2010年6月5日土曜日

新しみ ー 俳句と連句の違い 

#jrenga #jhaiku 俳句 連歌 俳諧 連句
能勢朝次『連句藝術の性格』交蘭社、昭和十八年

「連句における新鮮な感興を惹起するにはいかにすればよいであろうか。その点を考えると、発句においての新しさは、作者と作者の対する対象との関係において存在する。つまり作者が、自然なり人事なりを凝視して、その自然または人事の中から、他人の言い古していないところの新詩趣を探りとってくることが、俳句における新しさである。

俳句に写生などが勧められ、写生によって新生命が得られたのも、こうした立脚地に立つものであったがゆえである。新しき対象を発見し、その把握の仕方と表現の仕方に、個性的な味わいを出すことができれば、俳句としてはそれで十分なる新味を獲得したものと認められるのである。

しかるに、連句の感興は、前句というものに対して、巧妙に応ずるところが眼目である。従って、新しさというものは、前句への応じ方に存しなくてはならない。自己の独創なり個性味なりを主張する点にはなくて、自己を虚にして前句を受け入れ、自己に宿った前句の余情を噛み分けて、その余情に対して応じて行く行き方に新味が求められる。従って、付けた付句自身には、別に素材着眼に新しいところがなくとも、前句との関係において新しさがあればよいのである。」

感想:
連句芸術の核心中の核心をわかりやすく述べていると思う。連句は俳句あるいは川柳を単に連ねるものではない。ともすれば張り合って一句自体で目立ちたがろうとし、結果、前句との二句一連、短歌で読むと、ぎくしゃくごりごりとおさまりのよくないものとなってしまう傾向も一部に見られる。そうならないように、いつも肝に命じておきたい。

0 件のコメント: