2011年6月12日日曜日

『醒睡笑』連歌に関係する話


『醒睡笑』安楽庵策伝著  鈴木棠三訳、東洋文庫

1 宗祇と宗長

    めともいうなりもともいうなり 宗祇
   引連れて野飼の牛の帰るさに   宗長

    めともいうなりもともいうなり 宗祇
   よむいろは教ゆるゆびの下を見よ 宗祇

    ヒント:ゆめみしえひもせす

2 連歌月並会
  宗匠が朝ぼらけを褒めた。 それで初心者が夕ぼらけ、
  昼ぼらけを乱発。

   我はしてひとのぼらけや嫌うらん  初心者

3 宗長は近江の進藤という武士の養子になったが生まれは
  駿河島田の鍛治の子

   ひん抜きは進藤ごには似たれどもよくよく見れば島田鍛治なり

4 堂守 新しく造り立てたる地蔵堂哉 ー 字余り(かな)
  宗祇  物までもあきらめにけり  ー 字足らず

5 月次の連歌の会

   かま鶯は山の途中に飛びおりて

   本歌  うつり行く雲に嵐の声すなり散るか/まさきのかつらぎの山

6 連歌の会で執筆が舟が近いと注意

      舟でなし中くりあけた木にのりて

7 謎かけ
      ちゃんきのもんき なに? ある人
      富士の雪         宗祇

8 宗長ある家に下帯を忘れる

   思いきやおとすたづなの浜風に浪より高き名の立たんとは 宗長
 
9   子をはごくむは親のあわれみ  ある人
   狭莚のぬれたる方に身を寄せて   雄長老

10 貧乏な坊主が半分の餅を児ちごに与えた。

    十五夜の片われ月はいまだ見ぬ   児
        雲にかくれてこればかりなり  師の坊主

11 尾張の笠寺

    さるち児と見るより早く木にのぼる 宗長
      犬のようなる法師きたれば   ち児

12 連歌月次の会
    弟子が句を詠んで師の宗長の方に向かって、聞こえまい
    らせたか(よい句)かときいた。宗長は聞こえた聞こえた
    そこからここまでは聞こえたと返事。

13 村の庄屋が堤の祈祷連歌興行
    宗養に点を付けてもらったら99句にぺけマーク。発句に
    はマークがなかった、良い句だからかと聞いたら、切れ
    字がない、本当はぺけだが、堤は切れない方がいいとの
    返事。

14 連歌に身をやつした人、夜住まいの軒下に小便の音。
    夜分に居所へ来たって水辺を下すは人倫か生類か。植物
    をもって打擲せよ。

15 連歌師に奉公していた人が町人に住替え。友達が早起きし
   ないでもいいし宵から寝られ気楽だろうと言ったら、今の
   主人もぼんやり空を眺める癖があり、連歌師になるつもり
   じゃないか案じられるよ、と。

16 連歌会初心者、ふるえながらやっている。あんちょこを暦
   の裏に書いてやったら、暦の方を読み、かのとのひつじ、
   かまぬるによし、とやらかした。

17 宗長が紫野にいた頃延暦寺の坊から発句を所望された。

    猿の尻木枯知らぬ紅葉かな

   ちごも同席と知って、猿の面と変更した。

18 宗長の連歌の席に初心らしい座頭、一句申しましょうかと
   いうので、宗長は、連歌がすぎてからにせられよと言った。

19 三井寺を宗祇と宗長が見物。

    宗長   掃除もたらぬ三井の古寺
    宗祇  坂くだりくしゃぼうぼうと生え茂り

20 周桂は入江殿尼寺に馴染みあり。朝帰りを宗牧が見つけ、

    かつぎ出る青苔色の頭巾こそ入江のあまのしわざなるらめ

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