枯葎かなぐり捨もせざりけり 一茶 冬
月も出よとたゝく納豆 双樹 冬
むら烏染物取に棹さして ゝ
遅い梅さへほと/╲とちる 茶 春
朔日の薄縁めくる春霞 ゝ 春
綿を蒔ても井戸掘が来ぬ 樹 春
ウ 燈灯に牡丹餅ほどの紋書て 樹
紫陽花咲ば粕漬をうる 茶 夏
ぬすまれし子猫二ツにねそびれし 樹
嵯峨の松葉をいぶす村雨 茶
槻の臼たゝいて何か唄ふらむ 樹
別の月の鼻先に出る 茶 秋月
蒲生の穂の少し散ても秋なれや 樹 秋
仏の柿をひとつふるまふ 茶 秋
朝日陰たま/╲寺に土こねて 樹
宰相どのゝ鑓みゆる也 茶
旅寝せよ野はさまざまの花の雪 樹 春花
鍋つゝかけて娵菜をぞつむ 茶 春
二 場ふさげにたが竹削る春の末 ゝ 春
里にかぶさるかゞの白山 樹
風呂敷の御骸にかゝる横時雨 茶 冬
仮のけぶりの低き行燈 樹
いさゝかな隙をぬすんで打粧ひ 茶
さら/╲竹の薮蚊にくがる 樹 夏
真桑めせ伊豆の島までみゆるなり 茶 夏
仏掘たる跡にあさら井 樹
菊の露薄紙染る淋しさに 茶 秋
破たひさしも月は嬉しき 樹 秋月
はつ雁に風呂のたつらん鐘鳴て 茶 秋
薬ぎらひが松をたはめる 樹
ナ 君が代の旅に出かける小鍋売 ゝ
蚤の湧かぬ守ある家 茶 夏
酒壷の欠を大事に持古し 樹
今木因と人のいふらむ 茶
蒟蒻の苞をかけたる花の枝 樹 春花
露うつくしき草の萌際 茶 春
引用:『一茶の連句』高橋順子
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