  から
33   群がりて咲く知恵のあり曼珠沙華   秋  ね
34     鰯雲飛ぶ下で再選        秋  牙
35   有明の夢ばかりなる戯れ事か     秋月 栞
36     街行く人の映る水滴          碩
二ウ
37   待ち侘ぶる朝の山門雨に濡れ        坦
38     峠の茶屋で歌仙巻くとか        ね
39   風狂人よそ目なんぞは憚らず        私
40     女心を弄びつつ         恋  栞
41   火傷などするはずなしと喋々し    恋  牙
42     暁覚へきよう別れん       恋  坦
43   気がつけば日毎に増えし都鳥     冬  碩
44     萎びゆくさま競ふ枯蓮      冬  私
45   極楽の池を見上ぐる罪人と         ね
46     月の光りに濡るる蜘蛛の囲    夏月 牙
47   アラベスク模様の誘ふラビリンス      栞
48     ハレムの宵は香に満ち満ち       碩
49   鹿の園ねむれる花を待ち続け     春花 坦
50     風の仕業か揺るるふらここ    春  ね
三オ
51   春雨に降られ同士の手が触れて    春恋 碩
52     素知らぬ顔で同じオフィスへ   恋  牙
53   月曜にしては服装少し派手         栞
54     デモに参加の決意固めて        ね
55   鍵忘れ爺の家行き飯くらう         坦
56     ほめておだてゝ出さす秘蔵酒      私
57   一重帯女将肴に賑ふて        夏  牙
57   一重帯女将肴に路地の奥       夏  牙
58     言葉少なにそっと目配せ     恋  碩
59  「王様は裸」と誰か叫ぶべし         ね
60     スタイリストも慌てふためき      栞
61   このごろはゲリラの如く雨が降る      私
62     家路を急ぎバイク操る         坦
63   見上げれば月あちこちにビルの街   秋月 碩
64     火照りし頬を撫づる秋風     秋  牙
三ウ
65   松茸の薫りの元を捜し当て      秋  栞
66     隣の卓は若き女子会          ね
67   落雷に足止めくらう帰り道      夏  坦
68     立錐の地なし夏の山小屋     夏  私
69   白シャツに跳ねるカレーの汁薄く   夏  牙
70     窓の外には熱きデモ隊         碩
71   攻防の激しさのなか一目惚れ     恋  ね
72     リング降りても追ふストーカー  恋  栞
73   人ごみを縫つてすゝむも技のうち      私
74     懲りぬ深酒朝もアタフタ        坦
75   夕闇の包む湖畔の温泉地          碩
76     ピンポン球の跳ねる音する       牙
77   外交と呼べぬラリーに帰り花     冬花 栞
78     海の果てまで吹くは木枯     冬  ね
ナオ
79   さめざめと裸の兎泣き濡れて     冬  坦
80     慈悲をかければ湧くや改悛       私
81   蝋燭の揺らめきをただ見つめをり      牙
82     閉店時間と肩を叩かれ         碩
83   街道へ座敷童と出でにけり         ね
84     遠き野辺には馬頭観音         栞
85   帰る家たゝんでまでするおくの旅      私
86     足袋の置き場を母にたずねる      坦
87   嵐過ぎ慶事日和の青き空          碩
88     解けぬやうに結ぶ水引         牙
89   鶺鴒の案内する後追ひかけて     秋  栞
90     葦の繁みに見る夜這星      秋  ね
91   はし歩き月読宮詣でれば       秋月 坦
92     大吉出るまでおみくじを引く      私
ナウ
93   子の寝顔今宵肴は出世魚          牙
94     鴨居の上に並ぶ賞状          碩
95   メールにはスマイルマークだけ描かれ    ね
96     やがて消えゆく村の道化師       栞
97   トランクに希望忍ばせ汽車に乗り      坦
98     なごりの雪のかすむ山影     春  私
99   古寺も分相応に花の頃        春花 碩
挙句     囀り聞こえ休む石段       春  牙

    鬼貫 一 
    ね子 十七 
    風牙 十七 
    草栞 十六 
    玄碩 十七 
    坦庵 十六 
    私  十六

・・・ 経過閲覧

※定座は守っても守らなくてもよい。           四花四月〜七月
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用

写真提供はフォト蔵さん

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