2010年4月7日水曜日

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(14)句数・躰用事




底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』
[ ]は訳者注。

一、句数
 春 秋 戀(以上五句 春秋の句は三句に至らずばこれを用いず 戀句は只一句にて止める事無念云々) 夏 冬 旅 神祇 釋教 述懐(懐旧無常は此の内にあり) 山類 水邊 居所(以上三句これを連ねる)

一、躰用事
 岡 嶺 洞 尾上 麓 坂 そば[岨]谷 嶋(水邊にもこれを嫌う) 山の関(以上山の躰なり) 梯 瀧 杣木 炭竈(以上此の如きの類は山の用なり 他これに准ず)

 海 浦 江 湊 堤 渚 嶋 沖 磯 干潟 岸 汀 沼 川 池 泉 洲(以上水邊の躰なり) 波 水 氷 塩 氷室(以上此の如きは水邊の用なり) 清水がもとなどいひても水邊の用なり 

 浮木 船 流 塩焼 塩屋 水鳥類 蛙 千鳥 杜若 菖蒲 蘆 蓮 真薦 海松(夏なり) 和布(若和布は春なり 和布刈は夏なり) 藻塩草 萍 海士 閼伽結 魚 網 釣垂 手洗水 下樋(以上は躰用の外なり 新式の詞相違あり なおこれを用捨す)

 軒 床 里 窓 門 庵 戸 樞[とぼそ] 甍 壁 隣 墻[かき](以上は居所に躰なり) 庭 外面(用なり)

 人 我 身 友 父 母 誰 関守(此の如きの類は人倫なり) 主 独 媒(前に同じ) 月をあるじ 花をあるじ そうづ 山姫 木玉 ふたり(以上は人倫にあらず) 花のあるじ 月の友(花をあるじ月を友といふにはかはるべし 句躰に依り人倫と為すべしや)

右大概准建治式作之 但当世好士所用来多不及取舎 只為止当座之諍論 粗所定如件

[右、大概は建治式に準じてこれを作る 但し当世の好士の用い来る所は取捨に及ばぬもの多し ただ当座の諍論を止めて粗く定めたるはくだんの如し]

   応安五年十二月 日    後普光園摂政殿  御判
                [二条良基]

 To Be Continued. 

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