2013年6月3日月曜日

【満尾】第四千句第八百韻『押しあひて』の巻


                      百韻『押しあひて』の巻   
                                                                                  2013.6.3 〜 7.8

発句  押しあひて生つてゐるなる実梅かな   青邨  夏
脇     しとど青葉をつたふ五月雨     春蘭  夏
第三  家二軒由緒有りげに並びゐて      真葛
4     通学の子に仔犬離れず       曙水
5   お気に入り散歩コースは苑池まで     蘭
6     少し急がん秋の夕暮れ       ね子  秋
7   月光に色濃くなりし蒼い影       草栞  秋月
8     仁王立ちする野良の藁塚       蘭  秋

9   西へ行く臨時列車の客となる       ね
10    システム手帳チェックこまめに    葛
11  コーヒーで時間調整角のカフェ      蘭
12    思ひ乱れて「来る来ない来る」    ね  恋
13  夏薊思わず舐むる君の指        風牙  夏恋
14    高嶺を越えて雲の峰立つ       蘭  夏
15  ついすすりやはり噎せたり心太     野茨  夏
16    節介過ぎて煙たがられる       葛
17  鼻つまみ厄介者と扇がれて        蛉
18    所変はれば屑もアートに       栞
19  ひび割れも窪みもありて望の月      水  秋月
20    秋の夜空に花火儚し         ね  秋花
21  一人とて淋しからずや獺祭忌       栞  秋
22    コンビニで買ふ珍味いろいろ     葛   
二オ
23  嘘をつきコンパの誘ひ断つて       茨
24    首つたけなの年下の彼        栞  恋
25  アイドルが引退をせず卒業す       水
26    メディアに踊らされる民草      蘭
27  今でしょの株価は今日も乱高下      葛
28    明日への希望持つて生くべき     茨
29  健診で精密検査勧められ         ね
30    凩吹けば疼く古傷          栞  冬
31  なにもなき庭に趣が添ふ枯尾花      蘭  冬
32    壁の蓑笠ゆかし落柿舎        茨
33  熟年の婚活サイト覗き見る        ね
34    寝起きのまんまぬしテレビ漬け    蘭
35  朝ドラのヒロインともに泣き笑ひ     栞
36    喜怒哀楽が惚け防止なり       茨
二ウ
37  拾ひ来し子猫の世話に明け暮れて     蘭
38    野火の煙に季節知らさる       ね  春
39  残る雪駒形描く山の膚          茨  春
40    水も温んでどぜう顔出し       栞  春
41  雲ひとつない大空を鳶の笛        蘭
42    寝転びをれば浮かぶ楽想       葛
43  東軍に馳せ参じたる将もあり       栞
44    クラブのジャック切り札にして    水
45  カジノにて美女の気を引く技披露     茨  恋
46    澄ましカクテル作るバーテン     蘭
47  何ごとも甘さよろこぶ世を嘆き      葛
48    月に吼えれば朧なる顔        茨  春月
49  花よりと口遊みつつ松の陰        葛  春花
50    遍路の度に事件解決         栞  春
三オ
51  フェミニスト過ぎて未だに独り者     蘭
52    鏡に向かひおかめひょっとこ     葛
53  やれ茶会なんやかんやと妻出掛け     茨
54    二時間かけて探す爪切り       ね
55  徘徊の道に迷へば夜も更けて       栞
56    タクシー代はりに使ふパトカー    蘭
57  お隣の学歴偏重すさまじく        茨
58    名門塾に通ふ幼な児         蘭
59  投資とは資金を投げることなのか     茨
60    堂堂めぐり嫌気いや増す       葛
61  追うほどに葛きり逃げる箸の先      水  夏 
62    お忍びデート涼しげな月       栞  夏月恋
63  パパの恋ママに内緒にしてあげる     ね  恋
64    ただより高きものは無しとぞ     葛
三ウ
65  延命てふ清水はるばる汲みにゆく     蘭
66    定年待ってるキャンピングカー    水
67  憧れの風のガーデン眼の前に       栞
68    地に足着かぬ頼りなさあり      葛
69  襲名は興行を打つ名目よ         茨
70    慢心禁物日々の精進         蘭
71  後輩を育て仕事をぶん取られ       茨
72    単身赴任に惑ふ四十         蘭
73  音に聞く須磨の浦波月に映え       葛  秋月
74    芒の蔭に消ゆる落武者        栞  秋
75  大文字幾千万の魂鎮め          蘭  秋  
76    冷酒効いて蓙に大の字        茨     
77  ひさかたの天より受くる花万朶      栞  春花
78    みやこの跡はかすみ敷く野辺     蘭  春
ナオ
79  口あいて探せど見えぬ揚雲雀       茨  春
80    メール通話はすべて筒抜け      ね
81  情弱にスマホ機能は持ち腐れ       蘭
82    第一志望書くだけは書き       水
83  狭き門タカラジェンヌの夢遠く      栞
84    思ひ切る都度進む人生        蘭
85  出会ひざま0.1秒で恋をして       茨  恋
86    一万ボルトに痺れ悩殺        栞  恋
87  ライブ後のカラオケやたらハイテンション 蘭
88    DJポリスお手柄となる       水
89  ユーモアと機知は話の潤滑油       茨
90    一発芸に寿限無暗唱         蘭
91  後光差す阿弥陀如来を拝みをり      栞
92    沈む日輪追ふや月の出        茨  秋月
ナウ
93  背なの児も静かになりぬ夕紅葉      蘭  秋
94    刈田もやがて水を湛へん       ね  秋
95  秋霖をうらめし顔の捨て案山子      茨  秋
96    変身願望叶ふ日はいつ?       栞
97  みずみずと薄翠に染む蝉生るる      水  夏 あるる
98    風雅は四時を友としてこそ      蘭
99  黒髪にちらちらかゝる花の雪       茨  春花
挙句    毛氈延べる土手の若草        蘭  春

・・・経過は#jrenga

※定座は守っても守らなくてもよい。四花四月〜七月。
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初折表 123456月8       (1〜8)   花一つ、月一〜二つ
初折裏 12345678月012花4 (9〜22) __________
二折表 123456789012月4 (23〜36) 花一つ、月一〜二つ
二折裏 12345678月012花4 (37〜50)__________
三折表 123456789012月4 (51〜64) 花一つ、月一〜二つ
三折裏 12345678月012花4 (65〜78)__________
名残表 123456789012月4 (79〜92) 花一つ、月一つ
名残裏 123456花8       (93〜100)_________

作法式目
付け転じ方
写真提供はフォト蔵さん

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