2010年2月28日日曜日

萱草第五 恋連歌(四)










2007年05月18日08:00

  千句の連歌のうちに
 こころひとつはやすくもぞある
恋だにもしなれずばなをいかがせむ

 つれなやいのちきえはてねただ
後の世になりてあはずばいかがせん

 つれなくてこそつゐに過ぬれ
恋しぬとよそにはしらん跡もうし

  ここかしこの会のうちに
 捨(る)身にゆかりのあるをうらみにて
けぶりも見ゆな恋しなんあと

 うつせみの世にものな思ひそ 
ことの葉にかかるばかりを命にて


  北畠大納言家へ奉し百句に
 かりのこの世に物なおもひそ
あさぎえをうき水鳥のねに鳴て 

 恋しき事ぞいやまさりなる
  といふ句に
みるめなみみちくる塩をたもとにて

 しのぶかひなく身や過なまし 
あはで名のたたぬばかりはいかがせむ

 なみだも露も人おもふほど
忍ばしよさりとていつかとはれまし


参考文献:
京都大学附属図書館所蔵 古典籍 『萱草』 [v.1, pp.096-097]
http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0049.html

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