2010年2月28日日曜日

萱草第六 雑連歌(十二)




2007年05月29日09:32

京都大学附属図書館所蔵 古典籍 宗祇『萱草』(わすれぐさ)


をこなひ人のかくる大みね

 かくれがもさすが煙をたてぞせん
なからむあとをたのむ法の師

 人のこころのかはる世中
うき身さへいまはの時やおしからん

 見ればのがれぬあみのうろくつ
射る矢をもねたる鳥には心せよ

 □□□いづれかやすき身のはて
猿さはぐ心の窓をおぼはばや

 むかふ日かげもしらぬ山もと
夜いでてゆくゆくねぶる馬の上

 をそきまなびは人もをしへず
牛の子の親のあゆむに行つれて

  付やうの誹諧躰連歌に
 人につくすはあだのこころか
おれば花あるじをさへや恨むらん

 おもひかねつつねの四(よつ)はうし
ほととぎす又二こゑもききあかで

 はるかに飛やいつみなるらむ
杣人のおのにくだくる木は散て

 いまさらおもひよはるべしやは
さとちかく山の薪を持わびて


http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0088.html



 かへらじ色はかちの衣手
すみつきて今はとたのむ山の奥

 あしむらむらの真砂ぢの末
あとさびし聲みだれつる鞠の庭

 いつかほとけを夢にだにみん
夜(よな)々のかねの御嶽は聞ばかり

 御祓(みそぎ)や夏をたよりなるらん
むまれつるけふの仏のあととめて

 貝ふくときのうつるほどなさ
たきものの袖のした風うちかほり

 あひ見むまでとおもひてぞ行く
まつ人のおぼつかなさに立出でて

 はかせのみちはいかがたかはん
こゑを引く法のをこなひきかまほし

 いひちらしなばそれもはづかし
おち髪のしろきに老を猶知りて

  北畠大納言家にえらび給し
  百句の連歌のうちに
 あくれば雲や立わかるらん
  といふ句に
年をへし身をうら嶋が玉くしげ

  千句のうちに
 されども夢はつれなからずよ
きけばそのよはひぞ遠き天津人


http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0089.html



きけばそのよはひぞ遠き天津人

 袖のせはきは玉もかくれず
から人の身を花やかにかざりきて

 おらぬこころぞ劔(つるぎ)なりける
武士(もののふ)は名をたびたびにあらはして

 心やかへる我かたのみち
もののふは文より弓をわざにして

 末にたれ法の始をしたふらん
あしよは車をくれてぞ行く

 ただにぬるをや風もいさむる
しら浪の夜の聲きけとのゐ人

 ぬる夜はあれど夢も結ばず
宿直する時のかはれば鳥なきて

 親よりも子をはぐくみぞまず 
君やしる代をかさねてのつかへ人

 君をおもふに身をぞわするる
つかふるを我しろ髪にはぢもせで

 この世ならでも忘れやはせむ
年たけて君がめぐみをうくる身に

 いにしへよりの住よしのまつ
此君の代こそ長井のうら遠み

 ちたひ(しだい)おもふもおなじあらまし
君をいのる此宮川のゆふはらへ


http://edb.kulib.kyoto-u.ac.jp/exhibit/k107/image/1/k107s0090.html

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