2011年4月24日日曜日

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2011年4月23日土曜日

蕉風連句の付合

芭蕉俳諧の精神、赤羽学

連歌の余情は、そのまま俳諧の付合の「にほひ」に移行しない。連歌の余情は、前句に意味的な連関を考え、それを情趣化したものである。付合の根底に、飽くまで理を立てようとする所がある。それに対して俳諧は、対象の状態を瞬間的に言語化し、理りを言い切ってゆく。付合においても、前句との間に論理的な展開を考えない。そしてその断絶の間に理りによっては計り難い深遠な情趣醸し出す。それが「にほひ」であろうと思われる。


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2011年4月20日水曜日

連歌の付け順ー膝送り

両吟から六吟までは参考文献を引用、七吟から十吟はそれを基に拡張した。 ...は、以下繰り返しを表し、||は、繰り返しの起点を示す。例えば、四飛び二飛びとは、四吟のAに注目すると次は4人の後に詠み、その次は2人の後に詠みそれを繰り返すことを表す。

■ 両吟 AB BA AB BA... or
     AB AB...半分まで BA BA...

■ 三吟 ABC ABC ABC...

■ 四吟 ABCD BADC ABCD BADC...
                        (四飛び二飛び or 二飛び四飛び)

■ 五吟 ABCDE||BADCA ECBED...
                        (六飛び二飛び or 二飛び六飛び)

■ 六吟 ABCDEF BADCFE...     
                        (六飛び四飛び or 四飛び六飛び)

■ 七吟 ABCDEFG||BADCFEA GCBEDGF...
                        (八飛び四飛び or 四飛び八飛び)

■ 八吟 ABCDEFGH BADCFEHG...
                        (八飛び六飛び or 六飛び八飛び) 
 
■ 九吟 ABCDEFGHI||BADCFEHGA ICBEDGFIH...
                        (十飛び六飛び or 六飛び十飛び)

■ 十吟 ABCDEFGHIJ BADCFEHGJI...
                        (十飛び八飛び or 八飛び十飛び)

参考文献:『連句入門』東明雅、中公新書

芭蕉の夢とは

『漂泊の魂』井本農一編、昭和45年、角川書店
 第一編「漂泊者の系譜」唐木順三

風雅の道

1、風雅の誠を勤むるといふは、風雅に古人の心を探り、近くは師(芭蕉)の心よく知る
  べし。」(『三冊子』)

   風雅に古人の心を探りというのは、風雅において古人の心を
   探りということ、すなわち、風雅とは何かを主体的にせめあ
   かした古人の心を探ってそれを追体験せよということである。

2、造化にしたがひて四時を友とす・・・造化にしたがひ、造化にかへれ(『笈の小文』)

   風雅の道へいたるためには、私意を去り、自己執着を去るこ
   と、すなわち自己を放下して造化にかえり、造化の美を己が
   言葉によって荘厳することが課せられる。そしてそこへ到る
   ための条件として無住無庵、一所不住の漂泊の旅を、芭蕉は
   選んだ。  四時:四季

感想:上のことを踏まえて以下の句を読むとき、字面の意味以上の
   感慨をもって芭蕉が句を詠んだことを感ぜずにはいられない。
   この道とは、風雅の道のことで、枯野をかけ廻る夢とは、ま
   だ極めきっていない風雅の道の先にあるであろう境地を希求
   する心のことであろう。
   
     この道やゆく人なしに秋の暮れ
  
     旅に病んで夢は枯野をかけ廻る

2011年4月19日火曜日

百韻『垂乳根の』の巻


第二千句第八百韻

         百韻『垂乳根の』の巻

                        2011.4.1〜4.18

 1 発句 垂乳根の母ふと寂し弥生尽      春   朧月夢
 2 脇    はらはら肩にかゝる花びら    春花  私
 3 第三 洋上の東風異国より来たるらむ    春   ね子
 4      小瓶に詰めた手紙拾ひて         草栞
 5    モチベーション溢れるままに曲作り      リュウ
 6      気づけば空のいろ移りけむ        郎女
 7    黙つても気詰まりしない旧き友        私
 8      汝が名忘るる我を許せよ         不夜

 9    秋彼岸一輪早き契草         秋   夢
10      蟷螂なればいつそ食はれん    秋恋  ね  たうらう
11    共寝して月を見上ぐる怠け者     秋月恋 ふない
12      若き牡鹿の声懐かしき      秋恋  夢
13    立ち寄ったマンガ喫茶はレトロ風       リ
14      一反もめん暖簾にいかが         栞
15    もの売りの吐く息白き勝手口     冬   不
16      討ち入りの日は遂に決せり    冬   私
17    ネクタイを結んでほどきまた結ぶ       ふ
18      迷路のごとき地下駐車場         ね
19    買ひだめは駄目と知りつゝ弥次郎兵衛     私
20      両手に何を持ちて帰らむ         郎
21    倒産の倉庫整理の明易し       夏   不
22      酒酔星は泪色して        夏   リ
二オ
23    短冊に夢書きし子も嫁ぎ行き         夢
24      猫と煮干を分け合うてゐる        ね
25    幸せは己が心で決めるもの          私
26      レモンかじりし君の目が言ふ   秋   夢
27    密やかな仕掛けのごとく稲つるび   秋   栞
28      花野に落ちる鉄塔の影      秋   ふ
29    有明にシベリア鉄道驀進す      秋月  リ
30      寡黙な客の髪は砂色           不
31    吉原の遊びが過ぎて縁切られ         ね
31    同じ席いつものあれを注文す         郎
32      忘れられぬは馴染みのにほひ       郎  両句に
33    一押しのパン屋にはかに店仕舞        私
34      霙の濡らす貼り紙の文字     冬   不
35    束の間に聖樹映せるマッチの火    冬   栞
35    かたしきの袖の時雨も氷つき     冬恋  夢
36      覚めぬ夢こそ永久に見まほし   恋   夢  両句に
二ウ
37    ときめきの薄れるころにつぎの恋   恋   私
38      自転車操業せねば回らず         栞
39    母の日は母を休ませ母代はり     夏   ね
40      白玉茹でる大鍋の湯気      夏   ふ
41   「トルコ風呂」淫らと言われ丸くなり      夢
42      絵は省略とデフォルマシオン       私
43    爆発の後もじわじわ熱帯びて         栞
44      空と海とのまぐはひの刻         リ
45    明星が口に飛び込み大悟する         私
45    見つけたよ、何を?ってほら永遠を      夢
46      理解者なくば天才ならず         不  両句に
47    むだ口を叩き喫茶の夜は更けぬ        ふ
48      入学式を終えて一息       春   郎
49    花見する人を横目の忙しさ      春花  不
50      芋は煮えれど棒鱈煮えず     春   夢
三オ
51    レシピには載せぬ秘伝のありぬべし      私
52      微妙な違ひたれも解らず         栞
53    八百長の噂に力士押し切られ         ね
54      切り返せずに首捻りつつ         私
55    仮免許にて舵をとる無鉄砲          不
56      由良のと渡るお七じゅうろく   恋   夢
57    愛しさの増せば苦もます狂ほしさ   恋   私
58      文も寄越さぬ君のつれなさ    恋   郎
59    巻き湯葉に結び針魚の春の椀     春   夢  さより
60      ちらちら雛をみてはおすまし   春   私
61    篝火のただ煌めきて朧月       春月  夢
62      橋のたもとに狂女舞ふゆめ        ね
63    語り聞く遠き昔の人柱            不
64      伝へる術も今はブログに         栞  すべ
三ウ
65    あへてする告白炎上期してをり        私
66      時に汚名も売名となる          〃
67    上げ下げはムードで変はるマスメディア    〃
67    ロックスタードラッグの沼玻璃の蓮  夏   夢
68      うつけ者こそ覇王の乱世         夢  両句に
69    創造に必要なのは非常識           私
70      グラスの底に顔よあれかし        不
71    二丁目に河岸を変へたか人相見        ね
72      おねえ口調は処世術なり         私
73    ACのリフレインには愛想尽き        栞
74      カフェdeブレイク気分さはやか 秋   私
75    はじかみの鮮烈にして秋の鯖     秋   夢
76      柿の一葉を添える去来忌     秋   栞
77    風そばふ嵯峨のまほらの花紅葉    秋花  私 
77    面影や仕舞ひも出来ぬ花灯籠     秋花  夢
78      消せぬ炎のいと浅ましき     恋   夢  ほむら 両句に
ナオ
79    我が魂を結び留めむ君いづこ     恋   ね
80      祈れば来たるものならなくに       郎
81    みちのくのしのぶるたみにさちよあれ     私
82      ラピスラズリの夕闇の下         栞
83    工房に絵の具をつくる音しきり        不
84      身を粉に砕く様のうつくし        私
85    香味触フリーズドライで進化して       夢  こうみそく
86      軽さの価値を思ひ知る山         私
87    朝寒に師僧笑って震へをり      秋   ふ
88      敗荷といふ美学もありて     秋   ね  やれはす
89    名月の酒に飛び出すアート論     秋月  私
89    夜も更けて猪口に映るは後の月    秋月  栞
90      飲み干したればしばし去れ友       不  両句に
91    ひもとけば古今の知己のそこにあり      夢
92      頁のノドに紙魚が隠れる     夏   ふ
ナウ
93    暑がりにあはせ設定する温度     夏   私
94      ウルトラマンも弱る節電         栞
95    ヒーローになるもなれぬも時の運       郎
96      ただひたすらに追ひかける夢       不
97    帰郷する球児の頬に花の風      春花  夢
98      斑雪は吉と出でし山肌      春   私  はだれ
99    げんげ田に農作業車を走らせて    春   ふ
100挙句   春祭り待つ友ら楽しも      春   ね

縦書き版 by ふないさん

                            定座なし
                           __________
 初折表 12345678       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
 初折裏 12345678901234 (9〜22) __________
 二折表 12345678901234 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
 二折裏 12345678901234 (37〜50)__________
 三折表 12345678901234 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
 三折裏 12345678901234 (65〜78)__________
 名残表 12345678901234 (79〜92) 花一つ、月一つ
 名残裏 12345678       (93〜100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条 
転記用:http://zrenga.ya-gasuri.com/
写真提供はフォト蔵さん

 

2011年4月9日土曜日


前句    橋のたもとに狂女舞ふゆめ  ね子
付句  新作は無意識下にて想を練り   私

  新作は無意識下にて想を練り橋のたもとに狂女舞ふゆめ
  
狂女が出てくる能の『隅(角)田川』の作者、観世十郎元雅の場合はどうだったか。

参考:「能役者による新作能-創作の内側-」
    この論文に出てくる宮沢賢治研究の大御所は、お隣りの旦那さん。

写真は借用:http://is.gd/BFM7TB

2011年4月7日木曜日


前句  レシピには載せぬ秘伝のありぬべし
付句    宋朝青磁のあをの復元                

  レシピには載せぬ秘伝のありぬべし宋朝青磁のあをの復元
               
(釉薬の調合、レシピを試行錯誤で工夫して復元不可能と言われた宋朝青磁の復元に成功した日本人の陶芸家がいる。)


写真は借用:http://www2.ttcn.ne.jp/~cyouei/sub3.htm

2011年4月4日月曜日


         極東の終着駅 ウラジオストック


  前句  有明にシベリア鉄道驀進す    リュウ
  付句    VISAは逃避の命なりけり 私

    有明にシベリア鉄道驀進すVISAは逃避の命なりけり 
               [日本のシンドラー、命のビザ]


写真は借用:http://oasis.halfmoon.jp/extphoto/russia1_main.html

2011年4月2日土曜日

李下不正冠


  
   古楽府「君子行」

君子防未然  君子は未然に防ぎ、
不處嫌疑間  嫌疑の間に処せず。
瓜田不納履  瓜田(かでん)に履(くつ)を納(い)れず、
李下不正冠  李下に冠(かんむり)を正さず。

(以下略)

 李下【りか】すももの木の下


写真提供はフォト蔵さん


 前句    気づけば空のいろ移りけむ
 付句  病院も旅のすみかと思ひなす

   病院も旅のすみかと思ひなす気づけば空のいろ移りけむ


写真提供はフォト蔵さん