2007年10月25日木曜日

歌仙『錦秋』の巻



     歌仙『錦秋』の巻
                2007.10.14〜10.24

発句   錦秋の片隅を借りて居たりけり    遊      
脇      水車小屋よりかをる新蕎麦    春蘭     
第三   大振りの朱塗りの杯に月汲みて    みかん
 四     汲めども尽きぬ昔話に      こやん
 五   東雲のしじまひきやる明け烏     蘭  
 六     冬薔薇の棘触れぬようにし    遊
ウ一   凍てついて心を閉ざす人の並     こ
 二     パズル解けずにはや日曜日    み  
 三   薪はぜて愛の行方の揺らめける    遊 
 四     もつれる髪を梳いて紅引く    蘭
 五   抱かれて抱かれるたび遠い君     み
 六     成田を発ってあと何時間     こ
 七   モルディブの裸にしみる海の色    蘭
 八     だれも月など気にならぬらし   遊
 九   秋風も吹かず命の常ならば      こ
 十     添水修理に爺さまはりきる    み
 十一  道普請日の出に染まり花開く     遊
 十二    左利きには倍の独活和へ     蘭
ナ一   高坏に色とりどりの雛あられ     み
 二     旧家といえば伝承もあり     こ
 三   紅殻の土間にまつれる竃殿      蘭  
 四     農地改革半世紀前        遊
 五   エタノールなんて思いもかけぬもの  こ
 六     神谷バーにて軽く一杯      み
 七   新妻の頬ほんのりと鬼灯市      遊
 八     浴衣とほして肌の温もり     蘭
 九   思いこめスラブ舞曲を連弾で     み
 十     逃げし故郷にかへる面無し    蘭
 十一  柳枯れ月のみかかる六地蔵      こ
 十二    赤い帽子に初時雨して      遊
ウ一   サバイバルゲームの戦士凛々と    こ
 二     タイブレークで準決勝に     み
 三   還暦と勝利を祝ふ大拍手       遊
 四     胸弾ませて趣味に邁進      み 
 五   ひたぶるに彼は誰時の花愛でて    蘭    
揚句     今日も長閑な一日であれ     こ





写真提供は、フォト蔵さん

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