2011年7月3日日曜日

百韻『五月雨の』の巻



第二千句第十百韻

       百韻『五月雨の』の巻
                   2011.6.1~7.3

発句   五月雨の降りてとゝのふ山田かな   夏  私
脇      一軒家にて祝ふ早苗饗      夏  草栞  さなぶり
第三   遠方に幼言葉の聞こえゐて         ね子  をちかた
4      孫より猫を可愛がる祖父        私   じじ
5    一日を無為に過ぐして夜長し     秋  ね
6      更待月の侘しさに堪え      秋月 栞
7    あはれ蚊を障子の外にみちびいて   秋  私
8      手塩に掛けし弟子の旅立ち       ね

9    マジックのBGMを一新し          栞
10     夢の舞台に乙女らが舞ふ        郎女
11   タカラヅカデートとしては高くつき  恋  私
12     口説いてみればニューハーフなり 恋  ね
13   水仙の甘きかほりの似合ふひと    冬  郎
14     石焼薯をやり過ごせずに     冬  栞
15   江戸情緒たづね歩いて路地や辻       私
16     行き止まりにぞ好機潜める       ね
17   からくりを張り巡らせて古屋敷       郎
18     人目隠れて棲む小人たち        栞
19   家事すればただと人情大家さん       私
20     新入生は同郷訛り        春  ね
21   花むしろ守りを頼む知らぬ顔     春花 郎
22     巣立ち鳥来て餌をついばむ    春  栞
二オ
23   事もなく油揚げなど掻つ攫ひ        ね
24     金がもの言ふ企業買収         私
25   失敗といふオプションは考慮せず      栞
26     ただ白球を追ひ駆けるのみ       郎
27   松ばやし木下闇は涼しかり      夏  私
28     物の怪の気に満ち満ちてゐる      ね
29   丑三つの刻に煌めく五芒星         郎
30     美神を前に僕となりて         栞  しもべ
31   新婚の課長定時に帰宅する      恋  ね
32     月もよしとて急遽合コン    秋月恋 私
33   飲み比べ薦め酔はせる濁酒      秋  栞
34     からりからりと瓢かわきぬ    秋  郎  ひさご
35   ガラス戸に陽射しやはらぐ六畳間      私
36     ご飯ですよの声懐かしく        ね
二ウ
37   子らの手を引いて訪ねる独身寮       郎
38     白旗掲げ一時休戦           栞
39   与党対野党にあらず枯野原      冬  ね
40     うらは無心にゆりかもめ舞ふ   冬  私
41   空の木にいざ言問はん天の声        栞
42     少女の熱き想ひをのせて     恋  郎
43   あへぬまゝ月日流るゝ花筏     春花恋 私
44     八十八夜を駆けてゆきたし    春  ね
45   ゴールデンウィークこそが稼ぎどき  春  郎
46     句集作りのSOHO倶楽部        栞
47   育メンは仕事半ばに席を立つ        ね
48     チャイムとゝもに帰るコールか     私
49   教室に携帯電話置き忘れ          栞
50     夜が明けるまでwebでツイート    郎
三オ
51   essayを作家気取りで書きためて    私
52     つれづれ過ぎてものぐるほしけれ    ね
53   原文で読めと言はれてみたものゝ      郎
54     野外シネマで恋のレッスン    恋  栞
55   満月は狼男を誑かし        秋月恋 ね
56     遠き雲居を走る稲妻      秋恋  私
57   わびぬれて浅茅が宿に辿り着き    秋  栞
58     昔語りに涙雨ふる           郎
59   同期会かほでわからず名乗り合ひ      私
60     ガキ大将は文部大臣          ね
61   まあ俺についてこいよと胸を張る      郎
62     なさねばならぬメダル獲得       栞
63   一日ですつからかんのラスベガス      ね
64     あだな燭蛾に悔いはあるまじ   夏  私  しょくが
三ウ
65   井戸水で冷した西瓜いさぎよく    夏  栞
66     叩きて割れば色あざやかに       郎
67   あらうれし明石の塩がま桜鯛     春  私
68     眼にちらり浮かぶ春愁      春  ね  まなこ
69   いもうとも卒業の日を迎へをり    春  郎
70     謝恩の席に集ふ花の輪      春花 栞
71   幾年の思ひを胸に秘めたまま        ね
72     打てば血がわく祇園太鼓よ    恋  私
73   待ちきれず小路の茶屋に誘ひ入れ   恋  栞
74     団子喰う間に入る横槍         郎
75   すいとんが美味でひもじさ伝はらず     私
76     思ひやらるる夏の節電      夏  ね
77   それなりの制約がありクールビズ   夏  郎
78     掟破りのヒーロー出でよ        栞
ナオ
79   変身を試みれども我はわれ         ね
80     ちまたの小町に返す流し目    恋  私
81   短くも美しく燃え露と散る      秋恋 栞
82     月見の酒に酔はされるまゝ    秋月 郎
82     残る蛍は君がたましひ      秋恋 郎
83   ほのゆれてうつろひ初むる秋の草   秋  私  両句に
84     浦の苫屋は人影もなし         ね
85   今むかし藻塩の身をや焦がすとふ      郎
86     夕餉のけむり立ちのぼりつつ      栞
87   買ひだめもいいものですと冬籠り   冬  ね
88     積読本を炉辺に読まばや     冬  私  つんどくぼん ろべ
89   寝ては覚め謎解き推理繰り返し       栞
90     パズルの付いた日めくりめくる     郎
91   仏壇に快気お礼の香焚いて         私
92     昨夜の夢はラベンダー色     夏  ね  ゆふべ
ナウ
93   久方のすがしき寝覚め避暑のやど   夏  郎
94     窓の向こうはマグリットの絵      栞
95   現世とは何かと問はれ目を逸らす      ね
96     むゝゝと唸りどつと冷や汗       私
97   奪衣婆の座る番台後にして         栞
98     川面見やれば風きらめけり       郎
99   晴れ晴れと春を感じて花盛り     春花 ね
挙句     ひらりひらりと初蝶の舞ふ    春  郎

       私  二十五    
       草栞 二十五
       ね子 二十六
       郎女 二十五

縦書きPDF版 by ふないさん


式目  
正風芭蕉流準拠十カ条 

写真1借用は北杜市観光協会大泉支部さん 写真2借用はLivedoorPICSさん

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