2008年6月1日日曜日
自由連句『花みづき』の巻
class:
連歌俳諧
自由連句「花みづき」の巻
2008.5.15〜6.1
発句 花みづき画廊は扉あけ放ち 春蘭
2 ふりかへり見る夏帯のひと 蘭
3 葦切の声に静寂の破られて 面白
4 夢の覚むれば捨舟の中 蘭
5 テレビでは棄てた故郷大写し 亮
6 のろまな月でも月は月です 白
7 日は釣瓶落とせどいまだ主見えぬ 蘭
8 お乳欲しがるこの子が可愛 青波
9 ガガイモの茎を手折れば白き汁 白
10 わたる列車に響よむ鉄橋 蘭
11 青空の下で愚かさ身を責める 亮
12 あわてふためく竹取翁 白
13 かもしかをてつきり熊と見違えて 蘭
14 稜線を行く黒影二つ 波
15 山男お先にどうぞと譲り合ひ 蘭
16 風呂の順番年長者から 波
17 流すもの流して明日はノーテンキ 亮
18 この世の未練その場限りに 波
19 ひつそりと浜辺にひらく花のごと 白
20 ぼくを見てゐる母のパラソル 蘭
21 降りてくるおばさん実は魔女だった 波
22 火を噴く煙突ものともしない 白
23 鳥でさえやすらぐ家はあるものを 蘭
24 乞食坊主は故里を出る 波
25 泣いたりはしないで蟹とたはむれて 亮
26 不要品ばかり実人生は 白
27 本来ハ裸一貫無一物 蘭
28 スピード水着が勝ち負け決める 白
29 連盟よ国内企業の癒着断て 蘭
30 広告塔の滑る氷上 蘭
31 さういへばパンダの約束どうなつた 白
32 風に吹かるる風船蔓 亮
33 三十を過ぎても噂ひとつなく 白
34 親を悩ませ本人平気 波
35 選択肢あればあるほど迷つちやう 白
36 けふはベージュのグロスルージュで 蘭
37 鱚、小鰭、鮨屋の湯呑み拭ふ女 白
38 ながら読みするミステリ原書 蘭
39 バッグには一日分の薬あり 亮
40 生き残る奴たぶん俺かも 白
41 飼い殺しむしろ上等マイウェイ 蘭
42 ネットサーフで時を忘れる 蘭
43 茶の間にてどこでもドアー開けてみる 波
44 知らなきゃよかった妻のお遊び 亮
45 「恋句」とは何のことやら五・七・五 白
46 みのらぬうちが恋といふらん 蘭
47 山吹の面影橋で待ち合わせ 波
48 立ち添ふだけであかくなるきみ 蘭
49 携帯にキティちゃんやらベティちゃん 亮
50 殺し文句は「みんな持つてる」 白
51 収集はいはゆる一つの病気なり 蘭
52 居合いが好きで名刀が好き 波
53 海坂藩とある屋敷の床飾り 白
54 家が大事か自分が大事か 波
55 黒船に国論にはかに沸騰す 蘭
56 正直者はひっそりと住み 亮
57 借金をどうやら返し茶漬け喰う 波
58 なければないでおこるいさかひ 蘭
59 黄金の薔薇のトロフィー欧州に 白
60 日の丸鉢巻ニッポンチャチャチャ 亮
61 ジャワ更紗まとふ天使もやつてくる 白
62 市の屋台で済ます朝めし 蘭
63 エベレスト76(歳)に先越され 白
64 ひそかに狙ふ喜寿の栄光 蘭
65 数値目標生きるよすがとするあはれ 白
66 然りわれらの十百韻も 白
67 もったりとありのままなる朝鏡 亮
68 星の王子よ砂漠より還れ 白
69 旅すれば大事なものが見えてくる 蘭
70 未開の子らの輝く笑顔 波
71 「自由」より踵の鎖恋しかり 白
72 生まれ変はつてもまたあなたと 蘭
73 そういえば子供沢山つくったね 波
74 大鍋滾る激辛カレー 亮
75 インド人我が家で食べて驚いた 波
76 親はへつらひ児等はため口 蘭
77 新聞は世相を映す水鏡 波
78 古き箪笥に裸婦の切り抜き 蘭
79 肌寒い季節になりて毛糸編む 波
80 こんな夜更けは寺山修司 亮
81 寝てる間に一生涯の夢をみた 波
82 痛棒食らひ門を追はるる 蘭
83 歩いてる私こそが禅である 波
84 みな振り返るフレグランスに 白
85 霧雨の銀座銀巴里鼻濁音 亮
86 メケメケ男いまは三輪山 白
87 おとろへは隠さずままよと受け入れて 蘭
88 手児奈もその身ながらへたなら 白
89 ここはどこわたしはだれと言うだろう 波
90 アッカンベーがとってもお上手 亮
91 フェイスヨガ美人なれども鳥渡ひき 蘭
92 ガン保険など一考再考 亮
93 日光・月光ながき行列薬降る 白
94 飛沫を散らし走るタクシー 蘭
95 正月の餅代稼ぐ為ならば 波
96 玉兎は幼き日の物語 白
97 きちきちが右へ左へとぶ野道 波
98 やがてタクトは静かに擱かる 亮
99 CDが一枚付いた花便り 波
挙句 いつせいに咲く北国の春 白
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