青葉時雨
ふりやまずけむりがちなるもりのへにこをたくせしやかつこうのなく 7/25
(降り止まず煙りがちなる森の辺に児を託せしや郭公の鳴く)
くりかえしくさとたたかふやまぐらしつひにとなりはしばをはりたり 7/26
(繰り返し草と戦ふ山暮らしつひに隣は芝を張りたり)
そらみみとおもへどきけばほととぎすあをばしぐれのやまぬゆふぐれ 7/27
(空耳と思へど聴けばほととぎす青葉時雨の止まぬ夕暮れ)
あまぎりにあたまかくせしやつがねのたにのふかさにすくむおほはし 7/28
(雨霧に頭隠せし八つヶ嶺の谿の深さにすくむ大橋)
たけたかきくさむらごしにさおじかのやせいのまなこわれをみすゑる 7/29
(丈高き草叢越しに小牡鹿の野性のまなこ我を見据える)
あをしぐれこぞにもとりしからまつのねもとにれいしずらりはえいづ
(青しぐれ去年にも採りし落葉松の根元に霊芝ずらり生え出づ)
わがいほはやつのなんろくいづみわくもりにあさゆふきじのこゑする
(我庵は八つの南麓泉湧く杜に朝夕雉子の声する)
うみにきょをもつひとやまのべつそうにとまらずかへるあめのゆふぐれ
(海に居を持つ人山の別荘に泊まらず帰る雨の夕暮れ)
うつせみの瞳に空のかげりかなゆだちのあとの道にた立つ湯気 (上句:虚空氏)
うつせみの瞳に空のかげりかな西はにはかに響む遠雷
うつせみの瞳に空のかげりかな青葉時雨のしげき暮れ方
ひのひかりとりたちないてむしはとびよろこびみつるつゆあけのもり 8/3
(日の光鳥たち鳴いて虫は飛び喜び滿つる梅雨明けの森)
わがいほにあすくるといふとものためやまのはたけにばらをあがなふ 8/4
(我庵に明日来るといふ友のため山の畑に薔薇を購ふ)
露天風呂だうだう入れ雲の峰 8/7
友の去る朝は来にけり杜鵑 8/9
みづがきのいはねのきゅうとみにこたへいのちとひつつたかみあふぎつ 8/16
(瑞牆の巌根の急登身にこたへ命問ひつつ高み仰ぎつ)
がんかいのひとつひとつにみほとけをみづがきやまはやどしをるらん
(岩塊の一つ一つに御仏を瑞牆山は宿し居るらん)
獅子吼城名にたづねれば萩の丘
鬼やんま森の小川に沿って翔ぶ 8/18
3 件のコメント:
たくさんの歌読み残し夏くれる
お帰りなさい。こちらは厳しい暑さのなか百韻進まず四苦八苦してました。
夏館ながき滞在歌詠みて自在優雅なナイスガイ。
百韻がんばりましょう!
実はまだ山で今日は日向山という南アルプスの前衛の山に登って来ました。22日に一旦帰京します。
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