まだ確証はないが1、2、3と、連歌時代から存在する4も含めた全体を指すか。
1、匂い付け(余情付け)
  前句の余情と同じ匂い・位・響きの意味的には直接関係のない句を付ける。
      灰うちたたくうるめ一枚
    此の筋は銀も見知らず不自由さよ   同じ田舎の匂い
    青天に有明月の朝ぼらけ
      湖水の秋の比良の初霜      同じ壮大な響き
2、執中の法
  前句の余情から中心となる一二三字の単語を連想し意味的には直接関係のない句を付ける。
    糊強き袴に秋を打うらみ 
      鬢の白髪を今朝見付けたり    老を連想 
      手紙を持ちて人の名を問ふ 
    本膳が出ればおのおのかしこまり   振舞を連想    
    此の秋も門の板橋崩れけり 
      赦免にもれて独り見る月      左遷を連想 
3、空撓め(そらだめ)
  前句とは何の付け筋もなくふと思い浮かんだ姿をもって直感的に句を付ける。それでいながら無心所着(短歌として意味不明)ではない。蕉門の秘法・妙法とも言われるが芭蕉自身も直弟子にも具体的に説明し得ない絶妙の術と言う。支考は証句として以下を挙げたが、七部集を繙き付け筋はわからないが意味は通じる付句を探して、自分で判断し学ぶしかないのかも知れない。
      障子に影の夕日ちらつく
    婿殿はどれぞと老の目を拭ひ
4、見立て替え(取りなし)
  打越に対する前句の意味を意図的に取り違えて句を付ける。 
      蝶はむぐらにとばかり鼻かむ   
    のり物に簾透顔おぼろなる      貴婦人を
      いまぞ恨の矢をはなつ声     仇敵に見立て替え
参考文献
(1)俳諧叢書 俳論作法集、佐々醒雪 巌谷小波校注、東京博文館、大正三年
(2)俳諧叢書 俳諧註釈集 上巻、佐々醒雪 巌谷小波校注、東京博文館、大正十三年
(3)日本俳書大系 蕉門俳話文集 上巻、春秋社、昭和四年
 
 
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