2010年2月28日日曜日

萱草第五 恋連歌(五)










2007年05月18日12:55


 まつにうらみの数やそふらん
暮ごとに昨日をしのぶ物おもひ

 かくうらみてもまちはよはらず
さきの世のたれにて人はうかるらむ

 はかなきちぎりさきの世をしれ
人にいつつらさを見せてうかるらん

 あはむといはば身をもおしまじ
ありはてぬ玉のをばかりなくさめよ

  北畠大納言家より承し百句に
 我心人もうきをや忘るらん
月をくもれとしのびゆくみち


 あひ見ることやいなづまのかげ
  といふ句に
しのぶ身は神なる夜半もたよりにて

 のちとたのまんことの葉もなし
ひとたびの玉章にだに名の立て

 恋しき袖よ露もしぐるな
身にぞしむかぜや思ひをもらすらん

 露ときゆとも人にしらせじ
かずならぬ我ゆへ君が名やたたむ

 よもつきせじな人のことの葉
なき名をや又もたたましいかがせむ


参考文献:
京都大学附属図書館所蔵 古典籍 『萱草』 [v.1, pp.098-099]
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0050.html

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