2008年7月14日月曜日

「渡り鳥」歌仙

渡り鳥傘なきゃ雲の上にあり    狸
 虫の音哀し里の古寺       寅
やあやあと大きな月が顔出して   寅
 真冬の海を北へ流れる      狸
雪しづか百五十屯の雪像に     狸
 いつも通りの軽い冗談      寅
いいひとねそれで話はちよんとなり 蘭
 枕はずして大の字に寝る     奴
モナリザの二重の顎に恋をして   奴
 行列嫌ひがむしろ微笑み     蘭
ふるさとに許され妻子見せにゆく  蘭
 妙に静まる森のかなかな     奴
萩に沿う道のいつやら潮の風    奴
 掻い弾く琵琶の澄める夜の月   蘭
あゝうれし夢のお告げのとほりにて 蘭
 吉野の水のやや温むころ     奴
花守に墨衣着せ写真撮る      奴
 経読み谷をわたる鶯       蘭

ポケットに錆の浮き出たハーモニカ 智
 古き友よりうれしき誘い     正
七夕に願い事書きドン集う     正
 なにはともあれビールに枝豆   智
携帯にあなただけよとこのメロディ 智
 細々連呼あの浮名の音      正
なやましく姿態くねらせめおと猫  正
 ヒップホップでメタポ解消    智
代々木から渋谷に抜ける大通り   智
 ケヤキ並木を秋色に染め     正
月煌々勝閧橋は今跳ねず      正
 芸術祭の演目揃う        智
文化庁にぎにぎ少しありゃせぬか  修
 今も昔も同じしきたり      光
天の声雪降る夜は重く聞く     光
 意見はあるが言葉にならず    修
目覚めれば志野のぐい呑み花うけて 修
 春風似合う塩瀬羽二重      光

      首尾 2008.6.28〜7.14

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

渡り鳥干潟を造る人の業