2010年2月28日日曜日

耶律楚材と長春真人

2007年04月06日14:21

耶律楚材西遊録
 in 世界ノンフィクション全集、筑摩書房、1961  

耶律楚材(やりつそざい:1190-1244)は1218年から1228年まで、長春真人(ちょうしゅんしんじん:1148-1227)は1221年から1224年まで、蒼き狼、ジンギス・ハーン(1162-1227)の招聘に応じて仕えた。

耶律楚材は儒教、仏教、禅に明るく、長春真人は道教に明るい。二人はそれぞれ西遊の模様を記した記録を残している。二人はオーバーラップし相まみえているわけだが、耶律楚材が道教の長老、長春真人をどう見ていたか西遊録の後半に載っており興味深い。逆に長春真人の弟子が記した西遊記には耶律楚材についての言及は一切ない。

耶律楚材は長春真人に宋の播芳文粋という本を貸した。ある日長春真人は耶律楚材に「黄魯直(黄庭堅)が観音賛という文章の中で、

【全身はこれ目であるがため、おのれを見ることはできぬ。自己をはっきり識ろうとするには、懸命に驢馬の耳を引っぱれ】

とあるが、どういう意味でしょうな」と聞いた。長春真人はそんなことも知らないのか、禅宗の入り口ものぞいていないのだ、まして奥義をやと、耶律楚材は黙って答えず、それ以来彼を軽蔑したとある。一説では耶律楚材が黙っていたのは答えられなかったのだという(^^)

本の注釈者も意味がちゃんと書けなかったようだ。さて観音様が
全身慈眼で遍在しているという感じはわかるが、驢馬の耳とはなんだろう。王様の耳はロバの耳とは関係なさそう(^^;)

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