2007年12月15日土曜日

冬の日『炭賣』もどき


  冬の日『炭賣』の巻           もどき『炭切』の巻

炭賣のをのがつまこそ黒からめ 重五 冬 炭切つて妻すすけたり片笑くぼ 春蘭
 ひとの粧ひを鏡磨寒     荷兮 冬  PTAに装ひ外寒      面白
花棘馬骨の霜に咲かへり    杜國 冬 刈田づらいちめん霜の花咲いて  蘭
 鶴見るまどの月かすかなり  野水 秋  鴫見るまどに月骨のごと   面白
かぜ吹ぬ秋の日瓶に酒なき日  芭蕉 秋 新ばしり横目使いに今日は我慢  百
 荻織るかさを市に振する   羽笠 秋  萩の花折り朝市に売る     百

加茂川や胡磨千代祭り微近み  荷兮   千代孕み加茂の社に礼参り    蘭
 いはくらの聟なつかしのころ 重五    秘蔵の姫を岩倉に抱き    木槿
おもふこと布搗哥にわらはれて 野水   はやすぎる業は歌にもわらはれて 蘭
 うきははたちを越る三平   杜國    気立てよけれど縁遠い貌    百
捨られてくねるか鴛の離れ鳥  羽笠   鴛のつがいを見てはうらやまし  百
 火をかぬ火燵なき人を見む  芭蕉 冬  ひとり火鉢でつつく素うどん  蘭
門守の翁に帋子かりて寝る   重五 冬 あらいやだ隣の土鍋借りたまま 酔姚
 血刀かくす月の暗きに    荷兮 秋  月に盪けて猫の丸まる     蘭
霧下りて本郷の鐘七つきく   杜國 秋 本郷のお七撞くかや霧に鐘    蘭
 ふゆまつ納豆たゝくなるべし 野水 秋  冬待つへしこ今やスターに  面白
はなに泣櫻の黴とすてにける  芭蕉 春 花に泣き華美にはしやぐも若さ故 蘭
 僧ものいはず款冬を呑    羽笠 春  無口な親父出羽桜飲む    青波

白燕濁らぬ水に羽を洗ひ    荷兮 春 朝寝して洗い髪巻きインド人  酔姚
 宣旨かしこく釵を鑄る    重五    かしこき辺りの御目に止まれり 蘭
八十年を三つ見る童母もちて  野水   七十を過ぎて母から舞習う   青波
 なかだちそむる七夕のつま  杜國 秋  娶ることなき身の星祭    面白
西南に桂のはなのつぼむとき  羽笠 秋 わが恋はとどかぬ月の桂花にて  蘭
 蘭のあぶらに〆木うつ音   芭蕉 秋  蘭医にメタボ告げられひやり 面白
賎の家に賢なる女見てかへる  重五   のみ会後養生訓を買ひかへる   蘭
 釣瓶に粟をあらふ日のくれ  荷兮    軒の貝香かはく日の暮    面白
はやり来て撫子かざる正月に  杜國 夏 流行なら伊達の重ね着うすもので 白
 つゞみ手向る弁慶の宮    野水    みを軽くして向かふ陸奥    蘭
寅の日の旦を鍛冶の急起て   芭蕉   特急に乗れず年玉目減りする  酔姚
 雲かうばしき南京の地    羽笠    これも弥勒にひとめあふため  蘭

いがきして誰ともしらぬ人の像 荷兮   風雪に耐えて涙の白き跡    酔姚
 泥にこゝろのきよき芹の根  重五 春  水澄む泥に田にし蠢く     蘭
粥すゝるあかつき花にかしこまり やすい あかつきに心のしるべ花にみて  蘭
 狩衣の下に鎧ふ春風     芭蕉 春  初陣なれどハ〜レィヨイサ  面白
北のかたなくなく簾おしやりて 羽笠   のど自慢伴奏なかせの北の宿   蘭
 ねられぬ夢を責るむら雨   杜國    おのれを知らぬ方が得とは   蘭



Alternatives    
炭切つて妻すすけたり片笑くぼPTAに装ひ大雪      春蘭・面白
千代孕み加茂の社に礼参り久に待ちしを天晴れ婿よ     春蘭・百

 火をかぬ火燵なき人を見む  芭蕉 冬  冷たい火燵に夫の亡骸     百
門守の翁に帋子かりて寝る   重五 冬 守衛の毛布かぶりてねまる    百
 血刀かくす月の暗きに    荷兮 秋  凶器の刃物月影に隠す     百
霧下りて本郷の鐘七つきく   杜國 秋 朝霜の本郷の寺鐘七つ      百

花に泣き華美にはしやぐも若さゆゑ款冬むせて老師しはぶく 春蘭
のみ会後養生訓を買ひかへるかたまり眠る児らのいとけし   蘭
顔とけて何かわからぬ石の像*これも弥勒にひとめあふため  蘭  
あかつきに心のしるべ花にみて春風はらむ藍の道行き     蘭


写真提供はフォト蔵さん
  

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