2010年6月21日月曜日
第二千句 第一百韻『長廊下』の巻
class:
連歌俳諧
百韻『長廊下』の巻
2010.6.30〜7.17
1 発句 長廊下ごとりと寝入る蝉時雨 夏 がじゅまる
2 脇 まづは木の葉の告げる夕立 夏 私
3 第三 さくさくと足下かろき遊歩道 彼郎女
4 更待月を待てど空しく 秋月 玄碩
5 子と共に食ひ尽くしたる栗や豆 秋 氷心
6 テストパターン映る朝寒 秋 不夜
7 目で追うも影だけ残すジョウビタキ 秋 海霧
8 笛に誘はれ行く村芝居 秋 草栞
ウ
9 越後獅子山路ふみわけ急ぎをり 百
10 思ひのほかに遠き鞍馬よ 私
11 繰り返すGPSの合成音 不夜
11 好いひとを雪がへだてる露天風呂 冬恋 氷心
12 ここにいるわと氷柱で合図 冬恋 栞 (両句に)
13 囚われし姫居る塔の朧なる 春恋 がじゅまる
14 リボンの騎士の駆るは若駒 春 不夜
15 シチリヤの花を散らしてタンクレディ 花 百
16 いづれしぶさのよさわかるらん 私
17 舌でなく喉で飲めとや缶ビール 私
17 古道具素性は実はゴミの山 私
18 汗の一日終へて腑抜けに 夏 不夜(両句に)
19 竹婦人冷たくなって待ってます 夏 百
20 夫はわたしに母をみてゐる 私
21 書斎より計ったやうにお〜いお茶 不夜
22 依存体質変へるのは骨 私
二オ
23 我が祈願キャリーオーバー年越して 新春 私
24 リターンマッチを誓ふ松すぎ 新春 不夜
25 東風吹きてやけ棒杭に火が点きて 春恋 がじゅまる
26 嬉し恥ずかし老いらくの恋 恋 玄碩
27 さりげなく統一感でペアルック 恋 私
28 時に訪ねる阿吽の仁王 海霧
29 あをによし寧楽の都の遷都祭 栞
30 バス乗り継いで自転車を借り 百
31 岩鼻に我も真似せむ月の客 秋月 不夜
32 おもはず口に尾花一本 秋 私
33 騙し合ひ果てるともなく露に濡れ 秋 栞
34 先陣競ふ生食磨墨 百
34 素鞍の青を包む朝霧 秋 氷心
35 満々と長江の面冬近し 秋 海霧
36 租界守れと並ぶ砲艦 不夜
二ウ
37 楽しみは夕食後の酒保開け 氷心
38 外人部隊明日を知らざり 不夜
38 無礼講ゆめこころ許すな 私
39 いずこより機密事項が洩れたやら 彼郎女(両句に)
40 なりすましには注意あそばせ 栞
41 あめんぼうおのれは蜘蛛か馬なのか 夏 氷心
42 青鷺じつと池面うかゞふ 夏 私
43 夏暁の陽昇るごとくに立ちにけり 夏 がじゅまる
44 揃ひの寝巻きで宿前の浜 私
45 号令は竹刀片手の鬼コーチ 不夜
46 家に帰れば満点パパで 百
47 逢引を重ね浮名を流したり 恋 栞
48 わが子の父は妻の愛人 恋 私
49 あらだてゝ地獄見るより知らんぷり 私
50 浮世くらませ散る花の蔭 春花 がじゅまる
三オ
51 猫の子と遊ぶ画伯は坊主刈 春 不夜
52 老いの春にて娶る新妻 春恋 私
53 婿殿も紋付袴新調し 恋 百
53 末の児も無事に大学卒業し 春 彼郎女
54 期待ふくらむデジタルネイティブ 栞
55 飯だけは三度三度を定時刻 氷心
56 切羽詰まればわざと懲役 私
57 網笠の瓶底めがね枯野行く 冬 不夜
58 しぐれてなにも見えぬふるさと 冬 氷心
59 洋館の裏にはたしか詫助が 冬 海霧
60 主人なき庭色々の満つ がじゅまる
61 ゆふされば蛍の生ふるやへむぐら 夏 私
62 飽かず眺むる短夜の月 夏月 栞
63 あがひざを枕にをとこねまるなり 恋 氷心
64 縁と思へばにくさいとしさ 恋 不夜
三ウ
65 じゃじゃ馬を馴らしたはずが馴らされて 私
66 老舗の系譜婿の代々 がじゅまる
66 カウボーイもとメジャーリーガー 不夜
67 仕込まれて大食いになり廃業す 百
68 どすこい根性役に立つらん 私
69 雨のたび崩れし巣口なほす蟻 夏 私
70 賽の河原に積む石の数 不夜
71 すれ違ふツアー登山の列長く 私
72 日もとっぷりと暮れ道遠し 栞
73 独り身のどこか落ち着くネットカフェ 百
74 作家きどりでリレー小説 私
75 入力の画面に落花二三片 春花 不夜
76 朧な松に一句つぶやく 春 私
77 望の夜に手枕なんて夢ばかり 春月恋 栞
78 汝れ酔ひつぶれ我れゑひもせず 恋 私
名オ
79 常になく愛い奥さんは超肥えて 恋 氷心
80 神に捧げるフラは海辺で 海霧
81 豊年の来る方より風の吹く がじゅまる
82 季節感なき市の食材 不夜
83 もちまるめ万作祝ふも雑のうち? 千
84 幕間芸にて人間国宝 私
85 なにごとも日々精進の積み重ね 私
86 滅私奉公報はれずとも 栞
87 我が命ささげ今さら悔ひもせず 彼郎女
88 ゲリラ豪雨のメール警告 百
88 大海となれ一滴の水 私
89 オフィス街色とりどりの傘の行く 不夜(両句に)
90 あしもとみつつわれつゆ知らず がじゅまる
91 「満月が綺麗ですよ」とメールあり 秋月 彼郎女
92 秋の七草葛たらずとも 秋 百
名ウ
93 荻のこゑせめて飾らん庵の床 秋 私
94 名残を惜しむ風炉もやつれて 秋 栞
95 入院をあすに控えた日曜日 氷心
96 空気察すや猫のまつはる 私
97 公園の植ゑ込みまでも花筵 春花 私
98 風船売の声はハスキー 春 不夜
99 春泥は子犬を抱いて初散歩 春 百
挙句 空見上ぐれば鳥雲に入る 春 彼郎女(執筆)
※同じ番号の句はことわりがなければ最後の句に次の番号の句が続いたことを示す。
定座なし
初折表 12345678 (1〜8) 花、月一つ
初折裏 12345678901234 (9〜22) _______
二折表 12345678901234 (23〜36) 花、月一つ
二折裏 12345678901234 (37〜50)_______
三折表 12345678901234 (51〜64) 花、月一つ
三折裏 12345678901234 (65〜78)_______
名残表 12345678901234 (79〜92) 花、月一つ
名残裏 12345678 (93〜100)______
式目 正風芭蕉流準拠十カ条
※twitterで巻かれた百韻
◯第一千句:
一、 自由連歌百韻 初懐紙 3.8〜3.28
二、 連歌百韻『花曇る』の巻 3.28〜4.9
三、 連歌百韻『つみ草や』の巻 4.10〜4.16
四、 連歌百韻『阿蘭陀を』の巻 4.16〜4.21
五、 連歌百韻『人垣を』の巻 5.10〜5.15
六、 連歌百韻『蚊柱を』の巻 5.17〜5.23
七、 連歌百韻『ナイターに』の巻 5.26〜6.2
八、 連歌百韻『目にしみる』の巻 6.4〜6.11
九、 連歌百韻『翁逝き』の巻 6.13〜6.18
十、 連歌百韻『はらからと』の巻 6.21〜6.29
◯第二千句:
一、 連歌百韻『長廊下』の巻 6.30〜7.17
写真提供はフォト蔵さん
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