2009年9月20日日曜日

秋山紀行



秋山紀行

9月5日、鈴木牧之の『秋山記行』と『北越雪譜』を読んで以来憧れていた秋山郷を訪ねた。豊田飯山ICで降り千曲川沿いに北上し新潟県の津南に向かう。

  秋桜やしるべに頼む千曲川

見玉不動尊の看板が目に入り詣でる。眼に御利益があるとか。階段脇にほとばしる滝の清水で眼を洗った。山門前の店で橡餅とおやきを食べる。三十種類ほどの漬け物や珍味をお茶とともに名物おばあさんが振る舞ってくれた。

  橡の実を拾へば濡れる滝しぶき

秋山郷は西方を急峻な鳥甲山、東方を苗場山に挟まれた南北に長い峡谷で中津川が流れている。その昔と変わらず十にも満たない小さな集落が点在するだけである。ところどころ行き違いのできない道がある。その道の崖には萩が道を狭めるように咲いている。

  幽谷はゆつくり走れ萩の花

取り付くところがないところだなと思いながら進む。やがて谷底にある宿の屋敷温泉に着く。平家の隠れ湯とある。聞けばここが平家の落人がはじめに住み着いたところで飢饉で消滅した村も近くにあるという。

  網戸開けとんぼ逃がせし隠れ宿

  山深み川音の絶へぬ秋山に飢饉に消えし村もあるとは

夕食まで時間があるので先の上の原集落に行ってみる。のよさの里という湯宿がある。天池から苗場山が望めた。霧雲が山を隠そうとしている。

  夕霧や峰を隠すか苗場山

屋敷温泉の夕食は岩魚と山菜だ。まかないのおばあさんに、のよさの意味を聞いたがわからないと歯のない口で笑った。(注 ネットで調べると、説1:野の良さ、説2:野泉鉄(のよさ)とか、信憑性は今一。)

何やら(星野?)短歌の会の御一行様が深夜、早朝もうるさくてほとんど寝られず。隣の若夫婦はたまらず部屋を変えてもらったらしい。御一行様の中でも若目できれい目なお方がトイレ前で、おはようございますと微笑んでくれたので許してやろうw

秋山郷の一番奥に牧之が入った切明温泉がある。その湯宿は流されたという。足湯でくつろいでいると、歌の会の御一行様もやってきた。先頭に立って一行を引っ張っている白髪の老人が主宰か、やはり人一倍興味旺盛なのだろう。

  牧之入りし湯宿はどこか尋ねればとうの昔に流されたと言ふ

奥志賀林道経由で志賀高原に向かう。

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