2013年4月15日月曜日

『貞享式海印録』ー 正風復古の願ひを起して同じ流れに遊ばゝや


幕末に原田曲齋は芭蕉在世時の蕉門の式目作法を分析定義した。本書は正風の俳諧師を自認する人のための座右の書/虎の巻である。#jrenga 連歌 俳諧 連句   電子版が国立国会図書館の近代デジタルライブラリにアップされている。
所収:俳論作法集 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/39  
書籍は日本の古本屋  http://www.kosho.or.jp/servlet/bookselect.Kihon で俳論作法集を検索すれば数冊ヒットする。

電子版『貞享式海印録』を活用できるように目次をURLリンク化した。

       頁 コマ番号      画像のURL          
貞享式海印録  56 39 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/39  
目録      58 40 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/40 
一の巻
 発句     72 47 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/47   
 脇 身柄の論 74 48 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/48  
 第三の節  119 70 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/70  
 三物    136 79 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/79   
 表物    138 80 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/80  
二の巻
 去嫌惣論  141 81 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/81 
 表の事   143 82 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/82   
 四句目   149 85 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/85 
 裡移り   150 86 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/86 
 匂花挙句  151 86 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/86 
 奉納    159 90 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/90 
 夢想    163 92 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/92 
 追善    165 93 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/93 
 人倫と噂の弁172 97 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/97 
 支体    195 108 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/108 
 病     199 110 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/110 
 述懐    200 111 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/111 
 山類    202 112 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/112 
 水辺    204 113 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/113 
 雑場    207 114 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/114 
 居所    212 117 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/117 
三の巻
 恋     217 119 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/119 
 旅     236 129 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/129 
 名所    237 129 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/129 
 神釈無常  242 132 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/132 
 乾坤門   252 137 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/137 
 時分    263 142 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/142 
 夜分    266 144 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/144 
 時節    267 144 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/144 
 四季    270 146 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/146 
 雑     285 153 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/153 
四の巻
 月     294 158 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/158 
 素秋    322 172 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/172 
 日     326 174 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/174 
 星     330 176 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/176 
 花     330 176 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/176 
 植物    350 186 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/186 
 生類    358 190 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/190 
五の巻
 填字    365 193 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/193 
 別吟    367 194 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/194 
 留字    369 195 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/195 
 辞てには  381 201 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/201 
 体言用言  395 208 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/208 
六の巻
 火体    457 239 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/239 
 色立    459 240 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/240 
 畳付    460 241 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/241 
 一字一点  463 242 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/242 
 准付    467 244 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/244 
 軍事地獄  470 246 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/246 
 死活    475 248 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/248 
 一句立   477 249 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/249 
 両体用   481 251 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/251 
 輪廻    483 252 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/252 
 内外    485 253 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/253 
 禁物並変格 487 254 http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/950166/254


参考:佐々醒雪の解題

 全編芭蕉の伝書といふ貞享式、一名二十五条を根拠として、許多の俳諧に例証を求め、蕉門俳諧の式目を帰納的に論断せんとしたるものなり。 

 かの二十五条が芭蕉より其角、去来に伝り、去来より支考に伝りたりといひ、又は支考の偽作なりといふ、その当否は今必しも定むるを要せず。 

 曲斎は芭蕉の出席せる俳諧の巻々を悉く調査し、その足らざるものを、直門の高足等が俳諧によって補ひて、実例を根拠としたる通則を発見し、これを二十五条及び貞徳風と比較したるものなれば、蕉門の式目としては、既に疑念を挿み難き断案を下したものといふべし。  

 引用せる俳書数百部、芭蕉とその高弟との著は成し得る限り渉猟せるものにして、天明期以前の俳諧の形式は殆どここに尽きたりといふべし。

2013年4月8日月曜日

【満尾】第四千句第六百韻『若草や』の巻



                      百韻『若草や』の巻   
                                                                                2013.4.8〜5.5

発句  若草や文庫で読みし資本論       風牙  春
脇     げんげ田かへす耕耘機の音     春蘭  春 
第3  春疾風聟取りの村華やぎて       曙水  春
4     日舞の稽古手取り足取り      草栞
5   顔に似ぬ厳しさが売り評判に      真葛
6     無垢の一枚板カウンター       牙
7   頬杖で眺むる今日の月明し       ね子  秋月
8     添い臥の稚児包む虫の音       水  秋  そいぶし

9   鬼の子と言はれ父恋ふ健気さよ      葛  秋
9   つりあはぬちぎりはかなくそでのつゆ   蘭  秋恋
10    面影慕ひ干せる中汲         栞  秋恋 両句に
11  長旅を終えて見下ろす滑走路       牙
12    リノリウムさへ匂ひ懐かし      蛉
13  若作りしてゆく孫の参観日        蘭
14    フォークダンスの足がよろける    葛
15  打ち上げはキャンプ・ファイアー缶ビール 蘭  夏
16    祭終ればむら冬支度         水  秋
17  最果ての海峡越えて鶴渡り        栞  秋
18    孤独身にしむ教室の窓        ね  秋
19  彫像の遠き眼差し月浴びて        葛  秋月
20    乙女らまとう春色の服        水  春
21  枝々に小鳥さへづる花大樹        蘭  春花
22    ランドマークの鐘は霞めり      葛  春
二オ
23  ツイートもメールも返信待ちの僕     水  恋
24    予約の取れぬ店で決戦        牙  恋
25  あかつきに羊羹めあての列のびて     蘭
26    ネズミいつしか寺に住みつく     葛
27  鍵つ子で街を彷徨ふローティーン     ね
28    亡き母想ふコゼットのごと      栞
29  成長の糧と不幸を乗り越えん       蘭
30    さざ波立てば揺れる満月       水  秋月
31  川霧のはれて顕はる舫い船        葛  秋
32    木犀薫る隠れ処の径         栞  秋
33  密造酒蔓延る街は風強し         牙     はびこる
34    ゴミに群がるからす艶よき      蘭
35  ばっさりと黒髪切るも二十の子      葛     はたち
36   「時分の花よ」乙女心は        水
二ウ
37  幽玄の風姿とどめよ今しばし       栞
38    烏賊に見立ててアロエベラ切る    牙
39  万能といふ触れ込みに騙されて      ね
40    うちの文化は包丁と鍋        水
41  母の日や筍めしの薄き味         蘭  夏
42    青嵐吹きて木々のざわめき      栞  夏
43  隣国に戦さ間近の噂あり         葛
44    スマホ出す度相場気になる      牙
45  鑑定は銀月錆びた大屏風         水  秋月
46    相続協議冷ややかに過ぐ       蘭  秋
47  藷掘りの続く道程一時間         牙  秋
48    二人で過ぐすときは短かく      ね  恋
49  めぐり逢ひて花の命を惜しみけり     栞  春花恋
50    山菜採りに入る奥山         蘭  春
三オ
51  穴を出て熊は行く手を見失ひ       葛  春
52    ダンプばかりとよくすれ違う     牙
53  立て看は頭を下げて「工事中」      水
54    忘れた頃に余震頻発         栞
55  飯いいと言はず帰りが遅くなり      蘭
56    これ見よがしにプラチナピアス    葛
57  昇降機五十階より降りてきて       牙
58    住まひ選びは実に難問        蘭
59  年の瀬のローンの重みいや増しぬ     栞  冬
60    子を叱りつつ先思いやる       水
61  ゆふぐれの植田ころころ啼く蛙      蘭  夏
62    打ち捨てられし緒の切れた下駄    葛
63  面影を思いきれずに春の宵        水  春恋
64    朧月にも著き恋やせ         葛  春月恋 しるき
三ウ
65  はらはらと散りて花びら埋む径      蘭  春花  うづむ
66    たゆたふ河の流れアダージョ     栞
67  悠久を求め私もインドへと        水
68    熱にうなされまた同じ夢       牙
69  猛暑日の予報うらめし蝉しぐれ      蘭  夏
70    草刈鎌は錆びる暇なし        葛  夏
71  下町の職人芸の活きてをり        栞
72    路地に並びし丹精の菊        水  秋
73  声掛けて声の戻らぬ月の夜        牙  秋月
74    新酒をあけて手向く一献       蘭  秋
75  様になる見よう見まねの太郎冠者     葛
76    村おこしにと舞台復活        蘭
77  奈落より脱出するも道険し        栞
78    百日紅とて落ちぬ空蝉        牙  夏
ナオ
79  うな重で上手くなりたる箸づかひ     蘭  夏
80    円安に乗りツアー賑はふ       葛
81  近くとも遠き国より使者来る       栞
82    スワンの息の白き寒靄        蘭  冬   かんあい
83  黄昏の枯野に独り佇みて         栞  冬
84    指折りてみる夢のあれこれ      葛
85  巷では景気良くなるてふ噂        牙
86    着飾つてゐる歌舞伎座の前      ね
87  背伸びしてメニューに迷ふ初デート    蘭  恋
88    告白タイム給仕目くばせ       栞  恋
89  転職の場にも刑事の名残出て       葛
90    あぶれ蚊あはれ打つ人もなし     蘭  秋
91  十五夜は戦国の世も丸き月        ね  秋月   まろき
92    古りにし城趾色変えぬ松       蘭  秋
ナウ
93  正宗は酒と限らぬ上戸殿         水
94    泣くも笑ふもこれが青春       葛
95  後知恵の先に立たずは道理なり      栞
96    末は議員と競う弁論         牙
97  茶と菓子を子が指図する春炬燵      蘭  春
98    雛の家にもランドセル増え      栞  春
99  二宮の像よ上見よ花の影         牙  春花
挙句    巣立ちの鳥の声のにぎやか      葛  春

・・・経過は

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん