明けぬれば所の夷訪ね来て
鳥渡おほめに投げる賽銭
世の中は酸いも甘いも裏表
うららに老の楽しくあらな
霞がくれの恋の行く末
背き出づるわがふる里は遠のいて
祭笛ひときは高く響きをり
床のあかりをゆらす鴨川
山法師らの為業ゆゆしき
堪忍をひとには道と説きながら
いずくにぞ鹿の隠れて忍び居る
もみぢかつ散る峡のゆふぐれ
木枯らしも見よすぐなる心
ひたぶるに生くるはよそ目狂ふごと
行く雲にいざなはれつつ膝栗毛
そらをさだめて立たん有明
雁のこゑ閨にほの聞く
花のころたどる夢路のおぼろにて
近くばよって雛をめでなむ
子をなしてだんだんわかる親ごころ
朋と語りしひとときありて
倖せはひとそれぞれに違ふらし
隈なき空に月を眺めむ
ひたひたと寄せてうねるや望の潮
人しげくあきなふ傍の難波橋
みをつくさねばくいのこるべき
ほととぎすの声まづぞ待たるる
山がつの庵のけぶりもほそるらん
※ 付句が私。
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