三冊子に「付きの事は千変万化するといへ共、せんずる所、唯、俤と思ひなし、景気、此三つに究まり侍る」と芭蕉が言ったとある。ここでの俤は、広義の匂いとほぼ同義で余情付けのことであろう。これらを、物付け、心付け、余情付けというポピュラーな分類とどう整合をとればよいのか。その思案の結果。
連句(俳諧)の付けとは、
前々句+前句の世界から離れて(転じて)、
前句に対してありそうな情景を詠み、前句と新たな世界を創ること。
1、景気を付ける。 【景気付け】(^^)
景気とは、人を含む自然の風物を対象とする心象風景。
「付句は、気色はいかほどつづけんもよし。天象・地形・
人事・草木・虫魚・鳥獣の遊べる、其形容みな気色なる」
(去来抄)
2、前句に即して、
a、前句の物や詞の縁によって付ける。 【物付け】
b、前句の意味内容・情に付ける。 【心付け】
(句意付け・意味付け)
3、前句をつきはなし離れて、
c、前句の余情(気分・雰囲気)に付ける。 【余情付け】
匂い、俤、位、響き、移り
(匂い付け・俤付け)
d、前句の場面の人や場所、状況などを言内、言外を問
わず、前句の作者の意図と違うように、あるいは勝
手に思いなし(推量・見込み)して付ける。【思ひなし】
ある句がこのうちのどれに該当するか分析するのは難しい。違いは微妙で分析する人によって結果も異なりそうだ。複数の分類に当てはまる句もあるだろう。
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