2010年2月28日日曜日

狼花

2007年03月06日14:35

おおかみばな

大沢在昌『狼花 新宿鮫IX』光文社

ねたばれ
ご存知、新宿鮫こと鮫島は、キャリアながら出世ラインからはずれた新宿署の警部、今日も一匹狼の単独行動でナイジェリア人同士の麻薬強盗傷害事件を追いかけていた。その過程で外国人が盗んだ品物をさばく故買システムの存在を突き止める。

故買システムを運営しているのは、元公安のサクラと呼ばれたスパイ組織のメンバーで間野という男であった。間野は、1970年代に学生の過激派にスパイとして送り込まれ恐怖の日々を体験する。その後、日本に失望した間野は、公安をやめ南米に渡った。間野は、外国人による外国人のための故買システムを日本で立ち上げる。中国人向けに元マッサージ嬢の美貌の中国人明蘭を誘う。

警察庁は、組織犯罪対策本部を立ち上げ、その理事官に鮫島と同期の香田を任命する。表向きは日本の暴力団(やくざ)の取り締まりのように見せて、実は外国人の犯罪組織の撲滅をめざすものであった。香田は、日本最大の暴力団稜知会の石崎と密約を交わす。鮫島はそれを察知し、毒をもって毒を制したとしてもその後の毒はどうするのか、取り返しがつかなくなるぞと香田を責めるが聞くような相手ではない。

石崎は密約の通り間野の故買システムにかかわり、乗っ取りをもくろんでいる。そして業務を熟知している明蘭の抱き込みを図る。

間野は明蘭に惚れているが女性としてつき合うことは躊躇していた。明蘭は間野を女として待っていたが積極的な石崎に惹かれて行く。石崎は明蘭を利用価値がなくなったら稜知会のために切らざるを得ないだろうと考えている。

故買システムを乗っ取られ追いつめられた間野は、密約を察知する。そして、横浜中華街で香田と石崎が会っている現場に現れる。その場には明蘭もいた。

間野は明蘭にいづれ切られるから中国に早く逃げろと促すが、明蘭は聞かない。間野は香田を殺そうとする。しかし仕損じ、現場に現れた鮫島に撃たれ死ぬ。鮫島は、すべてを失った間野が自分に撃たれて死ぬ覚悟をしていたのだと悟る。密約が明るみに出て香田は辞職する。


『狼花』おおかみばな、狼の花、狼は間野、花は明蘭か。又は、狼も花も間野か。彼は元サクラ=花だったから。

間野と鮫島はすごく似ている。本人たちもお互いにそう感じていただろう。一匹狼で情報探知能力抜群そして女性に弱く優しすぎるとw

0 件のコメント: