2007年7月6日金曜日

歌仙「鮫の髄」の巻


   歌仙「鮫の髄」の巻
               起首 平成十九年五月九日
               満尾 平成十九年六月九日

発句 千曲川春行く水や鮫の髄        其角  春
 脇  馬鹿貝下げて宝井其角         兎  春
第三 われを診し女医の姿に春を見て      修  春
 四  ラジオ講座に小淑(しゃおしゅく)の声   狸  雑
 五 待宵に碧眼の客迎え入れ         麗  秋月 
 六  ちちろ鳴きやむCDの音        光  秋 

 一 薄野を刈り残してもビオトープ      蘭  秋
 二  自然をこわし自然にかえる       修  雑
 三 髪染めて後ろ姿の美しき         奴  雑恋
 四  五言絶句で綴る恋文          麗  雑恋
 五 かねて君浮気し給うことなかれ      狸  雑恋 
 六  ジンフィズ越しに熱き流し目      蘭  雑恋
 七 蚊の声に仏心も乱るるか         光  夏
 八  ここは下京短夜の月          奴  夏月
 九 一見の客といえども愛想良く       麗  雑
 十  なんせテレビに出てる身だから     狸  雑
十一 花の下歌って踊って金儲け        修  春花
折端  犬も浮かれし吠えて御目見得      光  春
ナオ
折立 土匂う牧が在所か虻や蠅         蘭  春
 二  御牧ヶ原は下水道あり         修  雑
 三 戦いの火ぶたをそろと切り始め      奴  雑
 四  売り子が邪魔なネット裏なり      麗  雑 
 五 氷上の役者も片手ビールマン       狸  冬
 六  箸でつかめぬ絹の湯奴         蘭  冬
 七 女(ひと)待ちて道頓堀の雨にあう    光  雑恋
 八  相合い傘の一人重たし         奴  雑恋
 九 カウンター恋の成り行き知りつくし    修  雑恋
 十  漢方妙薬鬼の角とか          狸  雑
十一 月夜には童心と笙の笛          光  秋月
折端  葡萄の房のなんと大きく        麗  秋
ナウ
折立 一畝の小菊は道にこぼれ咲き       蘭  秋
 二  ほほえみ浮かべ妻の顔みる       修  雑
 三 しばらくはここに安堵の仮住まい     奴  雑
 四  枕代わりの文学全集          麗  雑
 五 風に乗る花は神田の公園に        狸  春花
挙句  我を忘れん春の浮雲          光  春


by 俳諧ネット

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