蛙なくそば迄あさる雀かな 成美 春
春めくものに門で薪をわる 一茶 春
旅人の小雨にかすむ顔見へて 美 春
かさごの安き浦のおもむき 茶
階子貸す騒ぎも過て小夜月 美 秋月
木履をはけばきりぎりす鳴 茶 秋
ウ 清澄の堂の油の秋も尽 美 秋
肱一尺の総や染らん 茶
もどりには首に引まく小鳥罠 美
行灯めぐりて春を待つとか 茶 冬
粕汁にむせかへる程泣出して 美 冬
うそつかぬ木を立しあさぢふ 茶
する事の何にもなさに百合の咲 美 夏
けたゝましさよ入梅の夕月 茶 夏月
筆とりの大津の長に名を問れ 美
鈴ふらぬ日ぞ嬉しかりける 茶
死ぬ事のなくばなをさら春の花 美 春花
わり竹しめす水のやまぶき 茶 春
二 菅笠をきればすぐさま東風の吹 ゝ 春
三輪の餅屋に見しられにけり 美
檜さす弥勒祭の鐘なりて 茶
ぬれて菖蒲を人跡にふく 美 夏
二の宮の御意そむかねど先涙 茶
射散らす鏑矢拾ひ人もなし 美
高砂は榎の声もなつかしく 茶
寺にも寝たる細きあきなひ 美
名月の一年ましに寒うなり 茶 秋月
松葉にまじるはらゝごの塩 美 秋
萩の露目へさし消やすおもしろさ 茶 秋
鹿島の舟にかるたうつらん 美
ナ 方々にまな板たゝくむ月とて 茶 春
淡雪そふる紙子浪人 美 春
五六本寝て見る花の目利せん 茶 春花
鋸借に扉たゝくか 美
初霜の瓶の中迄夜は明て 茶 冬
もろこし舟に身をたとへけり 美
引用:『一茶の連句』高橋順子
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