2009年3月3日火曜日

法楽連歌から

 明けぬれば所の夷訪ね来て   
鳥渡おほめに投げる賽銭   

 世の中は酸いも甘いも裏表  
うららに老の楽しくあらな  

 霞がくれの恋の行く末 
背き出づるわがふる里は遠のいて 

 祭笛ひときは高く響きをり 
床のあかりをゆらす鴨川 

 山法師らの為業ゆゆしき 
堪忍をひとには道と説きながら

 いずくにぞ鹿の隠れて忍び居る
もみぢかつ散る峡のゆふぐれ  

 木枯らしも見よすぐなる心  
ひたぶるに生くるはよそ目狂ふごと

 行く雲にいざなはれつつ膝栗毛
そらをさだめて立たん有明

 雁のこゑ閨にほの聞く
花のころたどる夢路のおぼろにて

 近くばよって雛をめでなむ
子をなしてだんだんわかる親ごころ

 朋と語りしひとときありて  
倖せはひとそれぞれに違ふらし

 隈なき空に月を眺めむ
ひたひたと寄せてうねるや望の潮

 人しげくあきなふ傍の難波橋
みをつくさねばくいのこるべき

 ほととぎすの声まづぞ待たるる
山がつの庵のけぶりもほそるらん


※ 付句が私。

0 件のコメント: