2010年3月22日月曜日

連歌新式追加并新式今案等の翻刻・読解(2)輪廻事


底本:京都大学附属図書館所蔵 平松文庫『連歌新式追加并新式今案』http://is.gd/aOqn8
上段は原文、下段は訓み下し。( )は原文小文字。[ ]は訳者注。

一 輪廻事
 輪廻の事[輪廻:同意同想の語句趣向の繰り返し]
  
 薫といふ句にこかると付て又紅葉を付へからす。舟にて是を付へし。こかると云字
 かはる故也
   薫という句にこがると付けてまた紅葉(もみぢ)を付くべからす。舟にてこれを
   付くべし。こがると云う字は替わるゆえなり。

   [薫/こがる/紅葉 ×(同想)、薫/こがる/舟 ◯(焦がるを漕がるに見立
    て替え)なるほど、多義的な言葉はひらがなにしておくとよいのかもw] 

 煙と云句に里と付て又柴焼なと薪の類を不可付(他准之)夕立に雲を付て打越に
 電雷不可然
   煙という句に里と付けてまた柴焼きなど薪の類を付くべからず。(他これに
   准ずる)夕立に雲を付けて打越に電雷は然るべからず。

   [煙/里/柴焼・薪 ×、電雷/夕立/雲 ×]

 雪に冨士を付て又氷室不可然(他准之)夢と云句に面影と付て月花を付る事面影
 ものと云て近代不付之更無其理曾以不可嫌之
   雪に富士を付けてまた氷室は然るべからず。(他これに准ずる)夢という句
   に面影と付けて月花を付けること、面影ものといいて近代はこれを付けず。
   更に其の理なし。かつてもってこれを嫌うべからず。

   [雪/富士/氷室 ×、夢/面影/月花 △] 


 To Be Continued. 

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