2010年2月28日日曜日

萱草第五 恋連歌(十)










2007年05月21日09:22



 恋わぶるとはほのかにもしれ 
  と云句に
見し人は雲ゐの月を名残にて

 うき身ひとつぞたのむ影なき
わするべき涙の月に猶おちて

 あふことはいまを限といひをきて
なを恋しくは身をいかにせむ

 われよりのちは誰をかこたん
ひとりしも人はそのままよもはてし

 おもひにたへぬ身をいかがせん
さりともの人もうらめし世もつらし

 何に契の末をさだめぬ
たのむべき命もしらず人もうし


 いつまでとてか身をばなげかん
そふも夢うときもかりの世中に

 中々に立名もいまはいとはめや
いくほどありて恋もうからむ

 命つれなく見えむさへうし
あとたえて恋ぢにいらむ山もがな

 ふかき恋ぢも人ぞわするる
昨日けふ見そむるかたにうつろひて

 いくほどならぬ身をぞわびぬる
昨日今日かくるちぎりのはや絶て


参考文献:
京都大学附属図書館所蔵 古典籍 『萱草』 [v.1, pp.108-109]
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0055.html

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