2011年12月2日金曜日

付合

at 連句KUSARI

   70億人絆問われる       
 黙々と引っ越してゆく蟻の道
  
 年金と常に相談忘れずに   
   大向こうにて歌舞伎通ぶる 

   未読メールの数は三桁
 山籠りして変わりしは無精髭 
 
   泥鰌の顔をしみじみと見る  
 店構え客あしらいも味の内
   
   桜島まで駆け抜ける恋
 青春は無知が特権トライアル
  
 連れの者弘法大師と笠に書き
   無理はいかんと医者に止めらる
 
 青空のピーヒョロロとは鳶のはず
   這いつくばって庭の草取り
  
   私を拒む細い指先     
 触れもみで道説くきみは君子にて 没
    
 国宝と言われる程の技を持ち  
   にらみが効かぬ息の夜遊び
 
 美しい青翳りゆくエーゲ海
   再会約す船上の恋
 
 約束は薄紅色の花の下
   あふるゝごとく流る大川

   鏡の中のおのれ見つめる
 てて親に姿ばかりか似た仕草
 
 孫バカの入学祝奮発し
   わが幸福度中ぐらいなり

   觀音菩薩描く御念珠   
 身軽にと旅の持ち物絞り込み
  
 これまでに泣かせた男数知れず  
   まことしやかにかたる身の上
  
 歓迎のフラは心の揺れのごと  
   格安ツアーで新婚の旅
  
 ☓4でとても幸せ子沢山     
   もらう手当はみな貯金する 没
 
 寝待月母美しく年重ね       
   聴き分けめでる庭の虫の音

   あれもこれもと僕は食べたい
 お酉さま熊手を買ったことはなし

 うす紅の芙蓉咲き初め夏さりぬ 
   やゝ静けさのもどる鎌倉
 
 巡回の省エネ奉行の靴が鳴る
   蒲団にもぐりながら勉強

 屋根で待つ臼の役割とどめさし
   ねんがら年中買える切り餅 没
 
 屋根で待つ臼の役割とどめさし 
   飛び石替えて茶事の演出

 クリスマスプロポーズありの予感して
   揺らぐこころよ彼は年下

   大漁歌うこぶし回して
 ありがたや山の恵みの茸汁

 フォトコンの締め切りまでの日を数え
   気を入れ直すコーヒーブレイク
 
   あれやこれやと選ぶ駅弁
 研修と視察は遊山と同義なり
 
 すぐ傍にある幸せと言う宝   
   黙ってお茶を淹れて出す妻
 
   あっという間に過ぎて行く春  
 千年の花のしずくに立ち濡れて
    
 紅葉寺書院のテープ声に張り     
   ライトアップに白む月影

   ライトアップに白む月影  
 めづらしや古妻寄り添ふミレナリオ 没
  
   山茶花通りにできた帽子屋   
 木枯らしにけふは任せん落ち葉掃き
 
   修行の辛さ報われる時    
 蕎麦通のやまい嵩じて鄙に店
    
 イケメンの笑顔につられ買い込んで 
   無理は承知の若作りする
    
   静かに流れる美しい歌       
 難ルート登頂果たしにぎり飯
    
 はらはらと黒髪に散る六つの花   
   まにまに萌える若菜摘む野べ 没
  
 空海が密教求め唐へ行く       
   帆は風はらみ離(さか)る島影 没
   
 朝になり熱い味噌汁頂いた   
   作り笑顔の友の新妻
    
   オンリーワンの教育の是非  
 幼児画がピカソに見える審美眼
 
 意外にもお祭り騒ぎの好きな彼   
   酒でチャックがゆるみ饒舌
     
   広すぎる部屋猫とくつろぐ 
 廃校を借りて工房兼ギャラリー

   断捨離された思い出の品     
 ゴミ漁りほくほく顔で父帰る
    
 国賭けて咸臨丸は洋上に     
   野にある臥龍今ぞ世に出よ
    
   ツケマぱちぱちネイルばっちり
 値踏みする視線はきつし場末バー 没

 一言に心をこめる年賀状     
   自虐気味なる俳句川柳
 
   自虐気味なる俳句川柳    
 ”無職”とは定年者には酷な名よ
  
   不況円高放射線量       
 賽銭は小銭のくせに多い願 
  
   突っ張り棒はパワー全開    
 押入れをクローゼットにプチ改修

   どっしりと立つ大黒柱
 落人の郷はしろがね雪見の湯

   カンマピリオド眼鏡光らせ     
 なにかしら天賦の才を誰も持つ  没 サンドイッチ付け
   ゴーストライター回顧録書く

   硯の海に浮かぶ花びら    
 一文字に念をいれつつ写経する

   紅いお盆にうさぎ饅頭       
 自己流で自作茶碗に茶を立てる   
   聞きもせぬのに語る蘊蓄    

   無い袖を振る巨大なカジノ
 香港のパックツアーはあわただし
   土産詰め込み鞄パンパン

   漂流の果て見えた島影
 仏道を求める国ははるかなり

   連句に興じ何も決まらず
 年用意口だけは出す亭主にて 没

 iPhoneジョブズに送るこの写真
   永遠に君を忘れないから

   なにもいらないが妻の口癖
 うつりゆく自然に合わせ生き暮らす 没

   なにもいらないが妻の口癖
 四十から齢を忘れたふりをする

   走るアンカー長い鉢巻き
 マドンナに何をやっても叶わない

   ジャンケンポンのゴミ出し係り
 何の日かまず確かめるカレンダー 

 冬籠家族の団欒なつかしく
   火鉢の網に餅のふくるる

 耳に残る異国の丘の歌遥か   
   およそ平和な御代を言祝ぐ

 ペンギンがうろうろ歩く動物園
   さっとカメラが砲列を敷く

 グルーミング邪魔なんだよと引っかかれ
   みなで取り合うママの懐

   目眩がしそうきみの曲線
 今夜こそプロポーズせんクリスマス
   後ろ手に持つ薔薇の花束    没

   雪は静かに駅に舞い降り
 おいそれと寄れぬ不義理のふるさとよ

   年賀状みなパソコンで打つ
 情報の伝達いまやメールが主

 情報の伝達いまやメールが主
   通勤電車だれもうつむく

   千差万別花の色さへ
 観ず嫌い次第にはまる宝塚

 観ず嫌い次第にはまる宝塚
   ダフ屋と間違えられてがっくり 没

   福寿草二輪にこやかに咲く
 負の連鎖いざ断ち切らん去年今年

 思っても思い届かぬもどかしさ
   義理チョコ装い付ける短文 没

 思っても思い届かぬもどかしさ
   女度胸でメール送信
 目安箱どぼん承知のご提案 没

   瞬いている数え日の星
 クリスマス別に普段と変わりなし

   リバーシブルの流行る政界
 団結は共通の敵倒すまで
   夫婦喧嘩を止めるゴキブリ 没

 一年の締めのレースに舞うお札
   背を丸くして駅までの道
 ほほえましパパを見送る乳母車

   浴衣姿は僕だけのもの
 アマゾネス団体の旅温泉場
   カラオケ半ば合唱となる

 懐かしの歌声喫茶店じまい
   壁に絡まりもみぢする蔦

   両手に受ける青き滴り
 頂きを仰げば遠し雲の峰

 いそいそと打ち掛けのままお床入り
   白黒つかぬ囲碁の熱戦

 あの人は何年たっても恋敵
   夫に色目を遣うめぎつね

 飛行機が轟音の中ランディング
   逢えぬからこそつのる遠恋

 百人の友だちできて大世界
   日々のブログにし合うコメント

   明日への糧は悲しみと笑み 
 上積みは最後と会社見限って

 初夢が見たくて二度寝してしまい
   駅伝すでにレース終盤

   今年はなんとかメタボ克服
 神仏は己が決意を伝える場

   油断されるな軽い春風邪 
 あわゆきの野辺に草つむ乙女らよ

   今日はツイてるまたも確変
 アンカーはおかま走りで区間2位 没

   疲れるばかり父の連休
 モールにて待てど戻らぬ女ども

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