2012年7月8日日曜日

第三千句 第九百韻『天牛や』の巻










百韻『天牛や』の巻    
2012.7.8〜8.2

発句   天牛や資材置場に秘密基地      夏  風牙
脇      だれかれ無しに見合ふ遠雷    夏  私
第三   企画書を廻る議論の果てもなし       草栞
4      見切り発車も時の勢ひ         ね子
5    どの党もだんだん似てくるマニフェスト   私
6      なんのかんのと見栄え大切       牙
7    これでもかとばかりに丸し秋の月   秋月 ね  まろし
8      たなびく雲に雁の声聞く     秋  栞

9    膨らみし重きポケツト海螺廻し    秋  牙
10     巷にサンマのにほふ夕暮れ    秋  私
11   近道を猫に教はる城下町          栞
12     浴衣美人のあとを付けたり    夏恋 ね
13   片思ひは恋の初めよ昼蛍       夏恋 私  かたもひ
14     空回りするだけの駆け引き       牙
15   やすやすと「政治生命」口にして      ね
16     フルセットからサドンデスへと     栞
17   期限切れ旅券慌てて申請す         牙
18     香港ツアーの当りくじ引く       私
19   やどかりも住み替へ先を物色し    春  栞
20     朧の中を探す公園        春  ね
21   はねてから月の花見に誘はれて   春花月 私
22     新入社員連れて吉原       春  牙
二オ
23   昇進はすれど給料上がらずに        ね
24     居眠りすれば右に傾く         栞
25   心地良き言葉の裏に鬼棲まふ        牙
26     おごりは捨てて励め海老蔵       私
27   名人に我もなりたやいつの日か       栞
28     終には同じ冬ざれの塚      冬  ね
29   行く年がなぜか年々速まつて     冬  私
30     ロックスターも世襲さるらし      牙
31  「偽」なのか「二世」なのかを問ひ直す    ね
32     無縁仏の供養忘れじ          栞
33   畦道の四五本貰ふ鶏頭花       秋  牙
34     蝗よけつゝゆけば晩鐘      秋  私  ばったorいなご
35   十六夜に三井寺の故事伝へ聞き    秋月 栞
36     怨み残して冷まじき頃      秋  ね
二ウ
37   浅茅生の宿にかよへるひと絶えて   秋恋 私
38     削除できないメールアドレス   恋  牙
39   ウィルスにコンピューターが乗つ取られ   ね
40     なりすましには囮仕掛けて       栞
41   引き上げし籠におやつの渡蟹     夏  牙
42     日焼けの顔にのぞく白い歯    夏  私
43   縦走の峰よりゴミも持ち帰り        栞
44     さつと集まるボランティア隊      ね
45   災害を天の試練と受け入れて        私
46     賞味期限の切れた乾パン        牙
47   お彼岸に帰る未婚の三姉妹      春  ね
48     嵐が丘の春を厭ふや       春  栞
49   復興の希望わずかに花繋ぐ      春花 牙
50     東風に吹かれてカップ酒やる   春  私
三オ
51   湯に浸かる前に何とかあと一句       栞
52     数寄と呼ばるることも無けれど     ね
53   百姓があれよあれよと天下人        私
54     バブルはじけて残る借金        牙
55   冬の陽の山のあなたに沈みゆき    冬  ね
56     ふるさと寒く街に憧れ      冬  栞
57   コンビニでしゃがむ少女等月冴ゆる  冬月 牙
58     単身赴任は自立訓練          私
59   手料理を振る舞ひてより恋芽生え   恋  栞
60     仕掛け花火でプロポーズする   夏恋 ね
61   イメチェンに男勝負の夏羽織     夏  私
62     したり顔にて寄せるコメント      牙
63   オスプレイ遂に日本に上陸す        ね
64     みさご鮨には一癖ありて        栞
三ウ
65   懐かしきお国訛りの隣客          牙
66     汽車のけむりで黒くすゝける      私
67   鉄郎の探し求める青い鳥          栞
68     荒海に似る天の川かも      秋  ね
69   つみなくて配所の月に晒されて    秋月 私
70     秋風にのりおらしょ聞こゆる   秋  牙
71   出島には勝手知つたる遊女たち       ね
72     血の繋がりが固き絆に         栞
73   復讐を胸にアメリカ行きの船        牙
74     五輪になると俄か愛国         私
75   踏青の意気軒昂に先手打つ      春  栞
76     一番乗りの入試会場       春  ね
77   何よりもまづ咲かせたし己が花    春花 私
78     卒業式に植うる記念樹      春  牙
ナオ
79   初めての交換日記灰にして      恋  ね
80     昔のままの笑窪せつなき     恋  栞
81   ヘアヌ-ド写真集にて復帰する       牙
82     扇情主義に堕ちるマスコミ       私
83   午睡より覚めて中吊りふと見上げ   夏  栞
84     土用鰻を食べに行かうよ     夏  ね
85   冷房は嫌と言ってる場合じゃない   夏  私
86     締め切り迫り唸るパソコン       牙
87   同僚は妻母部長こなしつつ         ね
88     二番はダメよ目指せ優勝        栞
89   着飾りし母のお迎え習い事         牙
90     赤字補填に今日も残業         私
91   窓際に忍び寄る影濃くなりて        栞
92     不良になるかもしれぬ瞬間       ね
ナウ
93   退いて気ままに秋のひとり旅     秋  私
94     喉潤すとこそり梨もぐ      秋  牙
95   発泡酒片手に幾度見る無月      秋月 ね
96     ことばにせずと以心伝心        栞
97   ダイレクトパスのつながりゴール前     牙
98     草摘む人も時に顔あげ      春  私
99   花園に戻る主を待ち侘びて      春花 栞
挙句     凱旋するは風光る朝       春  ね

・・・ 全句閲覧

※定座は守っても守らなくてもよい。
初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

式目  
正風芭蕉流準拠十カ条
投稿用

写真提供はフォト蔵さん

0 件のコメント: