2010年2月25日木曜日

隅田川

2006年03月30日17:20

都営大江戸線の蔵前を降りて、都営浅草線の蔵前で乗り換え浅草へ。
この乗り換え、まったく連結しておらず、外に出て数百メートル浅
草と反対方向に歩くのだ。東京で腹の立つもの第一位、日本橋のあ
りさまに次ぐ第二位だ。

疲れを感じながら、浅草の吾妻橋のほとりに到着。平日というのに
すごい人出。水上バスが大人気だが、並ぶことが大嫌いな私たちは
当然パス。隅田川の両岸は桜色一色。桜は水辺とよく似合う。

吾妻橋ー言問橋ー桜橋と上流へと風に吹かれて堤を歩く。待乳山聖
天の屋根も見える。池波正太郎の生家はこのあたりか。

  さにつらふ君や隅田の花の下  

桜橋を渡ると人だかりの店がある。長命寺桜もち。品切れの紙が貼
ってある。店で食うのも売るのも数時間後とか。しかたない、前食
べたことがあるし、ほんとは道明寺の方が好きなんだもんと、はす
向かいの言問団子に行き、おみやげを買う。

  桜餅ありやなしやと都鳥    

反対の道沿いに野口雨情の都鳥の詩の石碑がある。

  都鳥さへ夜長のころは水に歌書く夢も見る  雨情

伊勢物語で在原業平とされる人物が詠んだという歌の場面もこのあ
たりの川岸だろう。東下りはなかったという説が大勢のようだが。

  名にしおはヾいざ言問はん都鳥 
        我が思ふ人はありやなしやと  業平

長命寺の境内へ。幼稚園をやっているようだ。さりげなく、芭蕉の
句碑があった。

  いざさらば雪見にころぶところまで     芭蕉

隣の牛島弘福寺の脇のしだれ桜が見頃。この寺は、江戸城無血開城
を実現させた勝海舟のゆかりの寺。剣の師、島田虎之助に勧められ
て海舟が座禅を修行したところ。この二つ、剣禅があったからこそ
と海舟は後に回想したという。

  海舟の胆を鍛えよ花の寺    

川沿いを下流へ向かう。なつかしい民謡の調べが聞こえてきた。大
きな茶店がある。普通だと素通りだが、父のふるさとの歌で決断。
川の欄干に向かって座る。ビールとおでんを所望。妻も最初飲まな
いもんと言っていたのに、途中から横取りして、今日のはとくにう
まいね、だって(^^) 酒も景色や気分がよければ余計にうまい。

  花に来て団子で締める隅田川 

きんとんうんのビル(アサヒビール)は、一度、スコッチ モルト ウイスキー ソサイアティのテイスティング会で最上階のVIPルームに行ったことがある。

隣に円筒形のビルがあり、勝海舟の大きな銅像が立っている。なん
のビルかとたずねたら墨田区役所。リバーサイドの素敵なオフィス。
一応14階まで上り展望したらこれまた絶景。

雷門から並木薮の前を通りながら、駒形どぜうで昼飯はどうか提案
したら、気持ち悪い、そばでいいわよとのこと。では、ここらで一
押しの蕎上人(そばしょうにん)へ。とりあえず、えびすビール! 
またまたうまい。

この店は、一茶庵系だったのだが、さらに上をめざして、のれん会
を脱退したようだ。蕎麦の求道者という意味で蕎上人と名乗ってい
るらしい。それだけに蕎麦は鮮烈。自分もなかなかのもんだと自負
している蕎麦屋でもはずかしくなるかも知れない。

せいろ、田舎、ゆず、けし、茶、さくらから3種を選べば三色そば。
5種を選べば五色そば。せいろ、田舎、さくらを選ぶ。妻は大根の
細切がごっそり載っているすずしろ。

  黒塀に芽吹く柳やさくら切り  

有名になり多くの人が押し寄せたとき蕎麦のレベルを落とさないで
維持できるかが問題だが、この店はまだ知るひとぞ知るのようで
ハイレベルを維持している。

帰りの電車は軽い酔いのせいかあっという間であった。


写真は、吾妻橋から隅田川、隅田公園、牛島弘福寺のしだれ桜。

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