『葛の松原』で支考は、余情付として、三つの付け方を提示したが、後に芭蕉に難破され、論を撤回し、別の三法七名八体説※を提唱した。
「世に景気付、こころ付といふ事は侍れど、
○走
敵よせ来るむら松の音
有明のなしうちゑぼし着たりけり
○響
夜明の雉子は山か麓か
五む十し何ならはしの春の風
○馨
稲の葉のびの力なき風
発心の初に越る鈴鹿やま
無所住心のところより付きたらば、百年の後、無心の道人あつて、誠によしといはむ。いとうれしからずや。」 (『葛の松原』支考)
「名目伝(露川)に馨(におい)・走(はしり)・響(ひびき)の事も、葛の松原(支考)を御学びなされ候かな。
これは故翁在世の時に、
響とは起情の事也、
走とは拍子の事也、
馨とは百句が百句ながら二句の間のにほひ
をいへば、付方の一名には如何ならんと、其時に故翁に難破せられて、此たび十論(俳諧十論、支考)に弁義を付て、其誤りを悔み申し候。然ば貴房が名目伝も無用の沙汰と申すべく候。決して抜捨たまふべし。」(『口状 露川責』支考)
※ 三法: 有心付 会釈 遁句
七名: 有心、向付、起情 会釈、拍子、色立 遁句
八体: 其人 其場 時節 時分 天象 時宜 観相 面影
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