2007年7月30日月曜日

うしの日に豚

 「中」の字をとれば国産うなぎにて


産地偽装が日常的に蔓延している。国産と書いてあってもあきんど
は信用できないと妻は美味豚を買ってきた。うしの日に豚(^^;)

2007年7月29日日曜日

ぎざう

 せいじかにぎざうはみすとどうぎなり

2007年7月26日木曜日

いつまでも青い

夏帽子ゴルゴと見れば晋呉なり     

意気込んで名所でうなり何も出ず     

せいじかはそふのがうていじむしょにし

いつまでも青いは老いにほめ言葉

いつまでも青いを老いは世辞と聞き

妻の部屋いびき聞こえて安心し

川傍は怪しまれない散歩道

ほとけ顔できぬ年金記録なし

ほとけ顔しやうがないと辞任する

モンゴルをルーツと思い相撲みる

日々三度何を食うかは難儀なり

頭下げ尻が上がるは平和鳥

頭下げ襲名祝儀皮算用

頭下げ舌を出すのも処世術

頭下げできていたなら今はなし

頭下げ投げる投手はジャパニーズ

世界一桜桃の種ぷっと吹き

尻でしたいやいやボディ・ランゲージ

こと始めなんでも初をつけたがり

太平は活断層の胸次第

天災にアウトドアーのグッズ売れ

戻れるか井戸と七輪あったころ

2007年7月23日月曜日

木苺

 トタン屋根音ほど雨は降ってゐず

 木苺も毎朝ためて糧となり

 古夫婦目線交はさず話をし

 わびさびてかくてかるみがほしくなり(芭蕉)

 酷評は素直な弟子に限定し(雀郎)

葛きり

 拉麺にさらにもあらず焼き餃子(雑)   

 なかんづく葛は鍵善大文字       

天の邪鬼

 おとといの句にあさつての句を付けて(現代連句) 

 バーチャルもこころばかりはリアルなり    

 天の邪鬼にはあべこべの意見いい     

 酷策が選挙の後にぞろっと出      

2007年7月22日日曜日

歌仙『蓮花』の巻

短歌を連ねる連歌を意識して


    RENGA <蓮花の巻>
                     2007.7.12〜2007.7.21

1&2    不忍池に蓮の花ひらく
          パイプオルガン響む夏の日   面白  夏
3&4    大作の塑像にいどむアトリエに     
          ぬぐと意外にたくましい人   春蘭  雑
5&6    負試合スコアボードに月の暈
          案山子に持たす切れたラケット 水竿  秋月

7&8    露散らす鳥の羽音も遠ざかり
          万聖節の闇に溶け行く     草栞  秋
9&10    蝋燭のあかりを揺らす子守歌
          文庫に老いて睡る恋文     木槿  雑恋
11&12    引越しの時にもらったラムネ玉
          水中に消え今はいずこか    青波  雑恋
13&14    約束の冬三つ星を差す指に
          見慣れぬ指輪みとめたるけふ  酔姚  冬月恋
15&16    シネコンの前を黙して通り過ぐ     
          ファンタジーなぞ解さぬ人と   白  雑
17&18    滝壺にころも織りなす山ざくら
          天つ少女のほほも染むらん    蘭  春桜
ナオ
1&2    雛菓子の色とりどりを掌に
          女系三代笑ひ転びつ       姚  春
3&4    噺家もタネに困つてブログ読み
          俄か仕立の落ちでよろしく    栞  雑
5&6    蹲踞のかたえにおかる古柄杓
          古刹の仁王木目あらわに     竿  雑        
7&8    刀鍛冶阿吽の呼吸合わせんと
          額に流す汗のきらめき      波  夏
9&10    にはいぢりしてゐる君のよこがほに
          ふとよみがへるあのころのこと  蘭  雑恋
11&12    酒飲めばいとど寝られぬ男にて
          フィヨルドの月振り捨てて来し  槿  秋月
ナウ 
13      やや寒にがたつく扉叩き閉め      竿  秋
14         粋な寿司屋は酢の加減よし    姚  雑
15      新海苔の巻具合すら座の肴       白  冬
16         柱時計の古りて艶々       槿  雑
17      かねて聞く花の道にぞ今発ちぬ     栞  花春
18         同行二人陽射しうららか     波  春

                    (捌き 面白)

2007年7月19日木曜日

柳人 前田雀郎 ー俳諧から川柳への軌跡ー

『柳人 前田雀郎 ー俳諧から川柳への軌跡ー』櫻井子黄


宇都宮出身の柳人前田雀郎の事蹟を資料ベースで克明に記述し
ている。従って資料としては大変有益なものであろう。しかし
惜しむらくは、雀郎の伝記というところまでは構成や描写がこ
なれていない感じがする。

同じ柳人ものでも田辺聖子の『道頓堀の雨に別れて以来なり ー
川柳作家・岸本水府とその時代』などに比べたら大きな差があ
る。学究の素人と大小説家の違いだからいたしかたない。

内容的にメモしたくなったことは、以下の五点。

1、天明期の俳諧(蕪村・太祇など)を新川柳のベースとする。
  ここには西鶴の自由、鬼貫のまこと、芭蕉のわび・さびが調
  和されて含まれており、俳諧の全き姿を見ることができる。

    わびさびてかくてかるみがほしくなり(芭蕉) 蘭

2、川上三太郎と前田雀郎は対立しているように世間では見える
  かも知れないが、本人たちは仲がよくそう思われていること
  を面白がっている。雀郎は川柳とは何かを追求し、三太郎は
  川柳をどうもっていくかを追求するという棲み分けの協定が
  あるという。

3、雀郎「批評というものは褒めるに限ると悟るようになった。
  だから近頃では何も言わない。」思うがままに批評して猛反
  撃の災難を受け懲りたようだ。

    酷評は素直な弟子に限定し(雀郎)      蘭

4、俳諧から川柳が分岐していく分岐点は几圭、蕪村の時代と
  雀郎は主張している。

    貧乏もついに面だましいとなり     雀郎
    母と出て母と内緒の氷水        雀郎
    音もなく花火のあがる他所の町     雀郎

  花火の句などは抒情性と叙景性を兼ね備えたいい句だと思う
  が花火を季語とする俳句と言われても通りそうである(蘭)

5、『川柳と俳諧』と『川柳探求』は参照しているが全貌がわか
  らない。読めば1、4に関してももっと詳細にわかってくる
  だろう(蘭)

ハリー・ポッターの結末


完結編流出のニュース

完結編は21日発売だが、その禁を破って発送した業者がいて、ネットに本の全ページの画像が流出した。

前、ネットで騒がれた結末の内容はガセのようだ。最終章「19年後」の話をのぞいてみたが、仲良し3人組もジニーも健在のようだ。彼らの子供たちがホグワーツに向かう場面で終わっている。

もう読んで結末をまとめたガイがいる。19年後の内容は自分がのぞいたのと同じだ。あとは安否情報ばかりだ。しかしこうなると強がっても興味は半減してしまうわい(^^;)

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* VOLDEMORT KILLS SNAPE ON PAGE 658
* VOLDEMORT KILLS HIMSELF BY REBOUNDING HIS OWN CURSE ON PAGE 744
* Burbage dies on pg. 12
* Hedwig dies on pg. 56
* Mad-Eye dies on pg. 78
* Scrimgeour dies on pg. 159
* Wormtail dies on pg. 471
* Dobby dies on pg. 476
* Fred Weasley dies on pg. 637
* Harry gets killed up by Voldemort on pg. 704
* Harry comes back to life on pg. 724
* Tonks, Lupin, and Colin Creevy have their deaths confirmed on pg. 745

19 years after the events in the book:
* Ron has married Hermione, their two children are named Rose and Hugo
* Harry has married Ginny, their three children are named Lily, James, and Albus Severus.
* Draco Malfoy has a son named Scorpius

The epilogue shows all of the children boarding the train for Hogwarts together.

The final lines of the book are:
* "The scar had not pained Harry for nineteen years. All was well."
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19日のニューヨークタイムズはなんと書評を載せてしまった。大新聞がなんてことを。
NYTimes 完結編の書評

2007年7月11日水曜日

現代川柳作品一〇〇

『現代川柳ハンドブック』
 日本川柳ペンクラブ 尾藤三柳監修 1998年


現代川柳作品一〇〇

寝転べば畳一帖ふさぐのみ     麻生路郎
飲んでほしやめても欲しい酒をつぎ 麻生葭乃
もの書きの刃を研ぐ喉のうすあかり 飯尾麻佐子
天井に棋譜を浮かべて鬼才病み   池田秋の月
筍もみな竹になり寺しづか     池田可宵
白足袋の白というのも色のうち   伊志田孝三郎
何も願わじ水の流れを見ていたり  石原伯峯
津軽地吹雪新墓ひとつ呼応せり   伊藤律
国境を知らぬ草の実こぼれ合い   井上信子
通夜の酒月は頭上を通過せり    海地大破

或る危機の予感に光る春の潮    卜部晴美
地球儀に愛する国はただ一つ    近江砂人
肝臓に会って一献ささげたい    大木俊秀
八重桜散らぬ男を迎えけり     大森風来子
門標に竹二としるすいのちかな   大山竹二
ああ家があったと夫婦旅帰り    奥美瓜露
胃袋のかたちしてねむる都営住宅12の5 奥室数市
相擁く和紙の折り目を深くして   尾田左桐子
馬鹿な子はやれず賢い子もやれず  小田夢路
妻をかくに汚れた指を見る     加賀破竹

人を焼く炉に番号が打ってある   柏原幻四郎
膝を抱くだけの手にして人去れり  柏葉みのる
風鐸に風がある日の法隆寺     片岡つとむ
今日と言う幕が台本なしで開く   片倉沢心
冬の序曲か演技の風に舞うすすき  加藤翠谷
枯尾花霧の中なる声さがす     花岡井可
生きていなされ何度でも悔いなされ 唐沢春樹
河童起ちあがると青い雫する    川上三太郎
永住と決めて東京空っ風      河村露村女
雪に死ぬとき乳房に似たる山ありき 岸本吟一

標札は岸本とある旅帰り      岸本水府
小糠雨やにわにおどり出す兵士   北野岸柳
辯證の諸君見給え無精卵      北村雨垂
莫迦と違うのか俺と歩けり     草刈蒼之助
地吹雪に噫と吐く息持ち去らる   工藤寿久
駄馬なりに矢印があり明日を追う  黒沢かかし
荒縄をほぐすと藁のあたたかさ   後藤柳允
うるさいのは世間ではなくお前だよ 酒井駒人
啄木が泣いたかこんな蟹一つ    坂本一胡
にんげんのことばで折れている芒  定金冬二

子らの子に伝えるジョークなど探し 佐藤良子
いい人のままで定年きてしまい   塩見草映
妻と佇つ庭のさくらも散るばかり  清水米花
スケールの大きな恋がある神話   白井花戦
目出度目出度と貧しい村の唄    白石朝太郎
旅烏心を空の色にする       杉野十佐一
皆咲けば百花繚乱妻の庭      椙元紋太
風りんの音色を金の鈴と聞く    鈴木可香
舟あしの何と重たい別れだな    田頭良子
上ばかり見て歩いても墓へ来る   高木夢二郎

乞食にもなれず強盗にもなれず   高須唖三昧
時の立つ早さにおびえ老いて行く  高橋春造
兄弟が寄るとお袋生きている    竹本瓢太郎
なぐさめてくれる火鉢の火をひろげ 田中空壷
人間を掴めば風が手にのこり    田中五呂八
すでに遠きまなざし独り蜜柑むく  田辺幻樹
電光ニュース政治は闇に消えるのか ちば東北子
手と足をもいだ丸太にしてかへし  鶴彬
風呂敷の米どうしても米に見え   土橋芳浪
川底の石を生涯ひとつ持つ     外山あきら

モンロー忌聖なるものは遠くなる  中尾藻介
悠遠を斬る一瞬の流れ星      中島國夫
浮き草は浮き草なりの花が咲き   中島生々庵
独り寝のムードランプがアホらしい 永田帆船
パチンコ屋オヤ貴方にも影が無い  中村冨山人
志ん生を笑い直して下足札     西島○丸
手術記念日鰯の味が舌にある    西山金悦
燃えやすい冷めやすい身のかすり傷 野口初枝
運つかむときどの指も競わない   橋爪まさのり
生まれては苦界死しては浄閑寺   花又花酔

基礎知識大根おろしにして食べる  速川美竹
火の女もろくも母の名に屈し    林ふじを
はじめに言葉ありてよごれつづける 尾藤三柳
通り抜けあの頃ポンポン船が見え  広瀬反省
孫の写真に俺の顔が半分      福永清造
子の着く日弾むでもなく菊をきり  房川素生
いくさあればふつふつと湧く土下座の血 藤井比呂夢
政治家と比較にならぬ僕の嘘    藤沢岳豊
定期券モシモシ君も亀ですか    藤沢三春
むくむくむくむくまさしく青年の雲よ 藤本静港子

島の地に母のさいはてわがさいはて 細川不凍
録音にはっきり僕の出雲弁     本庄快哉
音もなく花火があがる他所の町   前田雀郎
馬鹿さ加減がゆらゆらとある洗面器 前田夕起子
また弾丸になる鉄塊と人夫の糧   松本芳味
眼にさぼてんを植えてあきらめる  三浦以玖代
老来の妻に黙すること多き     三浦太郎丸
一本の葦を小さな笛にする     宮本紗光
家に居て飲んでればいゝ星廻り   村田周魚
舌を咬む事の痛さに今日も負け   森田一二

まだ言えないが蛍の宿はつきとめた 八木千代
ためる金たまった金にたまる金   矢野錦浪
ふぐりころころ僕を殺しにどこへ行く 山崎蒼平
いい話妻にも受話器替わらせる   山崎凉史
ふりむけばがんじがらめの老眼鏡  山本克夫
胸襟を開くくすりを酒という    山本翠公
むかし海ありき僕の青春を刻む   山本卓三太
だからさああのさあ子等の善後策  山本半竹
青空を吊して眠るダリのヒゲ    脇屋川柳
太陽に問えば明日があると言う   渡辺銀雨

2007年7月10日火曜日

白蓮

  白蓮の畑うるはし遠筑波

2007年7月9日月曜日

川柳の定義・川柳と俳諧

『川柳の群像』明治・大正・昭和の川柳作家100人
 東野大八著/田辺聖子監修

●川柳の定義  福田山雨楼
「川柳の本質は、所謂川柳味と称せらるる要素、即ち
ユーモア、諷刺、穿ちがその主流をなしている。川柳
味とは人間愛の華である笑いを中核とした、川柳独特
の表現力を指すのであるが三要素に限られたものでは
なく、洒落・機智・軽味・写実味・超越味・感覚味等
をも豊かに包容するものである。この川柳の幅のある
姿は、古川柳から伝承した俳諧の正系をうちたてるも
のである。

 川柳には俳句におけるような季題とか切れ字等の約
束はなく、十七音字定型の中であくまで自由奔放、平
談俗語に親しみ、警抜な表現を上乗とする。俳句が花
鳥諷詠、造化にしたがい四時を友とし、ややもすれば
非人情の境地、風雅と脱俗の世界に憧れるのに対して
川柳は人情の世界、市井田圃の俗っぽい社会行住座臥、
日常茶飯の営み、勤労と余暇生活の真只中から、人生
の歓喜と苦悩を味わい、そこに素の風流、即ち俗の真
を見出さんとするところに真骨頂が存するのである。

 これを要するに川柳を貫く精神は、あくまで民主的
なものであり、時代に即しユーモアを中核とした思想
、生活感情を民衆の立場から自由犀利に表白するもの
である。昭和二十二年五月実施された日本の新憲法が
自由、真理、正義を盛りたてんとする根本精神と一脈
相通ずるところがあり、文化国家として再建を期する
、わが国民大衆の手で伸びてゆく寛ろぎの文学である。」

これは岸本水府の番傘川柳社が昭和二十二年に公募し
た「川柳の定義」の第一席に入選した福田山雨楼の論
文である。
山雨楼は麻生路郎(「川柳雑誌」)に傾倒、昭和二十
九年副主幹に推される。川上三太郎(「川柳研究」)
は山雨楼を譲って貰えないか路郎に幾度も申し入れた
という。

感想:
川柳結社が川柳の定義を一般公募するというのは話が
逆のようで面白い。一口に新川柳と言っても多くの流
派があり、これはという方向を各派が模索していたこ
とをうかがわせる。
三太郎は古川柳、新川柳の二刀流で、上の山雨楼の川
柳の定義はその立場の理論武装にもってこいのように
も見える。

●川柳と俳諧  前田雀郎
「川柳を俳諧につないで考えたのは、私が早いかと思
っております。したがって私のいま川柳に於てこころ
ざすところもそこにあります。つまり俳諧の平句の心
持に立って川柳する。これが私の、主張というよりも
実践であります。

 古川柳については、川柳が柳多留の作品を天井とす
る限り、いつかはまた頭を打って、狂句に堕ちるのほ
かはないと思われます。それが怖いので、そこをつき
ぬけ、もっと自由なものが待つところへ出てみたいの
であります。おそらく初代川柳も、同じような考えを
持って、俳諧に対したに違いありません。そこから彼
は、収月点の前句付を出て、新しい彼の俳諧を生みま
した。私もそうありたいと願っています。」

感想:
わが意を得たりと思う文に出逢った。俳諧心で川柳す
る、川柳心で俳諧する、ともに共感できる。


前田雀郎ネット

2007年7月6日金曜日

歌仙「鮫の髄」の巻


   歌仙「鮫の髄」の巻
               起首 平成十九年五月九日
               満尾 平成十九年六月九日

発句 千曲川春行く水や鮫の髄        其角  春
 脇  馬鹿貝下げて宝井其角         兎  春
第三 われを診し女医の姿に春を見て      修  春
 四  ラジオ講座に小淑(しゃおしゅく)の声   狸  雑
 五 待宵に碧眼の客迎え入れ         麗  秋月 
 六  ちちろ鳴きやむCDの音        光  秋 

 一 薄野を刈り残してもビオトープ      蘭  秋
 二  自然をこわし自然にかえる       修  雑
 三 髪染めて後ろ姿の美しき         奴  雑恋
 四  五言絶句で綴る恋文          麗  雑恋
 五 かねて君浮気し給うことなかれ      狸  雑恋 
 六  ジンフィズ越しに熱き流し目      蘭  雑恋
 七 蚊の声に仏心も乱るるか         光  夏
 八  ここは下京短夜の月          奴  夏月
 九 一見の客といえども愛想良く       麗  雑
 十  なんせテレビに出てる身だから     狸  雑
十一 花の下歌って踊って金儲け        修  春花
折端  犬も浮かれし吠えて御目見得      光  春
ナオ
折立 土匂う牧が在所か虻や蠅         蘭  春
 二  御牧ヶ原は下水道あり         修  雑
 三 戦いの火ぶたをそろと切り始め      奴  雑
 四  売り子が邪魔なネット裏なり      麗  雑 
 五 氷上の役者も片手ビールマン       狸  冬
 六  箸でつかめぬ絹の湯奴         蘭  冬
 七 女(ひと)待ちて道頓堀の雨にあう    光  雑恋
 八  相合い傘の一人重たし         奴  雑恋
 九 カウンター恋の成り行き知りつくし    修  雑恋
 十  漢方妙薬鬼の角とか          狸  雑
十一 月夜には童心と笙の笛          光  秋月
折端  葡萄の房のなんと大きく        麗  秋
ナウ
折立 一畝の小菊は道にこぼれ咲き       蘭  秋
 二  ほほえみ浮かべ妻の顔みる       修  雑
 三 しばらくはここに安堵の仮住まい     奴  雑
 四  枕代わりの文学全集          麗  雑
 五 風に乗る花は神田の公園に        狸  春花
挙句  我を忘れん春の浮雲          光  春


by 俳諧ネット

2007年7月5日木曜日

歌仙「おきなぐさ」の巻


    歌仙「おきなぐさ」の巻

                 起首:2007.6.14
                 満尾:2007.7.2


発句 おきなぐさの髪も若やぐ夏野かな   木槿 夏
脇   ここらへんでと出す缶ビール    青波 夏
3  赤いシャツズームレンズに狙われて  水竿 雑
4   まなこすゞやかひげは胡麻塩    春蘭 雑
5  新涼や故郷の月電線に        酔姚 秋月
6   秘蔵の壺に秋の草々         槿 秋 

7  栗落としイガのとり方知らぬ子等    波 秋
8   LP二枚返し損ねて         竿 雑 
9  黒板のあいあい傘に君と僕       蘭 恋
10  ロングボードがよくお似合いと    姚 恋
11 真夜中の口笛忌むか街路灯       槿 雑
12  吹かれる屑に拾う千円        蘭 雑 
13 木馬亭出でて嫦娥に招かれる      竿 秋月 
14  明日の休みは障子貼ろうか      波 秋  
15 影法師庭で物の怪盆踊り        姚 秋
16  お国訛りに馴れぬ新妻        槿 雑
17 べごの背は黒地に花の散らし紋     蘭 花
18  壬生狂言はこないなものとは     竿 春
ナオ
1  踊り子はのたりのたりの海辺行く    波 春
2   峠はるかに摘む山すみれ       姚 春  
3  菅笠を尻に敷く水のうまさ       槿 雑 
4   やたらに多い旅行案内        竿 雑
5  口数の少ない仲居苦労人        姚 雑
6   火鉢の灰をどこへ捨てよか      波 冬
7  上京に交わせしフォトを抱きしめて   蘭 恋
8   銀河を渡る蹌踉のひと        槿 秋
9  蜻蛉を払いつっきる那須野原      竿 秋
10  夜寒夜寒と急ぐ靴音         姚 秋
11 宵闇に犬と老人散歩する        波 秋月
12  餡ドーナツのうまいコンビ二     蘭 雑
ナウ
13 村時雨庵(いほ)と名づけて独り居る  槿 冬
14  野は枯るるもの待ち人来たらず    姚 冬
15 七輪にするめ丸まる夕間暮       蘭 雑
16  誕生祝いケーキ自作で        竿 雑
17 銀輪を連ね花咲く土手を行く      波 花
18  ものみな芽生え燃えよ青春      春 槿


                 (捌き 木槿)


by ちりめん山椒