2008年10月13日月曜日

歌仙『江戸の地図』



発句  江戸の地図たどれば辻は秋の風    亮   秋
脇    燃ゆるかまつか纏のいづこ     面白  秋    
第三  あの月へ梯子をかけて上るらん    青波  秋月
 四   カメラかついでスニーカー履く   みかん
 五  メタ腹を気にも留めずに味めぐり   草栞
 六   エプロン似合う第二の人生     合
ウ一  そそくさと祭囃子の音あわせ     百   夏
 二   ひかれるかたのまなこ涼しき    春蘭  夏恋
 三  屋根伝ひ忍び入る夜もけふかぎり   白   恋
 四   アッケラカンと出来ちゃった婚   亮   恋
 五  三陸のリアスラインは波静か     み
 六   松の枝ぶりまるで絵のよう     波
 七  名を問へば紫匂ふホトトギス     合   秋
 八   王の黄昏そぞろ身に入む      栞   秋
 九  引退も悲喜こもごもや今日の月    蘭   秋月
 十   回覧板のもどって来たる      百
十一  花ひとつふたつをつけてランドセル  亮   春花
十二  「ぎちょぉ〜」と啼きし初雲雀かな  白   春
ナ一  寅さんも来ているうわさ春の暮    波   春
 二   あなたこなたの光る小流れ     み 
 三  種火でも三人寄ればうふふのふ    栞
 四   試験管中酸素は有りや       合
 五  冬ぬくし恋の妙薬欲しいから     百   冬恋
 六   軟派マニュアルマスクして買ふ   蘭   冬恋
 七  はてしなく下降を描くスパイラル   白
 八   めまい恍惚天鵞絨の艶       亮
 九  勉強せいとのたまう父はノーベル賞  み
 十   僕は母似で連句三昧        波
十一  窓開けて共有したのよこの月を    合   秋月
十二   蔦這ふ壁の崩れ落つまで      栞   秋
ウ一  へだたれて嘆くさ牡鹿こゑ嗄れて   蘭   秋
 二   眠れぬ夜は万葉集を        百
 三  しばらくはカルチャー教室マナビスト 亮  
 四   男の料理試食目的         波
 五  いつの間に見知らぬ人も花見酒    み   春花
挙句   森羅万象春いとおしむ       百   春

                 捌き 亮

                    2008.9.26〜10.12

写真提供はフォト蔵さん
江戸切絵図

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