2010年6月19日土曜日

李白捉月


李白捉月 in 『李白の月』南伸坊、マガジンハウス

  その晩も詩人はひどく酩酊していた
  月が川面に揺れるのを掬いとろうとするらしかった
  旦那様、いい月ですね
  ・・・・・・・・
  グラリと舟が傾き船頭は目のはしに
  詩人が大きく身を翻すのを見た
  不思議なことに水音が聞こえなかった

 ※李白の捉月伝説
   当塗にほど近い長江の景勝采石磯で、李白は月夜に舟を浮かべて大酒した。
   場違いにきらびやかな錦袍を着け、まるで傍りに人無きがごとくであった
   という。酔余、水に映る月を捉えんとして転落しそのまま溺死した。


     をりをりの月に妙なる詩を吐いて朝寝朝酒咎められずに 

                        ( 連歌百韻『翁逝き』)

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