渡り鳥傘なきゃ雲の上にあり 狸
虫の音哀し里の古寺 寅
やあやあと大きな月が顔出して 寅
真冬の海を北へ流れる 狸
雪しづか百五十屯の雪像に 狸
いつも通りの軽い冗談 寅
いいひとねそれで話はちよんとなり 蘭
枕はずして大の字に寝る 奴
モナリザの二重の顎に恋をして 奴
行列嫌ひがむしろ微笑み 蘭
ふるさとに許され妻子見せにゆく 蘭
妙に静まる森のかなかな 奴
萩に沿う道のいつやら潮の風 奴
掻い弾く琵琶の澄める夜の月 蘭
あゝうれし夢のお告げのとほりにて 蘭
吉野の水のやや温むころ 奴
花守に墨衣着せ写真撮る 奴
経読み谷をわたる鶯 蘭
ナ
ポケットに錆の浮き出たハーモニカ 智
古き友よりうれしき誘い 正
七夕に願い事書きドン集う 正
なにはともあれビールに枝豆 智
携帯にあなただけよとこのメロディ 智
細々連呼あの浮名の音 正
なやましく姿態くねらせめおと猫 正
ヒップホップでメタポ解消 智
代々木から渋谷に抜ける大通り 智
ケヤキ並木を秋色に染め 正
月煌々勝閧橋は今跳ねず 正
芸術祭の演目揃う 智
文化庁にぎにぎ少しありゃせぬか 修
今も昔も同じしきたり 光
天の声雪降る夜は重く聞く 光
意見はあるが言葉にならず 修
目覚めれば志野のぐい呑み花うけて 修
春風似合う塩瀬羽二重 光
首尾 2008.6.28〜7.14
1 件のコメント:
渡り鳥干潟を造る人の業
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